三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

大御所パンクバンドによる"大人のやんちゃ"―GREEN DAY『Revolution Radio』レビュー

 Green Dayのキャリア12枚目となるアルバム『Revolution Radio』(2016)。2018年現在、バンドは結成30年を迎えようとしている。本作ではそんな彼らが培ってきたキャリアの重みと、更なる可能性を感じさせるようなアルバムとなった。

 "若さ"と"才能"を剥き出しにしたアルバム『Dookie』(1994)で新進気鋭のパンクバンドとして華々しいデビューを飾ったGreen Dayであったが、その後はそこそこのヒット作に留まる。そんな中、2000年代に入って当時のアメリカ政府や社会を痛烈に皮肉った『American Idiot』(2004)でリバイバルヒットを果たし再び音楽シーンを賑わす。その後、彼らは社会問題に更に食い込んだ『21st Centry Breakdown』(2009)でパンクバンドとして確固たる地位を築く。

 2012年には"原点回帰"として3部作アルバム『Uno!』、『Dos!』、『Tre!』を立て続けにリリースし、何と言ってもその曲数に驚かされた。サウンドは初期には程遠いものの、メロディーや曲の雰囲気はそれこそ『Dookie』や『Kerplunk』(1992)を彷彿とさせるものだった。ただ、この3部作では良曲は揃っているものの、曲数の多いためにバンド自体の主張が薄まってしまい、さらにはバンドの方向性も定まっていないような印象まで受けた。このアルバムを聴いてGreen Dayに失望してしまったファンもいたかもしれない。

 そんな原点回帰の3部作アルバムの後、4年振りにリリースされた今作『Revolution Radio』は、そんな前作の評判を払しょくする程のすばらしい出来になった。「Green Dayは終わった」などと悲観する心配は何一つなかった―。

 本作は2009年以降サポートギタリストとして参加していたJason Whiteを入れずにレコーディングを行った。"ほぼ"3人体制によるレコーディングというのは2004年にリリースされたアルバム『American Idiot』振りである(ただし「Out Law」に関してはMick Garfieldをサポートギタリストに迎えたようである)。

 そんなわけで『Revolution Radio』は幻となったアルバム『Cigarettes and Valentines』(2003)が熟成を重ねてリリースされたらこんな感じになっていたのだろうかなんてことを思わせた。本作では、若い頃のパッションと間もなく結成30年を迎えようとしている大御所パンクバンドの余裕みたいなものがいい感じに合わさっている。何というかそれは、"大人のやんちゃ"という感じである。サウンドは落ち着いているけれど、心はパンク少年のままなのだ―。

 シングルカットもされた「Bang Bang」ではアメリカの銃乱射事件について、自己陶酔的な報道をするメディアと交えながら痛烈に皮肉る。そんな歌詞に乗るサウンドやメロディーはサウンドはビリー・ジョーがマイクにかじりつくようにして、唾を吐きながら荒々しく歌っていた頃を思わせる。「Forever Now」は『Dookie』/『Kerplunk』版の「Jesus Of Suburbia」といった感じで、荒々しいサウンドの中に緻密な曲の展開をみせてくる。また、同じくシングルカットされた「Still Breathing」は社会の中に渦巻く様々な境遇の人間に焦点を当て、社会に対する皮肉や批判と言うよりかは、不遇な社会においても人間が力強く生きていく様が描かれている。そんな歌詞には何ともエモーショナルで爽やかなサウンドが乗せられる。この曲に関してはまさに、彼らの真骨頂という感じの1曲のように思える。

 『Revolution Radio』は粗削りな90年代の頃のサウンドが良い感じに洗練され、それに2000年代以降の(特に『American Idiot』以降)に顕著にみられる社会に対する皮肉や批判の歌詞が乗せられる。新旧の良いところがバランスよく"ハイブリット"された本作。Green Dayにとっては久しぶりの"快作"のように思える。それと同時に、彼らが結成30年に向かって新たなステージへと到達した感がこのアルバムからは伝わってくるのだ。【ほぼ日刊三浦レコード50】

 

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Track Listing

01. Somewhere Now
02. Bang Bang
03. Revolution Radio
04. Say Goodbye
05. Outlaws
06. Bouncing Off the Wall
07. Still Breathing
08. Youngblood
09. Too Dumb to Die
10. Troubled Times
11. Forever Now
  I. I'm Freaking Out
 II. A Better Way to Die
III. Somewhere Now [Reprise]
12. Ordinary World

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