三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

洋画のタイトルの邦訳問題について―マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)より

  

 「洋画のタイトルの邦訳問題」については、以前X-MENを引き合いに出して、ああだこうだと書いていたが、今回は同じマーベル作品でも、20世紀FOXサイドではない、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)について、書いていこうと思う。

 

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 X-MEN・シリーズの方では、タイトルの大幅な変更が見られたが、MCUの方はおおむね、原題をカタカナ化している。その中でも気になったのが、ソー・シリーズである。原題は"Thor"のみの表記ではあるが、邦題では"マイティ―(強大な、力強いという意味)"が追加されて、マイティ―・ソーという表記になっている。確かに、ソーだけだと気が抜けた感じに聞こえてしまわなくもないが、そもそもこの発音はSではなく、Thなので、厳密にいうと舌を軽く歯に挟んで云々…と、ここでもカタカナの面倒くささがここでも現れてくる。もっとも、日本語だと雷神がふさわしいはずではあるが、いかんせんスタイリッシュさに欠けてしまう。カタカナというものは人を魅了してやまないのだ。

 

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 ソー・シリーズの気になる点の極めつけは、三作目の、『Thor: Ragnarok』の『マイティ・ソー: バトルロイヤル』である。確かにこの映画では、バトルロイヤルのシーンが登場するが、あくまでも主題とは言えない。このタイトルだと、なんというかソーが闘技場でバトルロイヤルをして成りあがる、みたいなストーリのようにも思われるが、実際はそうではない。というのも、ソーは最強の女神ヘラの攻撃から逃がれるべく、アズガルドへと続く移動空間へと逃げ込むが、その途中に攻撃され、辺境の惑星サカールに投げ出されてしまう。そこで、ソーはとらえられ、グラディエーター(戦士)としてサカールの統治者が主催するバトルロイヤルに参加せざるを得なくなるのだ。同じく、弟のロキも、ヘラからの攻撃を受けた際にサカールに投げ出されていて、さらには、『アベンジャーズ: エイジ・オブ・ウルトロン』で行方不明になっていたハルクまでもがそこでグラディエーターとして戦っているのだった。

 そのころ、故郷アズガルドはというと、ヘラの暴走によって民の殺戮がなされ、絶体絶命の状態。そのままだと、アズガルドが滅びてしまう、つまり"ラグナロク"が起こってしまう。一刻も早く惑星サカールから抜け出さなければいけない―。そんなストーリーはやはり、原題のようにラグナロクの方がキーワードになっている。バトルロイヤル要素は、ハルクとソーが、闘技場で戦うシーンくらいしか見当がつかないし、正直いって映画の内容の重要度的には低いといえる。そんなわけで、映画を観た後には、バトルロイヤル要素はどこだよ、と突っ込みたくなる自分がいたのだった。

 

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 MCUの邦題は、先ほども書いたように基本的にはカタカナであるが、その中でも冠詞、つまりTheを訳すかどうかというものがある。たとえば、『Captain America: The First Avenger』の邦題は『キャプテン・アメリカ / ザ・ファースト・アベンジャー』となっているのに対して、『Guardians of the Galaxy』の邦題は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と、"ザ"まで訳していない。『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』ではいけなかったのか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)があるではないかなんて思ってもみたが、単純に語感が悪いからなのか、はたまた別の理由があるのかはわからない。たしかにこの部分に関して日本人はあまり気にしないようではあるが、その真意を知りたかったりもする。

 

 『Guardians of the Galaxy』つながりで行くと、その続編は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』だった。ふつうに"ボリューム2"とかでよかったのではないか。全くと言っていいくらいリミックス感がない。リミックスといえば、前作の焼き直しだとか、再編集版的な意味合いになってしまうのである。つい先日、監督ジェームズ・ガンの復帰、そしてシリーズ第三弾の公開も決定した。その時の邦題は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: ファイナル』だろうか、はたまた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リマスター』だろうか。注目したいポイントである。

 単純に原題の英語をカタカナに直した邦題にしたことで、若干分かりにくいタイトルも存在する。『Spider-Man: Homecoming』はそのまま『スパイダーマン: ホームカミング』と訳された。ホームカミング(Homecoming)というのは、日本人にとってはまずなじみのない単語である。基本的には帰省だとか、帰郷という風に訳すが、この作品では学校を上げた伝統的なイベントという意味の方で使われる。ホームカミングは、ダンスや、学級対抗、さらには同窓会など様々な催し物があるが、日本でいえば"学園祭"みたいなものであるといえよう。そんなわけで、より分かりやすくそのタイトルをつけるとすれば、『スパイダーマン: ドタバタ! 学園祭と恋人の行方』みたいな感じだろうか。途端にB級映画のようになってしまうのだった。

 

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