三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

"アンバランスさ"こそ武器である―BOYS END SWING GIRL ワンマンライブ@WWW X ライブレポート

ライブはこの日のために作ったという、オープニング・ムービーで幕が開けた。インストゥルメンタル・バージョンの「ナニモノ」をバックにオフショットやライブ映像、さらにはこれまでの彼らのディスコグラフィーが走馬灯のように流れてゆく。そして、メジャーデビュー発表のMCの場面へ。

「俺たちBOYS END SWING GIRL、メジャーデビューします!」

時報音が鳴り、記念すべきメジャーデビュー初のワンマンツアーの始まりを告げた―。

 

1曲目はライブの幕開けにふさわしい、朝焼けのように爽やかな「MORNING SUN」からスタート。イントロが流れると、会場は彼らの登場を待っていましたといわんばかりに大きな手拍子で祝福する。冨塚大地(Gt./Vo.)もそれに応えるかのようにいつも以上の気迫で、ボルテージを一気に上げていく。続いて「アンハッピーブレイカー」へ。昨今の"アンハッピー"な出来事をなんだかこの日は、彼らがすべて忘れさせてくれるような、そんな力をこの曲から感じるのだった。そして、前作『NEW AGE』(2018)からのキラー・チューン「蒼天を征け」、「Magic」が披露されると、WWW Xはすでに"濃密なボイエンの空間"と化していた。

 

「今日、俺はライブハウスで、スピーカーで自分の歌が届けられるのを、すごく楽しみにしてやってきました。それは、今からやる新しい曲たちも同じで、みんなに届くのを楽しみにしているんじゃないかな」と言って披露されたのは、最新作『FOREVER YOUNG』(2019)からのリード曲である、ミドルテンポなバラード「Goodbye My Love」、そして激情たっぷりなギターロック「縋 -sugare-」。全く表情の違う、もっといえば"両極"な楽曲を続けても全く違和感なく成立させる彼らの器量には、計り知れないものを感じたのだった。

 

続くMCで冨塚は、"三日坊主"な自分が今でも唯一続いているものが、音楽とサッカーであると語る。そこには、人を喜ばせられるというところに共通点があった。そんな冨塚にとって、音楽を作るときの一番の喜びは、"共感"をしてくれた時だという。それがそのまま聴き手にも伝わり、喜びを見出せることを信じている。そんな冨塚の、共感に対する想いが詰まった楽曲の「毛布の中で抱き合って」へ。冨塚は椅子に座り、優しく語りかけるようにして歌う。それはまるでWWW Xから彼の部屋にワープして聴いているような、親近感があった。ライブ前半は、「ナニモノ」でしっとりと締めくくられる。

 

f:id:xxxtomo1128xxx:20190724074832j:plain

 

まもなく、打ち込みのトラックとともに飯村昇平(Dr.)のU.S.のハードロックバンドのような重たいドラムビートが会場内を支配していく。そこにベースの白澤直人も加わり、力強いビートの塊をぶつけあっていく。"ポップ・バンド"と言われることの多い彼らであるが、そのリズムを構成する楽器はかなりアグレッシブ。ベース&ドラムのジャムセッションの後に続いて披露されたのは「Beasts」。ボイエンの"爽やか"というイメージと向き合い、殻を破ろうともがいたこの楽曲は、ライブにおいても鮮烈にハイライトととして刻まれるのだった。

 

そして最新作から、こちらもパンキッシュな歌詞が連なった「Boo Let it go!!」が続けざまに披露される。冨塚は「嫌いな奴や、ムカついている奴がいると思うけど、俺はそれに耐えて、抑えながら、至って爽やかにやっています」といっていたが、そんな鬱憤全てを発散するかのように歌い上げ、バンドの演奏も熱を帯びてゆく。その瞬間だけはなんというか、EPICソニー時代のエレファントカシマシのような、攻撃的でひりひりした空気に包まれていた。

 

そんな空気を一新させるように、ボイエンのアップ・チューン「SUNNY!!」~「リベラルセブンティーン」を披露し、更にギアをあげていく。ライブは「Alright!!~令和若者賛歌~」で、最高のボルテージに上がったままひとまず終演。アンコールでは、冨塚の弾き語りによる「クライベイビー」から披露される。シンプルなピアノの音に歌声だけが響き渡る空間は、なんとも耽美だった。そして最新作のタイトルでもあり、彼らにとっての思い入れのある「フォーエバーヤング」で、アンコールも華々しく締めくくられた。

 

様々なギミックが施された今回のワンマンライブ。一体次に何が起こるんだろうか―。そんな心持で観ていてとにかく、ワクワクした。そうさせたのは確かに、演出的な要素もあっただろう。ただ、それよりもおそらくは彼らからにじみ出る"アンバランスさ"にあったように思える。というのもボイエンは、音楽性も性格も、誰一人として同じベクトルを向いていない感じのメンバーが集まり、何とかしてBOYS END SWING GIRLという屋号の中で音楽を奏でているバンドである。もうそれだけで、十分に面白いのだ。そしてライブでは時折、メンバーの嗜好が垣間見えるような瞬間がある。それは、それぞれのソロのパートであったり、あるいはMCであるかもしれない。そうなった暁に、ボイエンのライブはさらに面白いものへと変貌を遂げていくのだ。今後もそんな彼らの"アンバランスさ"に期待したい。

 

f:id:xxxtomo1128xxx:20190722201628j:plain

 

セットリスト

Opening Movie
01. MORNING SUN
02. アンハッピーブレイカ
03. 蒼天を征け
04. Magic

05. Goodbye My Love
06. 縋 -sugare-
07. リレイズ

08. 毛布の中で抱き合って
09. Wonder Light
10. ナニモノ
Drum & Bass Solo
11. Beasts
12. Boo Let it go!!

13. SUNNY!!
14. ロックンロールファンクラブ
15. リベラルセブンティー
16. Alright!!~令和若者賛歌~

アンコール

17. クライベイビー
18. フォーエバーヤング