三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

21st Century Breakdown / Green Day (和訳・解説)

[Part I]

Born into Nixon, I was raised in hell
A welfare child where the teamsters dwelled
The last one born and the first one to run
My town was blind from refinery sun

ニクソン政権下に生まれ、俺は"地獄"のような場所で育った
トラックの運転手たちが暮らす所にある生活保護施設にいた子供だった
そこで一番最後に生まれたけど、一番最初にそこから逃げ出してやった
俺の住む町は巨大な精錬所のせいでどんよりと暗かった―

My generation is zero
I never made it as a working-class hero

俺の世代は"ゼロ (最低の状態)"
労働者階級になることすらできないんだ 

21st Century Breakdown
I once was lost but never was found
I think I'm losing what's left of my mind
To the 20th century deadline

「21世紀のブレイクダウン」
俺はかつて希望を失った、けれどもそれを忘れたわけではない
俺は心に置き忘れた物を失ったのかな
20世紀が終わるにつれて―

I was made of poison and blood
Condemnation is what I understood
Video games of the towers fall
Homeland security could kill us all

俺の体は"毒(暗黒の象徴)"と"血(情熱的なもの)"で出来ている
"有罪の宣告"は重々承知していることだ
ビルが崩れ落ちるビデオゲーム
祖国のセキュリティは俺たちを圧迫してくるかもしれない

My generation is zero
I never made it as a working-class hero

俺の世代は"ゼロ"

労働者階級になることすらできないんだ 

21st Century Breakdown
I once was lost but never was found
I think I'm losing what's left of my mind
To the 20th century deadline

「21世紀のブレイクダウン」
俺はかつて希望を失った、けれどもそれを忘れたわけではない
俺は心に置き忘れた物を失ったのかな
20世紀が終わるにつれて―

[Part II]
We are the class of—the class of '13
Born in the era of humility
We are the desperate in the decline
Raised by the bastards of 1969

俺たちは皆'13年に卒業した同級生 (Billie Joeの息子Joseph Armstrongが1995年に生まれ、彼が2013年に学校を卒業することから"13"にした?)
人間味のある時代に生まれた
でも、俺たちはこの国家の墜落で自暴自棄になっている
1969年生まれのくそったれ共によって育てられたせいでね

My name is No One, the long lost son
Born on the 4th of July
Raised in the era of heroes and cons
That left me for dead or alive

俺には名前なんてない、長い間見捨てられてきた
6月4日に生まれ、
英雄とペテン師が蔓延る時代に育てられてきた
生きるか死ぬか、それが俺に残された唯一の道なんだ

I am a nation, a worker of pride
My debt to the status quo
The scars on my hands and the means to an end
Is all that I have to show

俺はアメリカ国民で、誇り高い労働者だ
けれども借金は今もなお抱えたまま
手に刻まれた傷跡は終焉を意味している
俺が示さなければいけないのはそれだけだ

I swallowed my pride and I choked on my faith
I've given my heart and my soul
I've broken my fingers and lied through my teeth
The pillar of damage control

俺は"プライド"を飲み込み、"自信"を持つあまり息苦しくなってしまった
俺は"勇気"と"魂"を与えられた
俺は指の骨を折り、白々しい嘘をついてしまった
あらゆる損失を掌握する"存在"がいるせいで

I've been to the edge and I've thrown the bouquet of flowers
Left over the grave
I sat in the waiting room wasting my time
And waiting for Judgement Day

俺は今、瀬戸際に立たされている
墓場に置きっぱなしの花束は捨ててしまった
俺は待合室で座って、時間を潰している
そして、"審判の日"を待っている
 
I praise liberty
The "Freedom to obey"
It's the song that strangles me
Well, don't cross the line

俺は自由を称賛する
「従うべき自由」を
でもそれは、俺を妨げる歌でもある
つまり、それは一線を越えちゃいけないということなんだ
 
[PartⅢ]
Oh, dream, America, dream
I can't even sleep
From the light's early dawn

夢を観ろ、アメリカよ、夢を観ろ
俺は、この早すぎる夜明けの光に
寝ることさえできない

Oh, scream, America, scream
Believe what you see
From heroes and cons

叫べ、アメリカよ、叫べ
英雄とペテン師達を通して、自分自身が見ている物を信じるんだ

 「21st Century Breakdown」はGreen Dayの8thアルバムの表題曲。アルバム『21st Century Breakdown』(2009)は、当時のアメリカを痛烈に批判したアルバム『American Idiot』(2004)よりもさらに政治色が色濃く出ていて、メッセージ性が一層強く感じられるものとなった。また、3部構成の"ロック・オペラ"と称されるアルバムの構成は、よりストーリー性を感じさせる。

 「21st Century Breakdown」は曲の構成自体が3部構成になっていて、まさにそんな"ロック・オペラ"アルバムの端を飾るにふさわしい壮大な楽曲になっている。アコースティックギターで奏でられるチャイムのようなフレーズから、重めのレスポールギターの重厚なパワーコードへの転換は、"ロック・オペラ"の幕開けをイメージさせる。ミドルテンポなギターサウンドがガンガン突き刺さってくる1部。時は1970年代に遡る。ニクソン政権の時代、不況下にあったアメリカで生まれた一人の男。彼の住む町は不況にあえぐ精錬所のせいでどんよりと暗い。そして遂には労働者階級にすらなれない身分の自分を卑下し、20世紀の終わりに向かうにつれ"希望"までも失ってしまう―。

 2部に入ると曲調はやや早くなり、"焦燥"や"混沌"のようなものが渦巻いている印象を受ける。そんな2部は時代が進み、21世紀に入る。"21st Century Breakdown"真っ只中の人間模様がそれぞれの視点で描かれ、それが畳み掛けるようにして歌われる。例えば、ニクソン政権下に生まれた世代を親に持つ子供たち。彼らには生まれながらにして権利や自由があり、言わば"人間味のある時代"となったが、国家の凋落で自暴自棄になっている。そしてそんな自分たちの置かれた状況をあくまでも〈Raised by the bastards of 1969〉と、1969年に生まれたくそったれの共せいにする―。ここでは国家の凋落は今に始まったことではなくその頃から既に始まっていたことを揶揄しているのかもしれない。

 また、2部の最後に登場する人物は〈I praise liberty. The "Freedom to obey"〉と、自由を称賛し、それは"従うべき自由"なのであるという。しかしながら"一線を越えてはいけない"、なぜなら自由の礼賛は"自分自身を妨げる歌"でもあるからだ、ともいう。おそらくここでは、自らで従うべき自由を判断しなければ自己が失われてしまうし、国家の奴隷のようなものになりかねない、ということをいっているのだと思う。

 3部ではテンポは再び戻り、冒頭のギターソロは曲のクライマックスを何ともエモーショナルに演出させている。ここでは"希望"を失ったアメリカ全体を"鼓舞"し、これから生きていく上での"決意"のようなものが感じられる。MVでも、アメリカの朝焼けに照らされるビル群をバックにビリー・ジョーは高らかに歌う―。歌詞の最後〈Believe what you see from heroes and cons〉でも出てくるが、アルバムの構成における1部に付けられた表題は"Heros and Cons"。この曲には、かつての英雄とペテン師達がやってきた行いにきちんと対峙し、自分を信じて突き進む必要がある、という力強いメッセージが込められているのではないだろうか。【ほぼ日刊三浦レコード43】

www.youtube.com

f:id:xxxtomo1128xxx:20180419191557j:plain