三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

ほぼ日刊三浦シアター

サントラを"観る"映画——『エンジェル・ウォーズ(Sucker Punch)』レビュー

あくる日YouTubeの広大な海を彷徨っていると、とある動画を見つけた。Slyfer2812氏が作った『ファイト・クラブ(Fight Club)』の本編を編集した、いわゆるMAD動画である。 youtu.be 最近は著作権に関する規制が厳しくなったのと、YouTubeに公式チャンネルが続…

善人と悪人、両者を平等に苦しませる酷寒の悲劇―『ウインド・リバー (Wind River)』(2017) レビュー

草原がなびく私の理想郷 風が木の枝を揺らし水面がきらめく 孤高の巨木は優しい影で世界を包む 私は このゆりかごであなたの記憶を守る あなたの瞳が遠く現実に凍えそうな時 私はここに戻って目を閉じ—— あなたを知った喜びで生き返るの やさしく、満たされ…

自身の信条と、それに背反する精神との戦い―『ハクソー・リッジ (Hacksaw Ridge)』(2016) レビュー

第二次世界大戦は、多くの犠牲者と憎しみを生み出した惨状であった。同時に、世界中で多くの作品も生み出すことにもなった。『ハクソー・リッジ』もまた、その数ある産物の内の一つである。作品の舞台は太平洋戦争末期、1945年5月の沖縄の前田台地。ハクソー…

洋画のタイトルの邦訳問題について―マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)より

「洋画のタイトルの邦訳問題」については、以前X-MENを引き合いに出して、ああだこうだと書いていたが、今回は同じマーベル作品でも、20世紀FOXサイドではない、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)について、書いていこうと思う。 X-MEN・シリーズの…

洋画のタイトルの邦訳問題について―アメコミ映画の金字塔、X-MEN・シリーズより

洋画というものは、日本でプロモーションがなされる以上、そのタイトルの邦訳は避けて通れない。ただ、中にはその邦訳、本当にそれでいいのか、と思わされるようなものもある。例えばアメコミの金字塔、X-Menシリーズを見てみると、第一作の『X-Men』は『X-…

これが私のアメコミ映画遍歴

アメコミ映画は、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』(2002)を観たのが一番最初のきっかけだったと思う。PUNPEE氏がブログで、 Comicsを好きになった人たちって大きく何世代かに分かれるとたまに聞きますが("一番最初に日本に持ってきた一番最初のガ…

【ほぼ日刊三浦シアター5】ドイツとトルコの関係性について―『おじいちゃんの里帰り (Almanya: Welcome to Germany)』から

ドイツとトルコは隣国ではないし、さらには宗教的にも異なっているため、これまで両国の関係性というのは希薄なものであると思っていた。しかしながら、"移民"というカテゴリーにおいてはその関係性というのは非常に深いことがわかる。『おじいちゃんの里帰…

【ほぼ日刊三浦シアター4】救いの手、一切無し―『炎628 (Иди и смотри)』(1985) レビュー

すさまじい映画だ。1つの救いもない。希望を感じる暇すらない。例えるとしたら、地獄に落ちたかと思えば更なる地獄が待っていて、そこから這い上がることすら許されないというような感じだ。そして、それは決して夢ではなく、全て現実であるということが淡々…

【ほぼ日刊三浦シアター3】『デッドプール (Deadpool)』と、"第4の壁の破壊"について

当初、この記事では映画『デッドプール』の本編の内容についてどうのこうの書いていく予定だったが、そんな予定を変更して、"第4の壁の破壊"にピックアップして書いていこうと思う。そのためこの記事は『デッドプール』を観たことがあるか、その内容を知って…

【ほぼ日刊三浦シアター2】『明日に向かって撃て!(Butch Cassidy and the Sundance Kid)』(1969)

1969年に公開されたこの映画は、反体制の人物を主眼に置いた"アメリカン・ニューシネマ"の金字塔として名高い。この映画を知ったのは、先日、突然この世を去った祖母の部屋に置かれていた"新聞欄"がきっかけだった―。 話は高校生の頃、1人で祖母の家に訪れた…

【ほぼ日刊三浦シアター1】『きっと、うまくいく (3 Idiots)』(2009)

『きっと、うまくいく (3 Idiots)』は2009年に公開されたインド映画。上映時間は約3時間とかなりの長編映画になっているが、そんな長さを忘れさせてくれるくらいにテンポと歯切れのよいストーリー構成となっている。もちろんボリウッド(Bollywood)のお家芸的…