三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

エレファントカシマシ

エレカシの日比谷野音 2018 ライブレポート―全身全霊"魂の叫び"、獅子奮迅で走る男に垣間見えた"疲労感"

29年連続となったエレカシの日比谷野音ライブは雨だった。今年は外でその演奏を聴くことになったが、雨にもかかわらず日比谷公園は大勢の"外聴き"のファンで溢れかえった―。例年、外で聴くときは決まって公園内にあるフードコートの近くにあるスペースの方へ…

エレカシの日比谷野音 2018 ライブレポート前夜―これまでの野音ライブの筆跡

2018年6月、エレカシの29年連続となる日比谷野外大音楽堂でのライブが開催された。最近の野音といえば、"秋"の印象が強いが、今年は6月、"梅雨真っ盛り"の時期に開催された。6月に開催されるのはどうやら10年振りらしい。なぜ久し振りにこの時期なのかについ…

エレカシの"伏線回収的"2曲―「自由」と「シグナル」について

エレカシの23thアルバム『Wake Up』(2018)の7曲目の「自由」を聴いていたとき突然、ある物語の伏線が回収されたかのような感覚を覚えた。というのも「自由」と、「シグナル」『町を見下ろす丘』(2006)の世界観が重なったからだ―。 「シグナル」の歌詞に登場…

エレカシ『Wake Up』のデラックス盤のLIVE CDで感じる"違和感"

エレカシの23thアルバム『Wake Up』のデラックス盤には2017年、47都道府県を回ったツアー「30th ANNIVERSARY TOUR “THE FIGHTING MAN” TOUR」の富山オーバード・ホールで行われたライブのCD音源が同封されている。エレカシの30周年ライブといえば、2017年3月…

デビュー30年目の"覚醒"―エレファントカシマシ23thアルバム『Wake Up』レビュー

今から30年前、エレファントカシマシは『THE ELEPHANT KASHIMASHI』で"衝撃の"デビューを飾る。そして20年前には『愛と夢』でラブソングを歌い、10年前には『STARTING OVER』で再び世間から脚光を浴びる。そしてデビューから30年目となる2018年、『Wake Up』…

エレカシの新曲「Easy Go」、"50代の青春"そして"威風堂々"の佇まい

エレカシの新曲「Easy Go」、つい先日はYouTubeにて『宮本から君へ』のオープニング映像が、そして昨日はミュージックビデオのショートバージョンが公式アカウントで公開された。 ミュージックビデオ、度肝を抜かされた。音楽に比例するようにギターの演奏そ…

エレカシの「さよならパーティー」、そしてクリープハイプによるカバーについて

「さよならパーティー」は、〈ユニバーサル・ミュージック〉に移籍後の第1弾アルバム『STARTING OVER』(2008)に収録されている。前作、『町を見下ろす丘』(2006)と比べると、この曲の収録されているアルバムはポップでキャッチ―な曲が多く並ぶ。おかげさまで…

『RESTART / 今を歌え』(初回限定版)の特典『日比谷野外大音楽堂2017 セレクション』について

『RESTART / 今を歌え』の初回限定盤には『日比谷野外大音楽堂2017 セレクション』がボーナスCDとして付いてくる。そして、これが何ともすばらしいのだ。日比谷野音ライブの空気感までもがそのままCDに凝縮されている感じがして、野音の外で聴いているような…

エレカシの新曲「Easy Go」、そして最近のプロモーションについて

ドラマ『宮本から君へ』のエレファントカシマシ主題歌「Easy Go」、本当に素晴らしかった。オープニング、わずか1分ばかりの衝撃。脚本監督には悪いが、映像そっちのけで聴き入ってしまった。青々しい"疾走感"や"勢い"が、とんでもなく歪む楽器隊とがなり続…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (エレファントカシマシ編)

いよいよトリのエレカシの出番を迎える。30周年の、しかも"スペシャル"であっても、いつものように登場の際のSEはなし。拍手と歓声の中、メンバーは至ってシンプルに登場する。テンション低めに何かぼそっと言い放った後、一瞬の静寂に包まれたかと思えば、…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (Mr.Children編)

xxxtomo1128xxx.hatenablog.com スピッツの出番が終わり、次のバンドの転換作業に入った。万全の状態で次を迎えるべく、ここでトイレへと向かう。空いてるだろうと思って少し遅れてトイレへ向かったのが誤算、トイレには長蛇の列ができていた。仕方なく並び…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (スピッツ編)

何とも歴史的な夜だった。2018年3月18日、エレファントカシマシとスピッツとMr.Children、そうそうたる顔ぶれがさいたまスーパーアリーナを舞台に一堂に会した。3バンド合わせてCDの総売り上げ枚数は一体何枚になるんだろうか、そんな愚問が脳裏をよぎる。そ…

エレカシと都会の風景について―音楽の「土着性」の存在を踏まえて

大学に入学するにあたり、埼玉の郊外で一人暮らしを始めた。自分の住む場所は高度経済成長期の真っ只中に造られた、"マンモス団地"と呼ばれる住宅団地の一角にある。夕暮れ時、大学からの帰り道。住宅街の真ん中にオアシスのようにぽつんとある公園では子供…

ビルと電車の風景との融合―エレファントカシマシ「武蔵野」レビュー

2017年の日比谷野音で開催されたライブで「武蔵野」が演奏された時である。日比谷公園の自然とビル群の風景に、曲が溶け込み調和していく感覚を覚えた。というのも宮本は曲が始まる前に、 甲州街道を僕は行くあゝ遠くの山まで 山まで行く こんな歌詞で即興(?…

エレカシの「浪人時代」と自分の「浪人時代」を重ねて―『ココロに花を』を通じて

大学受験に失敗し"浪人生"をやっていた時期が自分にはあった。自分の浪人生活というのは寮生活で、自室には参考書以外はほとんど持ち込んでおらず、入試が近づいてくるとさすがに気が滅入ってきていた。朝夕がぐっと寒くなり、雪がちらつくようになった頃、…

桜の花、舞い上がる道を / エレファントカシマシ

「桜の花、舞い上がる道を」は、『昇れる太陽』(2009)に収録されている。アルバムのクライマックスにふさわしい、壮大な曲といえるだろう。宮本の華があって力強い歌唱には、ストリングアレンジが映える。この曲では宮本の歌唱力の高さをうかがうことができ…

『悲しみの果て』に秘められている力―エレカシとの出会いのきっかけを追想して

ongakubun.com ロッキンオンの『音楽文』に掲載されたもののリマスター版。掲載されたバージョンは書きたいことが多すぎてやたらと長ったらしくなってしまった。今回はその反省点を踏まえ、かなりの推敲を重ねた。多分以前よりは読みやすくなっていると思う。…

エレカシの日比谷野音 2016年 回想録

日比谷野外音楽堂(通称"野音")でのライブはデビュー以来毎年のように行っている。最近だと、彼らの長年積み重ねられた歴史によって、"聖地"のように祀られるようになってきている。このライブには、そんな彼らの"歴史"と都会のど真ん中に木々の生命力が宿っ…

エレカシの日比谷野音が聖地たる所以―2017年の日比谷野音でのライブを通して

今回の記事は以前ロッキンオンの『音楽文』に掲載された文章の"リマスター版"。エレカシの日比谷野音が開催される際の"聖地"という言葉が。聖地とは宗教的な意味合いを持つものだが、転じてサブカルチャーにおいて重要な意味を持つ地域を指す場合も見受けら…

エレカシの再レコーディングアルバムについて

再レコーディングアルバムと言えば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが2016年に『ソルファ』(2005)を再レコーディングした『ソルファ(2016)』が上がるだろうか。エレカシは、そのキャリアにおいてこれまで22枚のオリジナルアルバムを出しているが、再レコーディン…

百八円の恋 / クリープハイプ

どこにでもあるようなありきたりの音楽は、ありきたりの評価のまま終わり、しまいには世間から忘れ去られてしまう。クリープハイプの音楽がそうでないとすれば、ありきたりではない、特別感のようなものは何だろう―。 「百八円の恋」はキャリア通算4枚目の『…

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (後編)

「もしもエレカシがカバーアルバムを出したら」の後編。ここではTrack11とBonus Trackを載せている。11. スローバラード/RCサクセション、BT1. Paint It, Black/The Rolling Stones、BT2. Touch Me/The Doors、BT3. Aerosmith/The Farm

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (中編)

「もしもエレカシがカバーアルバムを出したら」の中編。ここではTrack5からTrack10が載っている。5. 空が鳴っている/東京事変、6. いとしのエリー/サザンオールスターズ、7. 喝采/ちあきなおみ、8.サムライ/沢田研二、9. ファイト!/中島みゆき、10. 主人公/…

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (前編)

これまでエレファントカシマシは様々な楽曲をカバーしてきたが、音源化されているのは「翳りゆく部屋」のみ。そんなわけでエレカシのカバーアルバムがもしもできるとしたら収録してほしい曲を、自称エレカシマニアの不肖三浦が独断と偏見で選んでみたい。1. …

東京からまんまで宇宙 / エレファントカシマシ

「東京からまんまで宇宙」は『MASTERPIECE』(2012)に収録されている。以前書いた『RAINBOW』(2015)が彼らの転換期だとすれば、 xxxtomo1128xxx.hatenablog.com このアルバムの頃はその直前であり、バンドとしてのひとまずの到達点を迎えた段階といえる。この…

シグナル / エレファントカシマシ

エレファントカシマシの17枚目のアルバム『町を見下ろす丘』に収録されている曲。都心からちょっと外れた場所にある団地の匂いがしてくるような雰囲気がこの曲にはある。 夜はふけわたり 家までの帰り道 町を見下ろす丘の上立ちどまり はるか、かなた、月青…

RAINBOW / エレファントカシマシ

ボーカルの宮本浩次が2012年に急性難聴を患ってから(現在は完治)のエレファントカシマシは、大きな変化を遂げたと言っていい。というのも宮本は病気以降、その歌声が大きく変化した。病気以前、特に病気の直前はCD音源でも声が不調だなとか、ライブの終盤で…