三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

マジックアワー、そして丘の上のネブシェヒル

 ネブシェヒルはトルコのほぼ真ん中に位置していて、約30万人がそこで生活している。行政区画で言えば県という位置づけになる。南東に位置する世界遺産ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群(Göreme Milli Parklar ve Kappadokya)は何よりも重要な観光資源となっている。

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 イスタンブール・アタテュルク空港(İstanbul Atatürk Havalimanı)から、ネヴシェヒルカッパドキア空港(Nevşehir Kapadokya Havalimanı)に降り立つと、いきなり荒涼としたクリーム色の大地が目の前に広がっていた。ホテルへと向かう移動中の車窓からは既に、円錐形のデコボコとした突起のある岩がそこかしこに見えた。その間を縫うように乾いたウグイス色の植物が生え、奥の方には岩山がどっかりと鎮座している。道路はどこまでもまっすぐに続いている。いきなり異星に来たような感覚に陥ったのだった―。

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 ホテルはギョレメ国立公園のすぐ隣のユルギュップという市にあった。小高い丘のような場所にポツンと位置していて、ユルギュップの街を一望できるような場所だった。USET HOTELという名前で、ネブシェヒル大学の認可ホテルだった。昼間は気温がかなり高く、日差しは痛いくらいに強いが、標高が高いためか朝夕はエアコンがいらないくらい涼しく快適だった。

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 午後7時半頃。外に出て、ホテルを囲っている塀に腰掛けてみた。空はようやく日が暮れ始めている。塀から見下ろせる街並みは心なしか落ち着き始めているように見える。時より車のクラクション音や、子どもの叫ぶ声が風に乗って聞こえてくる。太陽は威勢良く、強烈な光を四方に放ちながら落ちてゆく。しばらくすると太陽は平べったい形をした山に隠れ始めた。山はちょうど陽の光の影になって、どす黒い色になっている。やがて太陽は最後の力を振り絞るかのように街を照らし続け、完全に山の後ろに隠れてしまった。

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 日が暮れると、街並みにはオレンジ色の電灯がつき、町にそびえる岩々もライトアップされ始めた。地平線や山の稜線の方はまだ日没後の余韻が残っている。その上には青紫色になった空がグラデーションを作りながら広がっている。漆黒に染まった大地にはオレンジ色にキラキラと輝く光が無数に散らばっている。そんな夜の訪れを知らせるコントラストに、どこか遠いところ日没後のコーランが流れてきたのだった。

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