三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

三浦的2021年ベスト・アルバム5選——洋楽編 (まえがき)

2021年も引き続き、新型コロナウイルスの影響をもろに受けた1年であった。海外のアーティストの来日は、11月にKing Crimzonが来日するまでないというなんとも"鎖国的"な状態が続いた。2020年に延期され、2021年開催予定だったSUMMER SONICも、7月から8月の新型コロナウイルスの感染者数の爆発的な増加により開催が見送られ、FUJI ROCK FESTIVALも、国内アーティストのみでの開催となった。日本で海外のアーティストが観られる主要なフェスはこの2つであるが、両者のこうした対応が発表された時というのは、残念だとかそういう感情以上に空虚感のようなものが押し寄せてきた。

 

音楽は今や、YouTubeをはじめとした映像サイトでライブの視聴ができ、Spotifyなどのサブスクリプションサービスで世界中の音楽にアクセスすることが可能になった。ところが実際に海外のアーティストをその目で、同じ空間で観るということは残念ながら叶わない。このことについては、昨年のベストアルバムの記事でも似たようなことを書いたような気がするが、精神的なグローバル化が果たされたとしても、肉体的な実感をもってグローバル化を果たせないという状況は、2020年と比較するとさらに加速したような感じがある。

 

2021年に生みだされた作品は、新型コロナウイルスの流行によってもたらされた鬱屈したものが反映されたもの、あるいは抑圧されたものを開放するようなものが多くあったように思える。芸術作品を消費する者はもちろん、創造(生産)する者にとってもパンデミックという存在は、否応なしに付きまとってくるものであった。それをいかに上手く芸術として昇華させることができたかが、2021年の象徴足り得る作品になれるかどうかの基準になったように思える。

 

個人的な洋楽のライブにまつわるトピックとして、2021年11月、かれこれ2年ぶりにライブに行くことがあったということが挙げられる。それは、King Crimzonの来日公演であった。場所は東京国際フォーラム、客席に人数制限は設けられておらず満員であった。先にも書いたが、彼らが"コロナ禍"以降初の来日アーティストであった。やはり、現地で観に行くライブは素晴らしい、そう感じるとともに、翌年の音楽にまつわる状況というのは、より好転してくるのではないかという微かな兆しも感じられたのであった。例によってベストアルバムの本編については、次の記事に掲載する。しばしの間、ご辛抱。

 

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