三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

2025-01-01から1年間の記事一覧

Oasis Live '25 来日公演の記録Ⅴ——敗れたる者たち

チケットを求める仁義なき戦いはまだ続いていた。水道橋駅西口、開演時間まであと1時間。向かいにはリアム・ギャラガーの顔を切り抜いた紙を、お面のように貼り付けた偽リアム・ギャラガー。そして「ワン・ティケット!ワン・ティケット・フォー・ミー・プリ…

Oasis Live '25 来日公演の記録Ⅳ——LIVE FOREVER ダフ屋

彼は無理だと思ったことは始めから諦めるタイプの人間であった。ここでいう彼とは筆者の友人のEのことである。このブログにも度々登場する男*1であるが、彼もまたOasisのチケットを求めていた。筆者同様、チケットを手に入れることは叶わず、挙句の果てに「…

Oasis Live '25 来日公演の記録Ⅲ——高架下より愛を込めて

水道橋駅東口、14時半。東京ドームのお膝元。ここでは、Oasisのチケットを巡った戦いが繰り広げられていた。戦いといっても何のことはない、「Oasisのチケット1枚お譲り下さい」そう書いたボードを胸の前に出し、声をかけられるのをただひたすら待つだけであ…

Oasis Live '25 来日公演の記録Ⅱ——チケットをください

居ても立っても居られないことというのは、生活が慎ましやかであればあるほど数少ない機会となってしまう。朝、アラームが鳴る。眠たい目を擦りながら起床。朝の通勤列車に乗る。人混みは東京の中心部に近づくにつれて圧縮されていく。サラリーマンの吐く息…

Oasis Live '25 来日公演記録Ⅰ——酸っぱいブドウ

「酸っぱいブドウ」という話がある。あるところに一匹の腹ペコなキツネがいた。お腹をグーグー鳴らしながら歩いていると、突然ブドウ畑が現れた。まさしく神の恵み。朦朧とした視界でブドウをみてみると、ルビー色に輝く実はミチミチに詰まっており、実に美…

HERO'S JOURNEY——宮本浩次「俺と、友だち」日本武道館公演 ライブレポート 後編

宮本浩次の「俺と、友だち」日本武道館公演はいよいよ中盤、第2部に差し掛かる。宮本は黒シャツから白シャツに装いを改めて登場し、コードを軽く弾いて始まったのはエレファントカシマシの「Hello. I love you」だ。先ほどの「It's only lonely crazy days」…

THE BAND.——宮本浩次「俺と、友だち」日本武道館公演 ライブレポート 前編

九段下、退勤ラッシュ、いつもとは違う電車。「大きな玉ねぎの下で」を断片にした発車メロディーを背に、2番出口の表示を探す。入り組んだ地下鉄の通路をアップダウンし、長い階段を上ってようやく外に出る。たちまち、東京の疲労を凝縮したような悪臭が立ち…

野音バックヤード 2022年9月25日

眠い目を擦り外を見やる。雲一つない、まさに絵に描いたような秋晴れだ。ベッドでしばらくダラダラとした後、洗濯物を干すためにとりあえず起き上がってみる。昨日まで秋田の実家にいたが、その時は生活が安定していたような気がする。生活はあっという間に…

名にし負ふ野外舞台に捧ぐ唄——エレファントカシマシ 日比谷野音 The Final〜 俺たちの野音 ライブレポート 後編

コンサートはまだ始まったばかりであったが、一寸の余地もないほど濃密な時間が流れていく。観客は一音も逃すまいと、全身全霊でひたすら対峙する。エンターテイメントを超越した神事のような緊張感が場内に充満していた。「ブワァー」と立て続けに数回、「…

東京は秋風の中——エレファントカシマシ 日比谷野音 The Final〜 俺たちの野音 ライブレポート 前編

千代田線車内、電車は東京の中心部へと向かっていた。朝も夜も変わらない、地下鉄の暗くて長いトンネル。数分おきに駅のホームに到着し、その度に蛍光灯の白い光が充満する。まずはホームドア、それから電車のドアが開き、車内の人々の風景が目まぐるしく流…

20251008 - エレカシにまつわる雑記

川沿いの彼岸花が枯れていた。夏の暑さがもう遠い昔に感じられるようになった今日この頃、私はエレファントカシマシの日比谷野外大音楽堂で行われたコンサートについて書いていた。いわゆるライブレポートというものである。当時、五感を通して刻印された記…

マイ・ネーム・イズ・ビリー・アイリッシュ――藤井風 ライブレポート BILLIE EILISH HIT ME HARD AND SOFT TOUR 後編

17時ちょうど、会場内が暗転する。それと同時に一斉にスマートフォンの明かりが点灯し、場内は夜景のような光の点に様変わりする。まもなく観客のどよめきを切り裂くように、インストゥルメンタルが始まった。ロバート・マイルズの「Children」を思わせるク…

ビリー・アイリッシュ百景――藤井風 ライブレポート HIT ME HARD AND SOFT TOUR 前編

人だかりのさいたま新都心。その格好は様々であったが、多くの人はオーバーサイズの半袖短パンにバンダナのスタイルであった。そう、今日はビリー・アイリッシュのライブが開催されるのである。アーティストの格好を真似するファンの構図というのはよくある…

ニッポン大衆芸能の極致を目撃シタ!――サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」さいたま公演 ライブレポート 後編

サザンオールスターズのさいたまスーパーアリーナ公演にやって来た一人の青年。幸運にもアリーナ席の前方エリアという座席を引き当て、夢か現か区別もできぬまま、ただその演奏に圧倒されるばかりであった。「愛の言霊 ~Spiritual Message~」のカオスを目…

ニッポン大衆芸能の極致を目撃シタ!――サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」さいたま公演 ライブレポート 前編

令和7年2月8日、さいたま新都心駅の近代的なアーケードを抜けると、澄み渡った青空が広がっていた。ヒュルリヒュルリとビルの風、すごい勢い吹いてくる。強烈な冬の寒波が列島の、各所を回るこの日の風は、いつにも増して鋭く冷たい。薄着タイツのお姐さん、…

三浦的2024年ベスト・アルバム5選――洋楽編

1. Foster the People - Paradise State of Mind 「Sacred Hearts Club」以来、実に7年ぶりとなった作品である。もともとはより短いスパンでアルバムを出す予定であったが、コロナウイルスの流行により計画が頓挫し、結局2020年に『In The Darkest of Nights…

三浦的2024年ベスト・アルバム5選――邦楽編

1. 米津玄師 - LOST CORNER 企業のCM曲、映画、ドラマ主題歌。音楽業界においてはしばしばタイアップなどと言われるが、現在最も引っ張りだことなっているのは米津玄師、その人だろう。筆者の中で最も印象的であったのは、映画『君たちはどう生きるか』のエ…

三浦的2023年ベスト・アルバム5選――洋楽編

1. Foo Fighters - But Here We Are 2022年3月25日、バンドのドラマー、テイラー・ホーキンスが突然この世を去った。フロントマンに次ぐ"要"は、世界的なバンドともなると必ずいるものであるが、彼はまさしくそんな存在だった。フロントマンのデイヴ・グロー…

三浦的2023年ベスト・アルバム5選――邦楽編

1. BUCK-TICK - 異空 -IZORA- BUCK-TICK"第一期"の最終形態にして最高傑作。ゴシックな世界観をこれ以上にないほど極限まで構築しきった完璧な作品である。30年以上のキャリアにもかかわらず、このような先鋭的な作品を生み出した事実には驚くばかりである。…

官能と洗練――Red Hot Chili Peppers The Unlimited Love Tour 2024 東京ドーム公演 ライブレポート

午前中までの雨が嘘だったかのように止み、夕暮れ時の心地の良い風が吹いてきた。会場の東京ドームには開演2時間前に到着したが、既に多くの人が集まっていた。見たところ、30代から40代くらいの男性が多いような印象であった。おそらくは世代的に2006年の『…

日光をゆく 鬼怒川温泉編

www.miuranikki.com www.miuranikki.com 日光東照宮まで、行きはバスであったが、帰りは歩いて東武日光駅に行くことにした。途中でいくつか事前にチェックしていた店に寄る。まず行ったのは「三ツ山羊羹本舗」という羊羹専門店。1895年創業の老舗である。水…

日光をゆく 日光東照宮編Ⅱ

www.miuranikki.com 初詣がてら、日光東照宮に参拝する。入口にて参拝料1600円を家康公にせしめられた後、豪華絢爛な陽明門を抜け、御本社へと向かう。靴を脱ぎ、御本社廻廊を歩く。1月の日光である。当然ながら床は冷たい。冬の朝一番の体育館を靴下だけで…

日光をゆく 日光東照宮編Ⅰ

目覚まし時計が鳴る。6時15分、窓の外はまだ暗い。今日は日光東照宮へ初詣に行く。支度していると友人Aから、電車に乗り遅れたというメッセージが送られてきた。この友人Aというのは生粋のメタラーであり、弊ブログにも何度か登場している*1。メタラーは時計…