※()内は直訳的な意味。
〈How did we get in so much trouble?
一体どれくらいの困難を我々は抱えたのだろうか
(どのようにして我々はこんなにも問題を抱えたのだろうか)
Getting out just seems impossible
その困難からはどうやら逃れられないようだ
(出ていくことは不可能のようだ)
Oppression is persisting
圧政は相変わらず継続中だ
I can't fight this brain conditioning
私はこの洗脳政策(脳の調教)と戦うことはできない
Our freedom's just a loan
Run by machines and drones
我々の自由というのは機械やドローンによって作り出されたにすぎない
いわば"ローン"のようなものである
They've got us locked into their sights
彼らは我々を監視できる場所に閉じ込めた
(彼らは我々を監禁している、禁固した)
Soon they'll control what's left inside
まもなく、彼らはそこで残されたことについての管理をするだろう
Don't try to hide it, don't tell me it's not there
"それ"を隠そうとしないで、"それ"がそこにはないなんてことを言わないで
You've got strength
あなたには強さがある
You've got soul
あなたには魂がある
You've felt pain
あなたは痛みを感じることができる
You've felt love
あなたは愛を感じることができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can make this world what you want
あなたはこの世界を思うように創造することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
Can you hear a distant thunder
あなたには遠方の雷鳴が聴こえるか
Taste earth's blood and hunger
地球に流れる血潮と渇きを味わいなさい
We live in a toxic jungle
我々は有毒で混乱状態に陥るような場所で生きている
Truth is suppressed to mumbles
正しいことは小声で言ってはやり込められてしまう
(正しさはぶつぶつと言うことで鎮圧される)
They'll take away our homes
彼らは我々の故郷を奪ってしまうだろう
They're just machines and drones
彼らは単なる機械であり、ドローンにすぎないのだ
Don't try to fight it, don't tell me you can't see
それと戦おうとしないで、でも見向きできないとは言わないで
You've got strength
あなたには強さがある
You've got soul
あなたには魂がある
You've felt pain
あなたは痛みを感じることができる
You've felt love
あなたは愛を感じることができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can make this world what you want
あなたはこの世界を思うように創造することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
I can feel your pain
私はあなたの痛みを分かち合うことができる
I can feel your confusion
私はあなたの迷妄を共有できる
I can see you're trapped in a maze
私はあなたが路頭に迷っていることを理解できる
Let's find a way to escape
そこから逃げる方法を一緒に見つけよう
You've got strength
あなたには強さがある
You've got soul
あなたには魂がある
You've felt pain
あなたは痛みを感じることができる
You've felt love
あなたは愛を感じることができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can grow (you can grow)
あなたは成長することができる
You can make this world what you want
あなたはこの世界を思うように創造することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる
You can revolt
あなたは抵抗することができる〉
「自由」を掴んだかのように見えたが、その「自由」というのは単なる虚像にすぎなかった。何故ならばそこはドローンや機械によって支配された世界であり、彼らによる監禁からは逃れることは到底できないから―。アルバムのタイトル『Drones』(2015)に相応しい楽曲だと思う。しかしながら人々は、我々は機械やドローンとは違う。我々には強さがあり、魂があり、痛みを感じ合い、愛を感じ合い、何よりも成長することができる。そしてそれさえあれば、世界を思いどおりに創造することだってできるということを自覚する。
無機質な機械やドローンと"戦おうとする"のではなく、"抵抗をする"。何となく似ているような意味だけれど、"抵抗"の方にはただ単に"剣を交える"のではなく、自分の信念を曲げることなく、命令や圧政に対して立ち向かっていくというようなニュアンスがあるように思える。"抵抗"することで必ずしも世界が変わる保証はない。そうだとしても問題から目を背けたり逃げたりせずに、まずは"抵抗"をしてみる。つまり"抵抗"すること自体が大切だということ。そして、その際は"人間らしさ"という何よりも力強いの存在が後押しをしてくれるということ。この曲ではそんなメッセージがあるように思える。この世界観は映画『マトリックス』(1999)の世界観とも通ずるところがあるような気がする。『マトリックス』では一見現実のように見える世界が、実はコンピューターによって築き上げられた"仮想現実"であり、主人公のネオは果たしてその支配から逃れ、正真正銘の"現実"へと目を覚ますのか否かという選択が迫られる。"抵抗"をして成功しないかもしれない。けれども"抵抗"すること自体に意味があるのだ―。
人間が、彼らよりも遥かに強大で知性の優れた者によって支配されたときというのは、もはや人間の"根本的な部分"に頼らざるを得なくなるのかもしれない。何というか、そこにしか救いの糸口を見いだせないというような。それはかなり切迫している状態だ。近い将来ドローンや人工知能で暴走した世界にならないことを祈って―。【ほぼ日刊三浦レコード38】