昨年の11月上旬、Museをこよなく愛する友人から突然電話が掛かってきた。それは、彼らの来日公演のチケットが手に入ったから観に行かないかという内容だった。しかもその席は結構いい席だという。これは行くしかない、2つ返事でいくことに決めた。だが、彼はチケットを4枚持っているから残りの2枚も捌かなければいけないという。幸いなことに洋楽好きの知人ら(Iron MaidenファンとRHCPファン)の予定が丁度空いていたので、彼らを少々強引に誘って何とか残りのチケットを捌くことができた。来日公演のわずか3日前の出来事である。
当日、自分は大学の講義が終わってすぐに、会場の横浜アリーナに直行した。在来線だと時間的に間に合わなかったので、新幹線を使うことにした。友人は何やら準備があるといって自分とは別行動で会場に向かっていた。各々が会場付近に到着したようなので、駅の近くにあるマクドナルドの前で合流することにする。Muse好きの友人が近づいて来るや否や、その格好に一同度肝を抜かされた。なんと全身銀色のタイツ姿!彼いわくこれはあくまでも正装(?)なのだそうだ。
というのもこの格好は2010年にドラムのDominic Howardがフジロックで着ていた格好らしい。当然ながら彼と歩いているだけでこちらの方に視線が集まった。でも彼は全然そんなことお構いなしという感じで、悠然と歩く。そのシュールな感じがいちいちおかしくて笑ってしまった。
通称"虫嫌いドミニクスーツ"を着て横浜駅周辺を闊歩する友人。
ドミニクスーツの男を先導に、一同は会場に到着した。横浜アリーナの前は人で溢れかえっていた。皆の格好を見ると各々のこだわりのMuseグッズを身に纏っている。それでもやはり隣にいる全身銀色の衣装の男の方に目が行ってしまう。それにしても本当に目立つ。会場に入る時のセキュリティチェックはびっくりするくらい甘かった。ドミニクスーツの男も何事もなく無事に入場する。さすが平和主義国家日本である。
会場は長方形でスタンディング席とアリーナ席があったけど、演者側から向かって左側(上手側)のステージに近いところが、自分たちの陣取る席だった。それにしても本当にいい席だ。
開演時間である7時になってもライブは一向に始まらない。InstagramのMuseのストーリーを観てみると、彼らは楽屋で"Arigato Sushi"とか言って寿司を食べているではないか!何というマイペースさ!逆に日本人が時間にきっちりしすぎているのかもしれない。SEが途切れる度に、観客たちはいよいよ始まりかなと思って歓声を上げる。でもすぐに次のSEが流れてきて今度は落胆の声がこだまする。そんなことがしばし続いた後、ついに会場が暗転した。今度こそ本当に開演する!ついに世界的なバンドをこの目で観ることができるんだ!一。 後編へ続く…【ほぼ日刊三浦レコード14】