三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

2024-01-01から1年間の記事一覧

次世代(NEX GEN)ライブ体験記録Ⅱ――SUMMER SONIC 2024に行ってきた その5

www.miuranikki.com 「Kool-Aid」では、センタースクリーンにグロテスクな3Dのクリーチャーが映し出される。女性のマネキンのような体に羽が生えており、所々に傷がつき血が滲み出てきている。ゾンビのような姿をした天使は楽曲に合わせて無造作に動き、曲が…

次世代(NEX GEN)ライブ体験記録Ⅰ――SUMMER SONIC 2024に行ってきた その4

すっかり日が傾いたMARINE STAGEには秋の風が吹いてきていた。厳かで密やかな祭りのようなクリスティーナ・アギレラのアクトが終わり、音響設備のテントのすぐ真ん前を陣取る。いよいよお待ちかね、Bring Me The Horizon(以下、BMTH)の時間である。今年から…

オトナブルーとブルーなオトナたち――SUMMER SONIC 2024に行ってきた その3

昼食から戻ってきて最初のMOUNTAIN STAGEのアクトは新しい学校のリーダーズだった。彼女たちはInstagramのオススメ動画にやたらと上がってきた時期があり、その時に知った。確か世にコロナが蔓延する前だったと思う。当時は、アメリカを拠点に活動している風…

ラウパの香り、フェス飯の情緒――SUMMER SONIC 2024に行ってきた その2

幕張メッセのPACIFIC STAGEに近づいた途端、LOUD PARKに迷い込んでしまったのかと錯覚するような重低音が聴こえてきた。英語でも日本語でもない言語に乗せて演奏するそのアーティストは、調べてみるとタイのBodyslamというバンドのようだった。なるほど、今…

台風9号VSクリエイティブマン――SUMMER SONIC 2024に行ってきた その1

あの夏が、ヤツらが今年もやってくる。SUMMER SONIC 2024、そのイベントである。とはいえ今年はその開催自体が揺るがされかねない事態があった。それは台風9号の存在である。さかのぼること2024年8月16日金曜日。日本列島に、嘘かホントかあの"伊勢湾台風"並…

花蕾と残雪の卒業式

中学校の卒業式当日。2年生の自分たちは先に体育館に入り、整然と並べられたパイプ椅子に腰かける。いつもは授業や部活動で使っている何の変哲もない窓は紅白幕で覆われ、演台には荘厳な盆栽が飾られている。来賓席と教員の席のテーブルの上からは白い布がか…

失敗しない居酒屋の選び方――Google マップの口コミを読む

はじめに インターネットの大衆化は、同時にそれを悪用してやろうとする輩の増加も意味する。これはある種当然の摂理とも言えるが、飲食店においては近年その流れが特に加速化してきているような印象がある。ここでいう悪用とは、自らの利益のためにレビュー…

平成学生回想録 スクールカースト編

2011年からタイムスリップしてきた、少年M。つい先日、中学校の卒業式を終えたという彼から、スクールカーストをテーマについて色々と語ってもらった。少年Mの供述は以下のようである—―。 スクールカーストですか。なんかすごく残酷な言葉ですよね。カースト…

金木犀の香り、デモの響き――日比谷公園にて

2023年10月某日、先日までの記録的な暑さはすっかり鳴りを潜めていた。この日は用あって、霞が関某所へ行くことになっていた。朝、通勤ラッシュにもまれながら日比谷駅に到着し、待ち合わせの時間まで日比谷公園でしばらく時間を潰す。朝からテニスをやって…

夭折のロックスターに会う夢

ミュージシャンH (30代, 男性) その人は10畳ほどの会議スペースのような場所の中にいた。ピンク色の髪は前髪がツンと立てられていて、後ろ髪はヘアピンで留められている。1998年頃、その人が亡くなる直前の頃の姿であった。スペースにはポップアップブースの…

Somewhere Near Nibetsu ―仁別(ニベツ)辺り―

太平山前岳登山口からすぐ近くにある*1秋田市植物園に向かう。別段、ガラス張りの温室になっているわけでなく、屋外に人の手によって草木が植えられた公園のような場所であった。そのすぐ横にあるサイクリングロードには苔が緑色の溶岩のように塊になって生…

父と山に登った日のこと――太平山、女人堂過迄

2022年10月某日。朝7時に起き、朝食を食べ、山登りの準備を進める。この日は父とともに秋田県秋田市仁別にある太平山前岳に登る。フィルムカメラと、母に握ってもらったおにぎりをリュックサックに入れる。この日はこれ以上にないほどの快晴であった。車内で…

石焼き芋のおじさん

「いしやーきいも、おいもー。おいもー、おいもー、おいもー――」と、石焼き芋の口上の音声が外から聞こえてきたので、久しぶりに食べることにした。外に出ると、軽トラックが徐行しながらやってきた。手を上げるとトラックが停止し、石焼き芋のおじさんが降…

或る冬の日、北区王子にて――エレファントカシマシの原風景

北区の王子駅周辺を歩く。南北線出口を出てすぐ近くの建物はコンサートホールの「北とぴあ」。ここは、2017年にエレファントカシマシの30周年ツアー「30th ANNIVERSARY TOUR 2017 "THE FIGHTING MAN"」の一番最初の会場であった。ライブは中学時代からの友人…

悪酔終列車――終電を逃せし男

「お客さん、お客さん、終点ですよ」ハッと目が覚める。此処は何処――。気が付いたら知らない場所にいた。無論、来るべきではない終着駅のことである。ひとまず車両から出てホーム内を右往左往する。電車に乗る前のことについて思い出してみる。確か――。府中…

チバユウスケが死んだ日――EとF

E 「Part of the Journey is the End」2023年12月5日。チバユウスケが死んだその日、友人Eからこのようなメッセージが届いていた。旅は必ず終わる――。アメコミ映画の主人公が確かそんなことを言っていたっけ。無論それは、チバユウスケのことを指していると…

チバユウスケがいた日――新大久保、ガードレール、チーズハットグ

チバユウスケが死んだ。食道ガンだった。2023年4月、その病状が公表されて以来、一度も表舞台に上がることができぬまま帰らぬ人となった。あれほどのロックスターもガンには勝てなかった。しばらくの間、悲しみに暮れ、何も書くことができなくなった。療養中…

平成学生回想録 ラウンドワン編

ラウンドワン 秋田店が開業したのがいつだったかと調べてみると、とあるサイトの隅の隅に、2006年12月21日と書いてあった。オープン当初はCMが頻繁に放映されており、当時一世を風靡していたお笑い芸人の長州小力が出演していた。ラウンドワンができる前は、…

エレファントカシマシ(+宮本浩次)のオマージュに関する考察 (2019-現在)

2019年2月、エレファントカシマシのフロントマン宮本浩次は、ソロデビューを果たす。楽曲はこれまでエレファントカシマシの枠にとらわれない自由な作風が軒を連ね、ソロとバンドとの差別化が顕著に見て取れた。そこで忘れてはならないのが、やはりオマージュ…

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (1988-1999) 後編

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (1988-1999) 前編 www.miuranikki.com 9.「暮れゆく夕べの空」(1994) | Pink Floyd - Breathe (In the Air) 冒頭の印象的なフレーズは、Pink Floydの「Breathe」を彷彿とさせる。だが、「暮れゆく夕べの空」の…

諏訪に行った日のこと 後編――諏訪大社と友人A

12時20分頃上諏訪駅に到着し、レンタルしていた電動自転車を返却する。この日は友人Aがちょうど地元の諏訪に帰省していたとのことだったので、午後から一緒に回ることになっていた。Aに電話をしてみると、駐車場からAが現れた。どうやらちょうど到着したのだ…

諏訪に行った日のこと 前編――映画『怪物』のロケ地を巡る

朝6時前、家を出る。外の気温は既に上がってきていた。海の日。長野の諏訪へと行く。特急あずさが発着する新宿駅には7時過ぎには到着した。スピッツが「Sandie」で"魔境"と形容した新宿駅のことだから、もっと迷うかのと思ったが、山手線からあずさの乗り場…

スーパースターを目撃した日――沢田研二 LIVE 2022-2023「まだまだ一生懸命」ツアーファイナル バースデーライブ! ライブレポート

日曜。会場のさいたまスーパーアリーナに向かうまでの道は、コクーンシティさいたま新都心に行く人の波も相まってとても混んでいた。会場に近づいていくにつれ、指数関数的に年配者が増えてくる。他方で自分と同じ20代の姿は反比例するかのように減少してい…