ほぼ日刊三浦レコード
2作目というのは、ある種アーティストにとって一つの関門である。1作目の成功が仇となりそのまま没落していくか、Nirvanaのように『Nevermind』で爆発的なグランジ・ムーブメントを巻き起こすか。あるいはOasisの『Morining Glory (What's The Story?)』のよ…
時間がたっても古臭くならない――そんな作品があるとしたら真っ先にエレファントカシマシのファーストアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI』を挙げるだろう。1988年、平成末期"バブル景気"真っただ中の日本で産み落とされた本作。ただ、好景気に浮足立ったよう…
2010年代の音楽シーンを語るうえで、定額制ストリーミングサービス(ストリーミング)の浸透というのは切っても切り離せないトピックであるだろう。2011年にアメリカに上陸してからというもの、音楽市場においては爆発的にその規模を拡大させ、世界的に見ると…
2010年代の音楽シーンを一言で表せば、"音楽のメインストリームの分散期"であったように思える。つまり、音楽媒体におけるメインストリームというのはどこにあるのかという問いに関して、すぐに答えることはできなくなったということである。少なくとも30年…
ライブはこの日のために作ったという、オープニング・ムービーで幕が開けた。インストゥルメンタル・バージョンの「ナニモノ」をバックにオフショットやライブ映像、さらにはこれまでの彼らのディスコグラフィーが走馬灯のように流れてゆく。そして、メジャ…
長きにわたって第一線で活動してきたバンドには、"大御所"だとか"ベテラン"という枕詞がつけられがちである。時にそれは大きな足かせとなって、バンドのイメージを固定化させるものとなったり、新曲を出しても新鮮味をもって聴かれなくなったりしてしまう。…
ジョー横溝氏がMCを務めるInter FM、『ほぼ週刊○○ナイト! "ほぼ週刊宮本浩次ナイト!"』にて、エレファントカシマシの宮本氏が蔦谷好位置氏について語る場面がありました。これが放送されたのは2010年。ちょうどアルバム『悪魔のささやき~そして、心に火を灯…
エレファントカシマシ30回目の野音の2日目は雨。ただ、この日も多くの人が集まってきていた。空はどんよりと鉛色になり、ビルの上の方は靄がかかっている。日比谷公園の池のほとりにある、木の下で開演の時を待つ。粒の大きい夏の雨が木に当たり、それが時折…
2012年、NACK5のラジオ番組『J-POP TALKIN'』でのパーソナリティ田家秀樹氏とのインタビューにて、エレファントカシマシの宮本浩次氏が"無限ビート"について語っていた。備忘録として少しばかり書き起こしてみたい。 田家秀樹(以下田家):宮本さんは、生き急…
今年のエレカシの日比谷野外音楽堂でのライブは、2日間とも外で聴きました。もう、外から聴くのでも十分すぎるもので、本当に素晴らしいものでした。日は曇り空。午前中から降りしきっていた雨は止み、梅雨のほんの僅かの中休みとなったこの日、開演前から外…
音楽をアルバムで聴くことについて、『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』にてスピッツの草野マサムネ氏が語っていました。気になったので、少しばかり書き起こしをすることにします。以下書き起こし。 これはですね、広島県の方からです。「学校の友達…
初夏の広大な草原で、さわやかな風に吹かれている——。スピッツの通算42枚目となるシングル「優しいあの子」を一聴したときに、パッと浮かび上がってきたのは北の端にある牧歌的な風景。そしてそこでは、『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する、遊牧民族の…
ありとあらゆるものの密度が濃かった。そして、その濃さをかき回すかのように"混沌"が渦巻いていた―。これは6月12日、宮本浩次53歳の誕生日にLIQUIDROOMで開催された〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉のライブレポートである。 昨年エレファントカシマシは、…
"エレファントカシマシ宮本浩次"と"ソロアーティスト宮本浩次"は全くの別人である——。ソロ活動というものが、エレファントカシマシの延長線だとすれば、この命題のようなものは決して"真"になることはない。けれども、〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉では…
幸いなことに、Mr.Childrenのドームツアー〈Against ALL GRAVITY〉の東京ドーム公演に行くことができた。野球好きの筆者としては、東京ドームといえば、4月のイチローの引退試合、さらには先日引退した上原浩治の本拠地球場である。そんなわけで、会場(グラ…
ピースが抜け落ちている感じがした―。 それは昨年9月、弟のリアム・ギャラガーの来日公演を観に行ったときも同様の感情になった。2009年にOasisが解散して、10年が経った。この間、ノエル・ギャラガーは、Noel Gallagher's High Flying Birdsとして、ソロ活…
GLAYといえばさかのぼること10年ほど前、筆者が中学生の頃しばしば聴いていた。当時はビジュアル系のバンドが好きで、特にX JAPANをよく聴いていた。で、その弟分的な存在であるGLAYだとかLUNA SEAだとかも派生して聴くという感じだった。GLAYがビジュアル系…
ただのポップバンドでは終わらせない、新しい扉を開けるんだ―。 2018年、彼らは4作目となるミニアルバム『NEW AGE』をリリースした。今までのストレートなギターロックサウンドから一新させたポップなサウンドの今作は、「全年齢対象バンド」という彼らのコ…
先日リリースされた、宮本浩次の2作目となるソロ・シングル「解き放て、我らが新時代」。一聴したときに感じたのは、エレファントカシマシの2000年代初頭の頃の作品。この時期の彼らといえば、宮本のソロ・ワーク的な作品が続いていたが、そんな『good morni…
xxxtomo1128xxx.hatenablog.com 先日は、コーチェラに出演したWeezer。そこでWeezerは、最近の曲ではなく初期の曲中心に演奏していたのが、とても印象的に写った。初期の曲を中心にしたセットリストは、コーチェラに限ったことではなく、ここ数年の彼らのフ…
今年も〈Coachella Fes. 2019 (コーチェラ)〉がYouTubeで配信されました。筆者が注目していたのは、なんといっても初日のThe 1975と、二日目のWeezer。これだけは絶対に観ておきたかった。というのも彼らは今年、日本で開催される〈SUMMER SONIC 2019 (サマ…
左からMK(Gt.)、小杉真咲(Gt./Vo.)、中川ヒロキ(Dr.)。 長い冬の頃には、春が待ち遠しい。けれども、いざ桜の季節になると、淡く美しい景色とは裏腹、出会いや別れに際し、どこか後ろめたく憂鬱な気分になりがちだ。SASORIの記念すべき1枚目となるシングル『…
「桜の花、舞い上がる道を」。この曲は、桜の季節になると無性に聞きたくなってくる。桜の風景をみていると、楽曲が脳内で再生され、見事な融合を果たすのである。そんなわけで、今年もこの曲について、つらつらと書いてみることにした―。 東京の方では、桜…
エレファントカシマシのボーカリスト、宮本の歌声。それはどこで最も映えるかというという問いがあれば、間違いなくライブであると答えるだろう。ライブが音源と異なるのは、空間的な反響の音を感じられるということだ。宮本の、ライブでの歌声を例えるなら…
昨年の夏、白神山地に行く機会があった。ここは、秋田県と青森県の県境にある、世界有数のブナの原生林の土地であり、1993年には日本初の世界遺産にも登録された。現在は、一部区域立ち入りが制限されてはいるものの、悠久の時を感じることができるスポット…
今までのONE OK ROCKと"違う"と感じた—。 というのも今までのはどうも、海外のバンドの"二番煎じ"をしている感じがしてならなかったのだ。これまで彼らの楽曲に関して敬遠をしていたリスナー層というのは自分を含め、恐らくはそこが一番大きかったような気が…
新春、そして武道館という神聖な地でのライブ。初詣、あるいは初日の出を拝みに行くような心持だった。この日のライブが始まるまでは——。 一八時半、開演時刻を迎えて間もなく会場は暗転し、大喝采の中メンバーが登場する。いつものようにSEはない。静寂を切…
My circuits have blownI know it's self-imposedAnd all I have shared, and all I have lovedIs all I'll ever ownBut something has changedI feel so aliveMy life just blew up, I'd give it all upI'll depressurizeOh, oh, oh, ten thousand miles le…
2018年のベスト・アルバム以外にも、こんな感じでこの年の音楽を聴くことができるのではないかと思って書いたのが、この記事です。2018年にリリースされたアルバムを3枚選んで、そこから共通項みたいなものを見出そうというものです。とはいえやはり、同じア…
xxxtomo1128xxx.hatenablog.com カネコアヤノ - 祝祭 2018年の5月だったか、Spotifyのライブ・イベントがあってそれに出演していたカネコアヤノを知って以来、彼女の音楽のとりこになった。あのときは確か4組出ていたけれど、群を抜いた存在感を見せていた、…