三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (スピッツ編)

 何とも歴史的な夜だった。2018年3月18日、エレファントカシマシとスピッツとMr.Children、そうそうたる顔ぶれがさいたまスーパーアリーナを舞台に一堂に会した。3バンド合わせてCDの総売り上げ枚数は一体何枚になるんだろうか、そんな愚問が脳裏をよぎる。それもそのはず、お笑いでいえばダウンタウンとウッチャンナンチャンととんねるずが同じ画面上に映るようなものである。只事ではない。終始気持ちの整理がつかなかった。というかつくはずもなかった。当然ながら情報処理のキャパはあっという間に限界を迎えた。今回はそんな溢れ出た情報まで何とか拾い集めて、拙いながらもライブレポートを書いてみたいと思う。

 1バンド目はスピッツ。「SUGINAMI MELODY」でメンバーたちは登場する。このSEが何なのかを知らなくて正直のところ、照明がつくまでスピッツが出てきたのかMr.Childrenが出てきたのか分からなかった。困った。だが不肖、スピッツの"イントロ"には滅法強かった。それが功を奏し最初の音を聴いた瞬間にスピッツだと分かった。早押しなら結構早かったと思う。1曲目は「春の歌」。1曲目から名曲中の名曲。軽音サークルでしばしばスピッツの真似事をしている身にとって、初めて見る本物のスピッツというのは感慨深いものがあった。知らない間に涙が出ていた。今日はドライアイで流れる涙ではない。

 間髪を入れずに「恋する凡人」、「8823」と続く。会場で聴くと、高音を効かせた歪まくる三輪と草野のギター、走りまくる崎山のドラムの音が相まって、CDや映像で観たときでは分からなかった演奏の尖りっぷりを感じることができた。しかもベースの田村は複雑なラインを弾きながらメンバーの誰よりも縦横無尽に走り回っている。こうしてみると改めてスピッツは"ロックバンド"であるということをまざまざと見せつけられたのだった。

 次に演奏されたのが『インディゴ地平線』(1996)から「初恋クレイジー」。この曲はかなり嬉しかった。というのもスピッツの出会いのきっかけとなったアルバムの収録曲だったからである。幼稚園ぐらいの時に車の中で聴いて、三浦少年はハマっていた。その時のことを思いだし、しばし感慨にふけっていた。

 続いてスピッツによるエレカシの曲のカバー披露される。選曲はエレカシ4枚目のシングル「浮雲男」(1988)。渋い、渋すぎる。しかしながらそんな曲もスピッツの手にかかれば一瞬にして彼らの色に染まる。〈ぷかり タバコをくゆらす男〉がむさ苦しく、世間に背を向けるような青年から、あっという間にタバコなんて到底似合いそうもない爽やかな青年へと変貌していた。

 "激渋"なカバーの後は比較的最近の楽曲「みなと」。心が洗われるような透明感のあるサウンドに、少し寂れた港の風景の歌詞と相まってこの曲にはどことないもの悲しさがあった。30年のキャリアを越えてもなおスピッツというバンドが現在進行形で活躍していることを改めてみせつけられた、そんな曲であった。

 「愛のことば」に引き続き、ビッグヒットアルバム『ハチミツ』(1995)からは「涙がキラリ☆」。それにしても草野の声は本当に若い。イントロのギターのチョーキングでもものすごい攻撃的な音を出し、若い頃のパッションそのままだった。エレカシの宮本が好きな曲として挙げていたのでひょっとしたらそれが関係していたのかもしれない。

 最後に演奏されたのはこれも『ハチミツ』から「トンガリ'95」。なぜこの曲を最後に、と思ったけれど、サビの部分の〈君は今 誰よりもとがっている〉という歌詞。これを宮本に対するメッセージとして伝えたかったのかもしれない。確かに50を過ぎてもなお一層彼は尖っている。それを今一度踏まえると最後にふさわしい曲だったように思う。

 スピッツは、CDはもちろん、ライブの映像まで殆どを観てきたが、今回のライブでもスピッツの演奏の上手さは相変わらず健在だった。草野は本当に50歳なのか、時より見せる少年のような表情は到底そうは見えなかった。"永遠の少年"とでもいえようか。夢のような時間はあっという間に過ぎていた―。【ほぼ日刊三浦レコード34】

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セットリスト
01. 春の歌
02. 恋する凡人
03. 8823
04. 初恋クレイジー
05. チェリー
06. 愛のことば
07. スターゲイザー
08. 浮雲男(エレファントカシマシ)
09. みなと
10. 涙がキラリ☆
11. さわって変わって
12. スパイダー
13. トンガリ'95
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