三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

2023-01-01から1年間の記事一覧

土浦全国花火競技大会 2022 備忘録

日本の花火大会は長岡、大曲、土浦がいわゆる"日本三大花火大会"と称される。中でも大曲と土浦は花火「競技」大会であり、全国津々浦々の花火師たちが自慢の花火を空に打ち上げていく。秋田出身の筆者は決まってこう聞かれる。「秋田の出身ということは、大…

寄席に行ったある冬の日のこと

仕事が早く終わったので、神田から浅草へ行くことにする。久しぶりに寄席でも観に行こうと思った。その前に、商店街にあるやげん堀で七味唐辛子を購入する。陳皮が多めに入ったものと、山椒を少なめにしたものの二つを注文した。仲見世通りの土産屋は、17時…

親知らず抜歯ノ記 右側編

前回の抜歯から約1か月。今回は右側の上下の歯を生贄に捧げる。仕事を早いところ切り上げ、歯医者へと向かう。歯医者は平日のためか、待ち時間はほとんどなかった。また、例の外科医が処置にあたった。度の強い丸眼鏡をかけ、髪をボサボサに伸ばしたステレオ…

親知らず抜歯ノ記 左側編

親知らずを抜いたから、9月6日は抜歯の日。何のひねりもない、却下だ。俵万智も鼻で笑っている。そもそも、親知らずという名前は何とかならないものだろうか。親知らずは、人生の長さがまだ50年だったころ、子どもが20歳を過ぎたあたりで生えてくる歯の存在…

NewJeansおじさん、blurおじさんを観る――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その4

17時半になりようやく日が傾いてきたのか、少しだけ気温が下がってきたような気がする。とはいえそれはあくまでこの日の相対的な感覚であり、平時に比べて依然として気温の高い状態は続いていた。この日はあの心地よい潮風がぜんぜん吹いてこない。佐々木朗…

屍の観衆たち――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その3

NewJeansのアクトにより全身汗まみれになってしまったため、一度着替えてから、ZOZOマリンスタジアムのスタンド席に向かう。野球で言えば、三塁側のホーム寄りの位置である。少しばかりは涼しいだろうと思ったが考えが甘かった。座席はやけどするほど熱くな…

灼熱地獄、NewJeans――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その2

あれは……悪夢だった。こんな暑さでライブを観たのは初めてだよ。まるでアツアツの鉄板の上に乗っているみたいだった。日本には確か……ああ、そうだ、オコノミヤキだ。まさにそれになった気分だ。しかももっと驚いたのは、とんでもないくらいの人がその場所に…

序盤の攻め方 2023――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その1

いよいよSUMMER SONIC 2023当日である。昨年まではマスクの着用が必須であったが、今年からはそのルールが撤廃され、声出しのほうも自由にすることが可能になった。4年ぶりの制約のないサマソニに、ワクワクが止まらない。8時半頃、朝定食を食べに某牛丼チェ…

三浦的2022年ベスト・アルバム5選――邦楽編

1. 藤井風 - LOVE ALL SERVE ALL 2022年、彼の創り出した音楽は日本を飛び越え世界中で聴かれ、Spotifyのバイラルチャートでは日本人で最も聴かれたアーティストとなった。そのブレイクスルーには、商業的な要素を超えた、救済としての音楽という側面の表出…

狂気の瞬(またた)き、そしてハートに火を灯す旅——エレファントカシマシ 35th ANNIVERSARY TOUR 2023 YES. I. DO ライブレポート

2023年3月19日、日曜。快晴。太陽がやけに高い。久々に厚手のコートではなく薄手のジャケットを羽織った。それでも外を歩いていると少し汗が滲んだ。時おり吹いてくる海風が心地よい。有明テニスの森駅で降り、案内を頼りに歩いていると、独特の曲線を描いた…

新東京人間賛歌——エレファントカシマシ「yes. I. do」レビュー

想起されたのは、今、此処(ここ)にある東京の風景だった。ところがその歌詞には東京という言葉は使われていない。無論、それを連想させるような言葉も入っていない。それでも東京なるものを感じるのは、バンドが持っている強烈な土着性だろう。エレファン…