「love me, I love you」は1995年に発売された8枚目のアルバム『LOOSE』に収録されている。この曲はB'zのキャリア初期にみられる、シンセサイザーや打ち込みが多用されたダンス・ミュージック的な要素を踏襲しつつも、しっかりとしたバンドサウンドになっている。ポップ寄りの今作に至っても、「ロック」ユニットとしての威厳だけはしっかりと保っているといった感じである。
松本の気持ちのいいギターの音色は、要所でいいアクセントとなってポップな曲に緊張感をもたらしている。また、旋律に沿うようにして奏でられるギターのフレーズは、他の楽器を決して邪魔することなくうまい具合に曲と融合している。稲葉は稲葉で、いつもの調子で突き抜けるようなハイトーンボイスをこれでもかというぐらいに響かせている。今でもこの曲をライブなどで歌う機会が見受けられるが、デビュー当時とほとんど変わらないその歌声には本当に驚かされるばかりだ。
歌詞に関してもいい感じでB'zらしさが出ている。たとえば最後の方。
Let's give it away けなしてないで
たまにゃ海も山も人も誉めろよ
なんちゅうLOVE! 自分の芯から
気持ちよくなりたけりゃ今出して
「海も山も人も誉めろよ」、これは中々のパンチラインである。人をけなしてばかりいないで認めることも大切である、なるほど確かにそうだ。そう思わせた直後、「なんちゅうLOVE!」なんていう言葉が飛び出す。普通に考えれば、格好悪いはずであるが、この部分はメロディーと歌詞がビシっとはまっていて、むしろ気持ちがいい。こんな歌詞で歌っても様になってしまうのは、日本中どこを探しても稲葉だけであろう。
この曲にはどの部分においても、B'zをB'zたらしめているような要素が満載に詰め込まれている。そんなもんだから、もし「B'zの音楽を1曲で」表現するとなったら、真っ先にこの曲を挙げることになると思う。【ほぼ日刊三浦レコード12】