三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

"エレカシの宮本浩次"と、"ソロの宮本浩次"―〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ライブレポート前夜

 "エレファントカシマシ宮本浩次"と、"ソロアーティスト宮本浩次"は全くの別人だ―。ソロ活動というものが、エレファントカシマシの延長線だとすれば、この命題のようなものは決して"真"になることはない。けれども、〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ではこの一見矛盾しているようにもみえる冒頭の一文が、"真"であることを確信したのだった―。

 エレファントカシマシといえば、昨年のさいたまスーパーアリーナでの30周年ライブ〈30th ANNIVERSARY TOUR“THE FIGHTING MAN”FINAL さいたまスーパーアリーナ〉を成功させ、さらには1月の日本武道館ライブ〈新春ライブ 2019 ⽇本武道館〉の記憶が新しい。当然ながらそこでは、"大物"、あるいは"ベテラン"というものが渦巻いていて、その渦は年々大きくなるばかりである。けれども今回の〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉では、そんな"重み"のようなものを一切感じなかった。かなりフレッシュで、初々しい。なんというかこの日は、"エレファントカシマシのボーカリスト"ではなく、しっかりと、初めて弾き語りをするソロアーティスト"宮本浩次"になっていたのだ―。

 セットリストはエレファントカシマシの曲が中心。それも、20-30代の頃のが多かった。特に、エピック・ソニー 時代(1988年 - 1994年)の楽曲は、演奏した楽曲の内の半分近くを占めるほど。宮本は当時の楽曲に関して、「団地の部屋に一人籠って、ギターを弾きながら作った」と振り返っていたが、それが〈恵比寿LIQUIDROOM〉という会場で一たび演奏されると、なんというか、宮本が演奏しているプライベートな部屋を、透明になった壁の外側から覗き見ているような錯覚を覚えたのだった。

 ギター一本、それに歌声だけが乗せられる空間、余計なものは一切ない。それによって楽曲は、原石のように荒っぽいものへと変貌していた。けれども所々が光り、その部分は息を呑むほどに美しい。宮本は自分のタイミングで曲をはじめ、違うなと思ったらやめる。チューニングも曲中であれ、お構いなしにやる。そんな一部始終がまさに、宮本の部屋、平日の昼間に放送される番組っぽくいえば『浩次の部屋』を観ているような感覚なのであった。

 "エレファントカシマシ宮本浩次"は、ある意味で完成されている。彼の表現したいものを"バンドメンバー"というものが補完し、エレファントカシマシという看板にふさわしいものへと仕上げていく。けれども、"ソロアーティスト宮本浩次"は、至って丸腰だ。"原石"という未完成なものをそのまま、どうだ!! と言わんばかりに見せつけてくるのだ。もっと言えば、楽曲の"心臓部分"のような、あるいは"核となる部分"だけで勝負をしている。それによって、たとえ同じ楽曲を演奏しようとも、全く違う趣で突き刺さってきたのだ。〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉、"エレファントカシマシ宮本浩次"と、"ソロアーティスト宮本浩次"が別人であることを確信した—。詳しいライブレポートはまた後日に上げようと思います。乞うご期待…。

 

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セットリスト

01. 風と共に
02. going my way
03. おはようこんにちは『THE ELEPHANT KASHIMASHI II』
04. 偶成『生活』
05. 四月の風
06. 解き放て、我らが新時代
07. 孤独な太陽
08. 太陽ギラギラ『THE ELEPHANT KASHIMASHI II』
09. 冬の花
10. 赤い薔薇
11. 君に会いたい-dance with you-
12. 桜の花、舞い上がる道を
13. やさしさ『THE ELEPHANT KASHIMASHI』
14. ファイティングマン『THE ELEPHANT KASHIMASHI』
15. てって『THE ELEPHANT KASHIMASHI』
16. 待つ男『THE ELEPHANT KASHIMASHI II』

アンコール

17. 月夜の散歩
18. デーデ『THE ELEPHANT KASHIMASHI』
19. 友達がいるのさ
20. 花男『THE ELEPHANT KASHIMASHI』

太字はエピック・ソニー (1988年 - 1994年)時代の楽曲