三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

ピースが抜け落ちている感じ―ノエル・ギャラガー来日公演 ライブレポート

 ピースが抜け落ちている感じがした―。

 それは昨年9月、弟のリアム・ギャラガーの来日公演を観に行ったときも同様の感情になった。2009年にOasisが解散して、10年が経った。この間、ノエル・ギャラガーは、Noel Gallagher's High Flying Birdsとして、ソロ活動にいそしんできた。リリースしたアルバムは、イギリスのチャートでトップになり、その健在ぶりは衰えていない。

 けれども、彼の音楽を聴いているとやはり、大事なピースが抜け落ちている感覚がするのだ。それは、10年前に離れたOasisという大きな存在、そして弟リアムの存在だ。皮肉なことに、別々になってもなお、彼らをつないでいるのは紛れもなくOasisの楽曲である。両者は同じ舞台上で共に演奏することはもうないのかもしれないが、いまだに当時の楽曲は演奏し続ける。特に、今回のノエル・ギャラガー幕張メッセ公演では、そんな抜け落ちたピースの偉大さを痛感したのだった―。

 ほぼ定刻通りに照明が落とされると、『Who Built The Moon?』のトラックが立て続けに披露された。アルバムに収録された順番そのままのセットリストだったためか、流れるように、会場をダンサブルでキャッチ―な雰囲気へと染めてゆく。そして、つい先日リリースされた、デヴィッド・ボウイを思わせる「Black Star Dancing」で、その流れをさらに増幅させる。

 軽くMCを挟んだ後に披露されたのは、「Talk Tonight」だった。『(What’s the Story?) Morning Glory』ではアンプラグドで控えめな印象だったこの曲も、バンド・サウンドでアレンジされると、たちまち華やかな様相を呈していた。続いても、Oasisの楽曲「The Importance of Being Idle」が披露されると、待ってました、とばかりに会場は熱狂の渦に巻き込まれてゆく。ただ、Oasisの頃と違っていたのはギターのソロをノエルではなくゲムにゆだねていたということ。それは、"ギタリストとしてのボーカル"ではなく、ソロ・アーティストとして、歌に徹しているのが垣間見えた瞬間でもあった。続いてもOasis時代のバラード「Little By Little」が披露され、かつての頃へとタイムスリップする感覚になった。この曲に関しても、当時よりも主役級の曲へと昇華されていたのが、印象的に映った。

 Oasisの楽曲が、立て続けに披露された後は再びソロの楽曲を披露していく。「Dead In The Water」や「If I Had a Gun」では、ソロになってもそのキャリアが依然として"地続き"で継続していることが証明されているかのように思えた。ただこの日は、前回の来日公演と比べて、Oasisの楽曲多い構成。「The Masterplan」ではホーンセクションが入り、より華やかに、そして「Wonderwall」では、リアム・バージョンよりもキーが上げられ、High Flying Birds色に染まっていた。ライブは「Stop Crying Your Heart Out」でひとまず幕を閉じる。

 アンコールでは、「AKA... What A Life!」を皮切りに「Half The World Away」、そしてお馴染みとなったアコースティックアレンジの「Don't Look Back in Anger」へ。やはり、この日はOasisの楽曲が光っていた。特に「Half The Wolrd Away」は、ホーン隊を交えたためか、リリース当時よりも、華やかなアレンジになっていて、改めてその素晴らしさに気づかされたのだった。ライブを締めくくる最後はなんと、The Beatlesの「All You Need Is Love」。会場全体が大合唱の末、幕は閉じられた。

 今回のライブで感じたのは、何よりもOasisの存在の偉大さである。ライブのハイライト的に盛り上がった曲といえば、High Flying Birdsの楽曲よりも圧倒的にOasisの頃の楽曲が多かったし、ノエルのギター・ソロを弾かず、ひたすらにボーカルに徹する姿には少し物足りなさを感じてしまった。やはりノエルの透き通った歌声は、ミドルテンポのシンプルなギター・サウンドにこそ本領が発揮されるのだろうなと思った。そんなわけで、終演後は抜け落ちたピースが埋まることを願いながら、会場を後にしてしまうのだった。

 

f:id:xxxtomo1128xxx:20190527122708j:plain

 

Setlist

1. Fort Knox
2. Holy Mountain
3. Keep On Reaching
4. It's A Beautiful World
5. She Taught Me How to Fly
6. Black Star Dancing
7. Talk Tonight
8. The Importance of Being Idle
9. Little By Little
10. Dead In The Water
11. Everybody's on the Run
12. Lock All The Doors
13. If I Had a Gun...
14. In the Heat Of The Moment
15. The Masterplan
16. Wonderwall
17. Stop Crying Your Heart Out
(Encore)
18. AKA... What A Life!
19.Half The World Away
20. Don't Look Back in Anger
21. All You Need Is Love

 

open.spotify.com

終演後にはSpotifyにて、初日のセットリストのプレイリストが公開された。こちらの方は、当然リリース当時の音源のため、ライブの時とはまた違っている。時たま、弟リアムの歌声が聞こえてくると、何とも言えない気分になってきた。ライブのセットリストのプレイリストとはいえ、 あくまでも余韻、雰囲気なのである…。