三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

邦楽

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (エレファントカシマシ編)

いよいよトリのエレカシの出番を迎える。30周年の、しかも"スペシャル"であっても、いつものように登場の際のSEはなし。拍手と歓声の中、メンバーは至ってシンプルに登場する。テンション低めに何かぼそっと言い放った後、一瞬の静寂に包まれたかと思えば、…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (Mr.Children編)

xxxtomo1128xxx.hatenablog.com スピッツの出番が終わり、次のバンドの転換作業に入った。万全の状態で次を迎えるべく、ここでトイレへと向かう。空いてるだろうと思って少し遅れてトイレへ向かったのが誤算、トイレには長蛇の列ができていた。仕方なく並び…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (スピッツ編)

何とも歴史的な夜だった。2018年3月18日、エレファントカシマシとスピッツとMr.Children、そうそうたる顔ぶれがさいたまスーパーアリーナを舞台に一堂に会した。3バンド合わせてCDの総売り上げ枚数は一体何枚になるんだろうか、そんな愚問が脳裏をよぎる。そ…

エレカシと都会の風景について―音楽の「土着性」の存在を踏まえて

大学に入学するにあたり、埼玉の郊外で一人暮らしを始めた。自分の住む場所は高度経済成長期の真っ只中に造られた、"マンモス団地"と呼ばれる住宅団地の一角にある。夕暮れ時、大学からの帰り道。住宅街の真ん中にオアシスのようにぽつんとある公園では子供…

ビルと電車の風景との融合―エレファントカシマシ「武蔵野」レビュー

2017年の日比谷野音で開催されたライブで「武蔵野」が演奏された時である。日比谷公園の自然とビル群の風景に、曲が溶け込み調和していく感覚を覚えた。というのも宮本は、曲が始まる前に、 甲州街道を僕は行くあゝ遠くの山まで 山まで行く こんな歌詞で即興…

Ya Ya ~あの時代を忘れない~ / サザンオールスターズ

サザンオールスターズは父が好きなバンドで、カーステレオからしょっちゅう流れてくる。その時に流れてくるのは決まって『バラッド’77~’82』(1982)。どうやら父は最近のサザンよりも、初期のサザンの方が好きらしい。最近もいい曲たくさんあるよ、なんて言っ…

エレカシの「浪人時代」と自分の「浪人時代」を重ねて―『ココロに花を』を通じて

大学受験に失敗し"浪人生"をやっていた時期が自分にはあった。自分の浪人生活というのは寮生活で、自室には参考書以外はほとんど持ち込んでおらず、入試が近づいてくるとさすがに気が滅入ってきていた。朝夕がぐっと寒くなり、雪がちらつくようになった頃、…

桜の花、舞い上がる道を / エレファントカシマシ

「桜の花、舞い上がる道を」は、『昇れる太陽』(2009)に収録されている。アルバムのクライマックスにふさわしい、壮大な曲といえるだろう。宮本の華があって力強い歌唱には、ストリングアレンジが映える。この曲では宮本の歌唱力の高さをうかがうことができ…

「悲しみの果て」に秘められている力―エレカシとの出会いのきっかけを追想して

ongakubun.com ロッキンオンの『音楽文』に掲載されたもののリマスター版。掲載されたバージョンは書きたいことが多すぎてやたらと長ったらしくなってしまった。今回はその反省点を踏まえ、かなりの推敲を重ねた。多分以前よりは読みやすくなっていると思う。…

エレファントカシマシ 日比谷野外大音楽堂 2016 回想録

エレファントカシマシは、日比谷野外音楽堂(通称"野音")でのライブをデビュー以来、毎年のように行っている。ここ最近だと、彼らの長年積み重ねられた歴史によって、"聖地"のように祀られるようになってきてしまっている。このライブには、彼らの"歴史"と都…

エレカシの日比谷野音が聖地たる所以――2017年の日比谷野音でのライブを通して

今回の記事は以前ロッキンオンの『音楽文』に掲載された文章の"リマスター版"。エレカシの日比谷野音が開催される際の"聖地"という言葉が。聖地とは宗教的な意味合いを持つものだが、転じてサブカルチャーにおいて重要な意味を持つ地域を指す場合も見受けら…

エレカシの再レコーディングアルバムについて

再レコーディングアルバムと言えば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが2016年に『ソルファ』(2005)を再レコーディングした『ソルファ(2016)』が上がるだろうか。エレカシは、そのキャリアにおいてこれまで22枚のオリジナルアルバムを出しているが、再レコーディン…

花の写真 / スピッツ

スピッツ13枚目のアルバム『とげまる』(2010)に収録されている曲。カントリー調で明るく、軽やかな曲調には何とも悲しく、切ない歌詞が乗せられている。 小さなカメラがつないでる 切れそうで切れない細い糸 取り残されてるような 古ぼけた街で そういえば去…

『MODERN TIMES』の"隠しトラック"について

『MODERN TIMES』には"隠しトラック"なるものがあるというのが、Twitterで出回っていた。しかもデジタル音源では聴けないという。そんなもんで、久々に部屋の奥からCDプレーヤーを引っ張り出した。1曲目を巻き戻すと"1 0:00"から"1 -0:41"になった。曲のトラ…

Hero / PUNPEE

『MODERN TIMES』は2017年にリリースされたPUNPEEの記念すべき1st(?)アルバム。というのも彼は今までもアルバムを出したことはあるがいずれも限定生産で、『MOVIE ON THE SUNDAY』に関しては違法ドラッグみたいなとんでもない値段で取引されている。そんなも…

百八円の恋 / クリープハイプ

どこにでもあるようなありきたりの音楽は、ありきたりの評価のまま終わり、しまいには世間から忘れ去られてしまう。クリープハイプの音楽がそうでないとすれば、ありきたりではない、特別感のようなものは何だろう―。 「百八円の恋」はキャリア通算4枚目の『…

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (後編)

「もしもエレカシがカバーアルバムを出したら」の後編。ここではTrack11とBonus Trackを載せている。11. スローバラード/RCサクセション、BT1. Paint It, Black/The Rolling Stones、BT2. Touch Me/The Doors、BT3. Aerosmith/The Farm

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (中編)

「もしもエレカシがカバーアルバムを出したら」の中編。ここではTrack5からTrack10が載っている。5. 空が鳴っている/東京事変、6. いとしのエリー/サザンオールスターズ、7. 喝采/ちあきなおみ、8.サムライ/沢田研二、9. ファイト!/中島みゆき、10. 主人公/…

もしもエレカシがカバーアルバムを出したら (前編)

これまでエレファントカシマシは様々な楽曲をカバーしてきたが、音源化されているのは「翳りゆく部屋」のみ。そんなわけでエレカシのカバーアルバムがもしもできるとしたら収録してほしい曲を、自称エレカシマニアの不肖三浦が独断と偏見で選んでみたい。1. …

東京からまんまで宇宙 / エレファントカシマシ

「東京からまんまで宇宙」は『MASTERPIECE』(2012)に収録されている。以前書いた『RAINBOW』(2015)が彼らの転換期だとすれば、 xxxtomo1128xxx.hatenablog.com このアルバムの頃はその直前であり、バンドとしてのひとまずの到達点を迎えた段階といえる。この…

ないものねだり / フジファブリック

『CHRONICLE』(2009)に収録されている曲。このアルバム発表後、7か月が経ってボーカルの志村正彦は帰らぬ人となってしまう。そのためこのアルバムが彼の遺作ということになってしまった。バンドでフロントマン的な存在が亡くなると、そのバンドのチャートは…

the pillowsの思い出、風景

高校1年の頃、勉強がてら何気なくラジオを聴いていた時、なんだか「かっこいい」音楽が流れてきた。「へぇー、the pillowsっていうんだ」初めて聴いたときというのはそんなリアクションだった。バンドが好きになるきっかけによくある文言で、"よくある何かに…

love me, I love you / B'z

「love me, I love you」は1995年に発売された8枚目のアルバム『LOOSE』に収録されている。この曲はB'zのキャリア初期にみられる、シンセサイザーや打ち込みが多用されたダンス・ミュージック的な要素を踏襲しつつも、しっかりとしたバンドサウンドになって…

シグナル / エレファントカシマシ

エレファントカシマシの17枚目のアルバム『町を見下ろす丘』に収録されている曲。都心からちょっと外れた場所にある団地の匂いがしてくるような雰囲気がこの曲にはある。 夜はふけわたり 家までの帰り道 町を見下ろす丘の上立ちどまり はるか、かなた、月青…

PIANO MAN / Mr.Children

ジャズっぽいアレンジが施されたピアノが印象的な「PIANO MAN」、2007年にリリースされた『HOME』に収録されている。このアルバムは彼らのキャリアの中で初めての年間1位を獲得し、セールス的にも大きな成功を収めた。それは大衆からの大きな共感を得たとい…

スカイハイ / UNICORN

1993年の解散から16年の月日が流れ、2009年にUNICORNは再結成を果たした。再結成といえば期間限定であったり、昔の曲を中心にツアーを回ったりするバンドもいたりするけれど、UNICORNは解散前と何ら変わらないスタイルで、曲を世の中に出し続けている。「ス…

すばらしい日々 / UNICORN

UNICORNは1993年に解散してしまうが、その解散直前に出されたシングルがこの「すばらしい日々」である。 この時期のUNICORNはドラムの西川幸一が脱退し、サポートドラマーの古田たかしを携えて活動を行っていた。そのためこの曲は、奥田民生が脱退した西川に…

12月の雨の日 / はっぴいえんど

この曲が作られた1969年というのは、安保闘争や東大安田講堂事件なんかにみられる「反体制」の混沌とした時流に乗せて、フォークとロックがそれぞれのジャンルで世間と対峙する、そんな時期だった。ロックというジャンルにおいても今とは別の混沌を極め、ち…

また逢う日まで / 尾崎紀世彦

レコード大賞かなんかの授賞式で「また逢う日まで」を歌った映像を観たことがあるが、その時の尾崎の歌唱というのはダイナミックなホーン隊の演奏に全く負けない割れんばかりの声量で、画面越しでも圧倒された。冬の寒い日に、突如として太陽の日差しが差し…

Ride on shooting star / the pillows

the pillowsを知ったのは、ボーカルの山中さわおがラジオパーソナリティーを務める『the pillows POISON ROCK 'N' ROLL』という番組が、自分がいつもラジオを聴いている時間にちょうど流れてきたのがきっかけだ。 この番組を初めて聴いたときは、MCの声が若…