三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

スカイハイ / UNICORN

1993年の解散から16年の月日が流れ、2009年にUNICORNは再結成を果たした。再結成といえば期間限定であったり、昔の曲を中心にツアーを回ったりするバンドもいたりするけれど、UNICORNは解散前と何ら変わらないスタイルで、曲を世の中に出し続けている。「スカイハイ」は再結成の発表後間もなくリリースされたアルバム『シャンブル』に収録されている。初め、この曲を聴いたときは、なんだか奥田民生のソロの延長みたいだなと思ったけど、何度か聴いているうちにやっぱりれっきとしたUNICORNのサウンドになっていることに気が付いた。

 

UNICORNはメンバー全員が作詞作曲、さらにはボーカルを務める。そのため1人だけがフロントマンを務めるような「独裁制」ではなく、全員が同じパワーバランスで均衡を保っていくようないわゆる「分権制」である。「スカイハイ」は作詞作曲ボーカルが奥田で、当然ながら「奥田民生色」の強い曲だ。そんな曲であってもしっかりと「UNICORN色」を出すための彼らのチームワークがいかんなく発揮されている。ダイナミックなドラム、攻撃的なベース、奥田の声に重なるEBIと阿部のコーラス。これはソロの時の奥田には到底出せないサウンドである。

 

奥田は再結成のドキュメンタリー映像でソロとバンドでやっていることは変わらないと言っていた。それは奥田のその時にやりたい音楽が、あくまでもUNICORNという「土俵」で表現されているに過ぎないといえる。とはいえ音楽の趣味嗜好というのは変わりゆくもので、奥田の音楽性というのも80年代のコテコテのビートロックから、ブリティッシュロックへと傾倒していき、94年以降のソロ活動ではそれが如実に表れ、その流れが『シャンブル』にそのまま反映されている。この曲を一番最初に聴いたときは奥田民生のソロ曲だなと思ったのはそのためだと思うが、いざ蓋を開けてみればしっかりとUNICORNなのである。

 

16年ぶりにメンバーそれぞれの土台を作ったホームグラウンドに帰ってきて、そこで奏でられる音楽というのは何とも言えない感慨深さがある。UNICORNの再結成ライブを観たときは、長年のブランクは一切感じられず、貫禄がついて良い感じに脂がのっていた。それは長年メジャーリーグでプレーしていた日本人選手が日本のリーグに帰ってきて、年相応のいぶし銀の輝きを放つプレーを見せ、さらにはタイトルを獲らんばかりの活躍を見せるようなものである。奇しくもメジャーリーグで17年目を迎えるあの伝説的な日本人選手と重なってしまった。彼も早く日本に帰ってきてプレーしてくれないかなぁ。【ほぼ日刊三浦レコード9】

 

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