三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

JFK + Defector / MUSE (和訳・解説)

 [JFK]

〈For we are opposed around the world by a monolithic and ruthless conspiracy

That relies primarily on covert means for expanding its sphere of influence

On infiltration instead of invasion

On subversion instead of elections

On intimidation instead of free choice

On guerrillas by night instead of armies by day

というのも我々は、影響力の領域を拡大すること、

例えば―

戦争による侵略ではなく不正な侵入で、

選挙ではなく政府転覆の方法で、

自由選択ではなく強迫による方法で、

昼間の正規軍による正規戦ではなく夜間のゲリラによる戦闘で―

などという隠された手段に優先的に依存する融通の利かない無慈悲な陰謀によって、

世界規模で抵抗されているからである。

It is a system which has conscripted

Vast human and material resources

Into the building of a tightly knit

Highly efficient machine that combines military, diplomatic

Intelligence, economic, scientific and political operations

それは、軍事的、外交的、知能的、経済的、科学的、そして政治的な運営をするための高度な効率的な装置を堅固に組み入れる、というある種の"構築"のために、莫大な人材と物資が徴用されるというシステムなのである。

Its preparations are concealed, not published

Its mistakes are buried, not headlined

Its dissenters are silenced, not praised

それに関する準備は隠され、公表されることはない。

それに関する誤りは埋もれさせられ、メディアの見出しになることはない。

それに関する異議は黙殺され、称賛されることはない。〉

 

 "JFK"とは、ジョン・F・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy)の略称のことであるが、Museの"[JFK]"はそのケネディが1961年の4月27日にニューヨークのWaldorf-Astoria Hotelで披露したスピーチの抜粋がクラシック音楽のようなSEに乗せられて使用されている。そもそもこのスピーチは「大統領と報道」というテーマで進められ、ケネディはメディアの政府に対する報道体制の懸念を表明している。そんなスピーチの文脈の中で、[JFK]で取り上げられた部分の直前は、「戦争の宣言というのは伝統的な宣言の仕方ではなされない。昨今、宣戦布告やミサイルの発射がなされないにもかかわらず敵はその活動範囲を広げている。そして、そのような状況下でもなお報道陣や国民がその"国家間の緊張"に関する布告を待っているのだとすればその展望や、行動を変えていく必要がある」となっている。その理由として[JFK]の内容が続いている。〈誤りは埋もれさせられ、メディアの見出しになることはない。異議は黙殺され、称賛されることはない。準備は隠され、公表されることはない〉つまり国を脅かすような脅威に対し、受動的ではなく、能動的に実態を掴みに行く必要があるということを報道陣、国民に伝えようとしているのだ。

 

※()内は直訳的な意味

Defector

〈Free

自由だ
Yeah, I'm free

そうだ、私は自由だ
From your inciting
お前の扇動から
You can't brainwash me
お前は私を洗脳することはできない
You've got a problem
お前は問題を抱えてしまったのだ
Free
自由だ
Yeah I'm free
そうだ、私は自由だ
From society
社会から
You can't control me
お前は私を操ることはできない
I'm a defector
私は離反者である
 
You think you're strong and you can't be broken
お前は自分のことが強くて、打ち負かされるはずがないと思っている
But your empire is dissolving
だが、お前の国は崩壊し始めている
You thought, you thought I was weak
お前は、お前は自分のことが弱かったと思っただろう
But you got it wrong
だが、お前が間違いを犯したにすぎないのだ
Look into my eyes
私の眼を見ろ
I'm a defector
私は離反者である
 
Free
自由だ
Yeah, I'm free
そうだ、私は自由だ
From your inciting
おまえの扇動から
You can't brainwash me
おまえは私を洗脳することはできない
You've got a problem
おまえは問題を抱えてしまったのだ
Free
自由だ
Yeah I'm free
そうだ、私は自由だ
From society
社会から
You can't control me
お前は私を操ることはできない
I'm a defector
私は離反者である
 
Your blood is blue and your mind's turned green
お前の血は陰鬱になり、その心は嫉妬に溢れた
(お前の血は青色で、心は緑色に変化している)
And your belly is all yellow
そして、お前は臆病者になっている
(そして、お前の腹は黄色に染まっている)
You believe your throne is too high to be overthrown
お前の信ずる王位というものを廃止させるにはあまりにも高すぎた
We'll watch it get razed
By a defector
我々はそれが離反者の手によって倒壊してゆくのをただただ見ているだろう
 
Free
自由だ
Yeah, I'm free
そうだ、私は自由だ
From your inciting
おまえの扇動から
You can't brainwash me
おまえは私を洗脳することはできない
You've got a problem
おまえは問題を抱えてしまったのだ
Free
自由だ
Yeah I'm free
そうだ、私は自由だ
From society
社会から
You can't control me
お前は私を操ることはできない
I'm a defector
私は離反者である
 
Free
自由だ
Yeah, I'm free
そうだ、私は自由だ
From your inciting
おまえの扇動から
You can't brainwash me
おまえは私を洗脳することはできない
You've got a problem
おまえは問題を抱えてしまったのだ
Free
自由だ
Yeah I'm free
そうだ、私は自由だ
From society
社会から
You can't control me
お前は私を操ることはできない
I'm a defector
私は離反者である
 
[JFK]
We look for strength and assistance confident that with your help
Man will be what he was born to be free and independent
あなた方の手助けによる強さと援助的な信頼を我々は求めている
人は生まれながらにして自由であり独立していたという本来の状態になるのだ〉
 
 そんなケネディの演説、[JFK]に続くのがこの"Defector"だ。Defectorというのは社会から離反する者の意味のことである。権力者と被権力者(離反者)の構造の崩壊がこの曲では描かれている。権力者の絶対的な自信と地位によって築かれた名望が、単なる偽りであったということが被権力者達に徐々に露呈し始めていく。被権力者たちはついには、権力者からの扇動には影響されることはなく、洗脳されることも統制されることもないということを権力者に突きつける。そして、自分たちがそうした社会から「自由の身」であることを高らかに宣言をする―。
 
 この曲ではそんな歌詞が極めて鋭いサウンドに乗せられて表現されている。ドロップDチューニング特有の低音のパワーコードから、抜けのいい爽快感のある音へとシフトチェンジする印象的なリフ。また、英国の伝説的バンドであるQueenを彷彿とさせる崇高なコーラスワーク、さらにBrian Mayのような粘っこくて潰れたような音色のギターソロは曲にどことなく気品を持たせている。曲調からは英国の気品と懐かしさが、歌詞からはケネディの米国的な思想をフィーチャーしたような荘厳さが混在した、まさに壮大な"ロックアンセム"と呼ぶにふさわしい一曲ではないだろうか。【ほぼ日刊三浦レコード37】

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