三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

2023-01-01から1年間の記事一覧

THE 1975、ヤバすぎ!Vol. 3――AT THEIR VERY BEST JAPAN 2023 東京ガーデンシアター公演 ライブレポート

仕事を急いで終え、The 1975のライブに行く。もともと関東での公演はぴあアリーナ横浜の2日間の公演がアナウンスされていたのだが、筆者はチケットの応募をすっかり失念していた。悔しさにうなだれていると、突然追加公演のアナウンスが舞い込み、応募する運…

Sweet Bitter Memory――エレファントカシマシ 日比谷野外大音楽堂 concert 2023 ライブレポート 後編

コンサートが始まってから約1時間、辺りはすっかり暗くなってきた。第2部、ミドルテンポな細海魚のキーボードと宮本のギターのストロークから始まったのは「さらば青春」。ところが――、1番のサビに差し掛かろうかというところで、序盤に間違えた歌詞に納得が…

33/100――エレファントカシマシ 日比谷野外大音楽堂 concert 2023 ライブレポート 前編

つい先日までの記録的な暑さが嘘だったかのように、この日の東京には冷たい雨が降っていた。日曜日、霞ヶ関駅周辺は閑散としている。道行く人々は傘を開き、俯き加減にそそくさ歩いている。「ピヨ、ピヨ、ピヨ……」交差点、音響信号の鳥のさえずるメロディー…

金木犀と郷愁(ノスタルジア)

朝、窓を開けると、金木犀の香りが部屋に送られてきた。外を眺めてみると、隣の家に鮮やかなオレンジ色の小さな花が一斉に咲き誇っているのが見えた。部屋に掃除機をかけて、洗濯物を干してから、昼食を食べに外に出る。その途中の道でも金木犀が香ってきた…

秋の夜長、ジャズの調べ――ノラ・ジョーンズ 武道館公演 ライブレポート

2022年10月16日。今日はノラ・ジョーンズのライブである。日本武道館へ途中、錦糸町駅に用があって立ち寄ると駅前の広場で「ジャズ・フェスティバル」なるものが開催されていた。多くの人がその様子を見ている光景に、少しだけ感動してしまった。依然として…

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (2010-2018) 後編

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (2010-2018) 前編 www.miuranikki.com 9.「なからん」(2015) | Beck - Lonesome Tears 「なからん」はアレンジからコード進行、さらにはテンポに至るまで、ベックの「Lonesome Tears」の影響が色濃い。特に冒…

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (2000-2009) 後編

エレファントカシマシのオマージュに関する考察 (2000-2009) 前編 www.miuranikki.com 11.「すまねえ魂」(2006) | The Rolling Stones - Time Waits For No One 「すまねえ魂」は、「Time Waits For No One」の冒頭のフレーズが、引用されている。全体的な楽…

Trivium、イチバン!――KNOTFEST 2023 ライブレポート

今日もまたどこへ行く、KNOTFEST 2023へ行こう。会場は先週のLOUDPARK 2023と同じ幕張メッセ。この日は昼頃に新しく出来た幕張豊砂駅で友人と待ち合わせることにしていた。例によってメタル狂の友人である。先週は、一緒に行ったとは言えないほどのコンタク…

Asphyxia Balling (地獄の殺人スクラム)――LOUD PARK 2023 ライブレポート

LOUD PARK 2023、通称"ラウパ"当日である。別に、待ちに待ったわけではない。某手段により当日券が手に入ったので、急遽行くことが決定したライブであった。天気はあいにくの雨である。会場の最寄り駅である海浜幕張駅には12時前に到着した。友人からは既に…

土浦全国花火競技大会 2022 備忘録

日本の花火大会は長岡、大曲、土浦がいわゆる"日本三大花火大会"と称される。中でも大曲と土浦は花火「競技」大会であり、全国津々浦々の花火師たちが自慢の花火を空に打ち上げていく。秋田出身の筆者は決まってこう聞かれる。「秋田の出身ということは、大…

寄席に行ったある冬の日のこと

仕事が早く終わったので、神田から浅草へ行くことにする。久しぶりに寄席でも観に行こうと思った。その前に、商店街にあるやげん堀で七味唐辛子を購入する。陳皮が多めに入ったものと、山椒を少なめにしたものの二つを注文した。仲見世通りの土産屋は、17時…

親知らず抜歯ノ記 右側編

前回の抜歯から約1か月。今回は右側の上下の歯を生贄に捧げる。仕事を早いところ切り上げ、歯医者へと向かう。歯医者は平日のためか、待ち時間はほとんどなかった。また、例の外科医が処置にあたった。度の強い丸眼鏡をかけ、髪をボサボサに伸ばしたステレオ…

親知らず抜歯ノ記 左側編

親知らずを抜いたから、9月6日は抜歯の日。何のひねりもない、却下だ。俵万智も鼻で笑っている。そもそも、親知らずという名前は何とかならないものだろうか。親知らずは、人生の長さがまだ50年だったころ、子どもが20歳を過ぎたあたりで生えてくる歯の存在…

NewJeansおじさん、blurおじさんを観る――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その4

17時半になりようやく日が傾いてきたのか、少しだけ気温が下がってきたような気がする。とはいえそれはあくまでこの日の相対的な感覚であり、平時に比べて依然として気温の高い状態は続いていた。この日はあの心地よい潮風がぜんぜん吹いてこない。佐々木朗…

屍の観衆たち――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その3

NewJeansのアクトにより全身汗まみれになってしまったため、一度着替えてから、ZOZOマリンスタジアムのスタンド席に向かう。野球で言えば、三塁側のホーム寄りの位置である。少しばかりは涼しいだろうと思ったが考えが甘かった。座席はやけどするほど熱くな…

灼熱地獄、NewJeans――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その2

あれは……悪夢だった。こんな暑さでライブを観たのは初めてだよ。まるでアツアツの鉄板の上に乗っているみたいだった。日本には確か……ああ、そうだ、オコノミヤキだ。まさにそれになった気分だ。しかももっと驚いたのは、とんでもないくらいの人がその場所に…

序盤の攻め方 2023――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その1

いよいよSUMMER SONIC 2023当日である。昨年まではマスクの着用が必須であったが、今年からはそのルールが撤廃され、声出しのほうも自由にすることが可能になった。4年ぶりの制約のないサマソニに、ワクワクが止まらない。8時半頃、朝定食を食べに某牛丼チェ…

三浦的2022年ベスト・アルバム5選――邦楽編

1. 藤井風 - LOVE ALL SERVE ALL 2022年、彼の創り出した音楽は日本を飛び越え世界中で聴かれ、Spotifyのバイラルチャートでは日本人で最も聴かれたアーティストとなった。そのブレイクスルーには、商業的な要素を超えた、救済としての音楽という側面の表出…

狂気の瞬(またた)き、そしてハートに火を灯す旅——エレファントカシマシ 35th ANNIVERSARY TOUR 2023 YES. I. DO ライブレポート

2023年3月19日、日曜。快晴。太陽がやけに高い。久々に厚手のコートではなく薄手のジャケットを羽織った。それでも外を歩いていると少し汗が滲んだ。時おり吹いてくる海風が心地よい。有明テニスの森駅で降り、案内を頼りに歩いていると、独特の曲線を描いた…

新東京人間賛歌——エレファントカシマシ「yes. I. do」レビュー

想起されたのは、今、此処(ここ)にある東京の風景だった。ところがその歌詞には東京という言葉は使われていない。無論、それを連想させるような言葉も入っていない。それでも東京なるものを感じるのは、バンドが持っている強烈な土着性だろう。エレファン…