三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

ライブレポート

津々浦々のもの。

NewJeansおじさん、blurおじさんを観る――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その4

17時半になりようやく日が傾いてきたのか、少しだけ気温が下がってきたような気がする。とはいえそれはあくまでこの日の相対的な感覚であり、平時に比べて依然として気温の高い状態は続いていた。この日はあの心地よい潮風がぜんぜん吹いてこない。佐々木朗…

屍の観衆たち――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その3

NewJeansのアクトにより全身汗まみれになってしまったため、一度着替えてから、ZOZOマリンスタジアムのスタンド席に向かう。野球で言えば、三塁側のホーム寄りの位置である。少しばかりは涼しいだろうと思ったが考えが甘かった。座席はやけどするほど熱くな…

灼熱地獄、NewJeans――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その2

あれは……悪夢だった。こんな暑さでライブを観たのは初めてだよ。まるでアツアツの鉄板の上に乗っているみたいだった。日本には確か……ああ、そうだ、オコノミヤキだ。まさにそれになった気分だ。しかももっと驚いたのは、とんでもないくらいの人がその場所に…

序盤の攻め方 2023――SUMMER SONIC 2023に行ってきた その1

いよいよSUMMER SONIC 2023当日である。昨年まではマスクの着用が必須であったが、今年からはそのルールが撤廃され、声出しのほうも自由にすることが可能になった。4年ぶりの制約のないサマソニに、ワクワクが止まらない。8時半頃、朝定食を食べに某牛丼チェ…

狂気の瞬(またた)き、そしてハートに火を灯す旅——エレファントカシマシ 35th ANNIVERSARY TOUR 2023 YES. I. DO ライブレポート

2023年3月19日、日曜。快晴。太陽がやけに高い。久々に厚手のコートではなく薄手のジャケットを羽織った。それでも外を歩いていると少し汗が滲んだ。時おり吹いてくる海風が心地よい。有明テニスの森駅で降り、案内を頼りに歩いていると、独特の曲線を描いた…

再び回り始めたサンセットの歯車とスピッツ——有明サンセット 2022 ライブレポート その3

エレファントカシマシという観測史上最大級の"嵐"が去った後の会場は、すっきりと晴れ渡っていた。ある意味で最高の御膳立てである。続くステージはイベントの主催者、大トリのスピッツである。彼らの音響システムは、マイクをアンプに置いて増幅させず、ア…

台風一過、エレカシ——有明サンセット 2022 ライブレポート その2

観測史上最大級の暴風雨のようなライブ——。「有明サンセット 2022」2日目の3組目は"ダークホース"、エレファントカシマシ。本イベントは、8月の初めになるまで、残り一組が誰になるのか未発表であった。例年、若手から中堅のアーティストがラインアップに軒…

スピッツ愛、溢れる——有明サンセット 2022 ライブレポート その1

2022年9月28日と29日、ここでスピッツが主催する「有明サンセット」なるものが開催された。サンセット企画なるものは例年、新木場のSTUDIO COASTにて「新木場サンセット」が開催されていた*1が、2020年限りでSTUDIO COASTが閉業してしまったために、会場の変…

矢沢、アナタの人生動かしてみせます——EIKICHI YAZAWA 50th ANNIVERSARY TOUR「MY WAY」ライブレポート

池袋西口のカラオケルーム、男は「黒く塗りつぶせ」を予約していた。曲が始まる。イントロのビートが、音の割れたスピーカーから流れる。男は矢沢永吉の歌い方を意識し、しゃがれ気味でシャウトをしながら歌う。曲が終わり、すぐさま次の曲が始まる「時間よ…

代々木にて極まる一人の男あり——宮本浩次 縦横無尽完結編 ライブレポート

2019年6月12日、男は恵比寿LIQUIDROOMのステージにて一人、ギターを持って弾き語りをしていた。宮本浩次、ロック歌手、そしてエレファントカシマシのボーカリスト。ソロアーティストとして自身初の単独ライブであった。汗でぐしゃぐしゃになった長髪の合間か…

富士に太陽、ちゃんとあった——エレファントカシマシ 新春ライブ2022日本武道館 ライブレポート

冬の東京は、雲一つない晴れの日が多い。澄み渡った空気は、都会特有の化学的なツンとした匂いをわずかに含み、あらゆるものをたちまち無機質にさせる。埼玉郊外から電車に乗り、日本武道館へと向かう。この日も、天気は晴れ。ぼんやりと、車窓を眺めてみる…

B'zはモンスターバンドだけれども——SUMMER SONIC 2019に行ってきた その5

こんなブログを見つけた。言わんこっちゃあない。"ピンヘッド三浦"というなんとも馬鹿げた人間がやっているブログである。ここではサマソニに出演するのB'zとニューアルバムについて、高らかに書き連ねられている。当時の筆者はよっぽど高揚していたというこ…

The 1975、ヤバすぎ!——SUMMER SONIC 2019 に行ってきた その4

間違いなくこの日のベストアクトだったのはThe 1975。彼らのパフォーマンスくらいからどんよりとした雲がサーッとはけてきて、あれだけ蒸し暑かった会場には心地のよい風が吹き始めていた。前アクトのWeezerで揉みくちゃになった反省を生かして、アリーナ後…

揉みくちゃでWeezer――SUMMER SONIC 2019 に行ってきた その3

なにやら欽ちゃんの仮想大賞みたいなタイトルになってしまった。18番、揉みくちゃでWeezer――普通にありそうではないか。そんなことはさておいて、Weezerはアリーナ席のかなり前の方で観ることができた。前のYUKIから戻ってくる客の勢いを利用して前へ前へと…

B'zファンとYUKI——SUMMER SONIC 2019に行ってきた その2

SUMMER SONICはMARINE STAGEのスタンド席でだらだらと観ていたが、YUKIおよびWeezer以降のアクトを少しでもいいポジションで観るべく、WANIMAが終わった転換作業のときグラウンド上(アリーナ席)に降り立った。午後3時を回ってもなお、人が密集しているからだ…

強風と後悔の球場で——SUMMER SONIC 2019 に行ってきた その1

SUMMER SONIC 2019の1日目に行ってきた。台風10号の影響とマリンスタジアム特有の浜風との相乗効果によって、この日の会場はとんでもないくらいに風が強かった。割と冗談抜きにして、外野フライがキャッチャーフライになるくらいの風じゃなかったかと思う。…

"アンバランスさ"こそ武器である―BOYS END SWING GIRL ワンマンライブ@WWW X ライブレポート

ライブはこの日のために作ったという、オープニング・ムービーで幕が開けた。インストゥルメンタル・バージョンの「ナニモノ」をバックにオフショットやライブ映像、さらにはこれまでの彼らのディスコグラフィーが走馬灯のように流れてゆく。そして、メジャ…

エレカシの日比谷野音 2019 2日目 ライブレポート―30回目の野音、雨の祝祭

エレファントカシマシ30回目の野音の2日目は雨。ただ、この日も多くの人が集まってきていた。空はどんよりと鉛色になり、ビルの上の方は靄がかかっている。日比谷公園の池のほとりにある、木の下で開演の時を待つ。粒の大きい夏の雨が木に当たり、それが時折…

エレカシの日比谷野音 2019 ライブレポート前夜―2日間で全く違う"音の風景"

今年のエレカシの日比谷野外音楽堂でのライブは、2日間とも外で聴きました。もう、外から聴くのでも十分すぎるもので、本当に素晴らしいものでした。日は曇り空。午前中から降りしきっていた雨は止み、梅雨のほんの僅かの中休みとなったこの日、開演前から外…

"ミヤジの部屋"へようこそ―〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ライブレポート

ありとあらゆるものの密度が濃かった。そして、その濃さをかき回すかのように"混沌"が渦巻いていた―。これは6月12日、宮本浩次53歳の誕生日にLIQUIDROOMで開催された〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉のライブレポートである。 昨年エレファントカシマシは、…

"エレカシの宮本浩次"と"ソロの宮本浩次"―〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ライブレポート前夜

"エレファントカシマシ宮本浩次"と"ソロアーティスト宮本浩次"は全くの別人である——。ソロ活動というものが、エレファントカシマシの延長線だとすれば、この命題のようなものは決して"真"になることはない。けれども、〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉では…

Mr.Childrenのライブで感じた疑問―〈Against ALL GRAVITY〉東京ドーム公演 ライブレポート

幸いなことに、Mr.Childrenのドームツアー〈Against ALL GRAVITY〉の東京ドーム公演に行くことができた。野球好きの筆者としては、東京ドームといえば、4月のイチローの引退試合、さらには先日引退した上原浩治の本拠地球場である。そんなわけで、会場(グラ…

ピースが抜け落ちている感じ―ノエル・ギャラガー来日公演 ライブレポート

ピースが抜け落ちている感じがした―。 それは昨年9月、弟のリアム・ギャラガーの来日公演を観に行ったときも同様の感情になった。2009年にOasisが解散して、10年が経った。この間、ノエル・ギャラガーは、Noel Gallagher's High Flying Birdsとして、ソロ活…

〈Coachella Fes. 2019〉の感想―〈SUMMER SONIC 2019〉出演のThe 1975とWeezerについて

今年も〈Coachella Fes. 2019 (コーチェラ)〉がYouTubeで配信されました。筆者が注目していたのは、なんといっても初日のThe 1975と、二日目のWeezer。これだけは絶対に観ておきたかった。というのも彼らは今年、日本で開催される〈SUMMER SONIC 2019 (サマ…

"喜怒哀楽"が生々しく剥き出しになったステージ——エレファントカシマシ 新春ライブ2019日本武道館 ライブレポート

新春、そして武道館という神聖な地でのライブ。初詣、あるいは初日の出を拝みに行くような心持だった。この日のライブが始まるまでは——。 一八時半、開演時刻を迎えて間もなく会場は暗転し、大喝采の中メンバーが登場する。いつものようにSEはない。静寂を切…

若き新鋭が集った、Mom『PLAYGROUND』リリースパーティ―ライブレポート (ディレクターズカット版)

さとうもか 〈Shibuya O-nest〉で行われたMomのリリース・パーティのトップを飾ったのは、さとうもか。彼女は「今日はYO!Mom君のYO!大事な日だYO!」と、サングラス姿で意気揚々と登場し、披露されたのは「殺人鬼」。効果音を多用したサウンドは、1曲目に…

皆がオアシスの帰りを待っている―リアム・ギャラガー 武道館来日公演 ライブレポート

皆がオアシスの帰りを待っている。自分もそのうちの1人だ。2009年、フジロックに出演した彼らの映像を見て衝撃を受けてからというもの、当時中学生だった筆者はたちまち虜になった。しかしながら、その年の12月に突然起こった兄ノエルの脱退、そしてバンドの…

新木場サンセット 2018 1日目 カネコアヤノ ライブレポート

THE COLLECTORSで作り上げた貫禄と非現実的な世界を拭い去るかのように、自分の世界に染め変えてしまったのはカネコアヤノだった。目尻にキラキラしたラメをあしらったカネコの風貌は、いつも以上に妖精感が増されたような印象を受ける。 1曲目を飾ったのは…

新木場サンセット 2018 1日目 THE COLLECTORS ライブレポート

『新木場サンセット 2018』のトップバッターを務めたのはコレクターズだった。昨年デビュー30周年を迎え、貫禄という名の更なるパワーを付けて、新木場COASTのステージに今年もやってきた。 この日の加藤ひさし(Vo.)は、カラフルなモッズスーツ姿ではなく、…

エレカシの日比谷野音 2018 ライブレポート―全身全霊"魂の叫び"、獅子奮迅の男に垣間見えた"疲労感"

29年連続となったエレカシの日比谷野音ライブは雨だった。今年は外でその演奏を聴くことになったが、雨にもかかわらず日比谷公園は大勢の"外聴き"のファンで溢れかえった―。例年、外で聴くときは決まって公園内にあるフードコートの近くにあるスペースの方へ…