宮本浩次
2019年2月、エレファントカシマシのフロントマン宮本浩次は、ソロデビューを果たす。楽曲はこれまでエレファントカシマシの枠にとらわれない自由な作風が軒を連ね、ソロとバンドとの差別化が顕著に見て取れた。そこで忘れてはならないのが、やはりオマージュ…
想起されたのは、今、此処(ここ)にある東京の風景だった。ところがその歌詞には東京という言葉は使われていない。無論、それを連想させるような言葉も入っていない。それでも東京なるものを感じるのは、バンドが持っている強烈な土着性だろう。エレファン…
2022年、エレファントカシマシが最後に曲を出してから、4年半の歳月が経過しようとしている。この空白期間は、これまでの彼らのキャリアにおいて最長であり、今現在も更新中である。新曲をリリースしていない期間中のエレファントカシマシの活動といえば、年…
2019年6月12日、男は恵比寿LIQUIDROOMのステージにて一人、ギターを持って弾き語りをしていた。宮本浩次、ロック歌手、そしてエレファントカシマシのボーカリスト。ソロアーティストとして自身初の単独ライブであった。汗でぐしゃぐしゃになった長髪の合間か…
冬の東京は、雲一つない晴れの日が多い。澄み渡った空気は、都会特有の化学的なツンとした匂いをわずかに含み、あらゆるものをたちまち無機質にさせる。埼玉郊外から電車に乗り、日本武道館へと向かう。この日も、天気は晴れ。ぼんやりと、車窓を眺めてみる…
宮本は、独歩した。これまで築き上げてきたエレファントカシマシという屋号に一旦の別れを告げ、新たな行き先で自己を表現することになった。『宮本、独歩。』、齢50を過ぎてからの挑戦であったが、いたって足取りは軽く、着の身着のまま、本能が赴くままに…
原初的な音楽体験に限りなく近い感動——。 近代以降、特に20世紀初頭の音楽というのは、一回性のものであった。民衆は会場に集まり、同じ空間を共有しながら、その時限りの音に耳を傾ける。それがたとえ、以前に演奏された楽曲と同じであっても、無論、演奏に…
宮本浩次のデビューアルバム、その名も『宮本、独歩。』。タイトルに固有名詞が使われるのは、バンドのデビュー当時の作品を彷彿させる(『THE ELEPHANT KASHIMASHI 』、『エレファントカシマシ5』など)。無論、今回はバンド名ではなく自分の名前。ここで、あ…
日本のメロコア・パンクの金字塔とも言えるHi-STANDARDのKen Yokoyamaとタッグを組み、耳目を集めたシングル『Do you remember?』。表題曲のインパクトに押されがちになってしまったが、そのカップリングはなんと、The Beatlesのカバー「If I Fell」。こちら…
宮本浩次の歌声はもはや楽器だ――。 Hi-STANDARDのギタリストKen Yokoyamaとのコラボレーション作品となった今作。メロコア・パンクな2ビートやギターやベースの刻み方は、まさにHi-STANDARDそのもの。それは、宮本が昨年、エレファントカシマシとしてリリー…
長きにわたって第一線で活動してきたバンドには、"大御所"だとか"ベテラン"という枕詞がつけられがちである。時にそれは大きな足かせとなって、バンドのイメージを固定化させるものとなったり、新曲を出しても新鮮味をもって聴かれなくなったりしてしまう。…
ありとあらゆるものの密度が濃かった。そして、その濃さをかき回すかのように"混沌"が渦巻いていた―。これは6月12日、宮本浩次53歳の誕生日にLIQUIDROOMで開催された〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉のライブレポートである。 昨年エレファントカシマシは、…
"エレファントカシマシ宮本浩次"と"ソロアーティスト宮本浩次"は全くの別人である——。ソロ活動というものが、エレファントカシマシの延長線だとすれば、この命題のようなものは決して"真"になることはない。けれども、〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉では…
宮本のソロ活動がついに本格的に始動した。その皮切りとなるのが、今月6月12日に行われるソロライヴ〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉だ。そして、その会場に選ばれたのはなんと、LIQUIDROOM。キャパシティーは約900人程度と、需要と供給が日比谷野音でのラ…
先日リリースされた、宮本浩次の2作目となるソロ・シングル「解き放て、我らが新時代」。一聴したときに感じたのは、エレファントカシマシの2000年代初頭の頃の作品。この時期の彼らといえば、宮本のソロ・ワーク的な作品が続いていたが、そんな『good morni…
「人生とは、美しいアルバムではなく、撮れなかった写真だと思う」 この言葉は、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦が、とある番組で紡ぎだした言葉で、元々はビヨンセの、「人生とは、何回息をするかではなく、何回息を飲む瞬間があるかだと思う」とい…
二〇一八年、平成から新年号に移り変わる潮目に、椎名林檎たっての希望で叶えられた、宮本浩次の"客演"。だが、これは決して"客演"なんかではない。三十年もの間、これまで共に戦ってきた仲間を残し、一人佇む齢五〇過ぎの男が、不惑の余裕をにじませた策士…