三浦日記

音楽ライターの日記のやうなもの

後世に残るクラシック—宮本浩次『ROMANCE』レビュー

原初的な音楽体験に限りなく近い感動——。 近代以降、特に20世紀初頭の音楽というのは、一回性のものであった。民衆は会場に集まり、同じ空間を共有しながら、その時限りの音に耳を傾ける。それがたとえ、以前に演奏された楽曲と同じであっても、無論、演奏に…

ネオ同窓会の提案

義務教育課程の、いわゆる小・中学校の人間関係というのは、それなりに仲良くすることができても、人生を共にするような友人というのは見つけにくいのではないだろうか。なぜならそれは、閉鎖的な地域の中で、偶発的に集められた人間によって形成された社会…

スズメと蚊

男には行く当てがなかった。そして、あまりにも退屈すぎる一日が早く過ぎ去ってしまえばいいと思っていた。男は仕方なく、川沿いの道を歩いていると、神社を見つけた。山道の両脇には杉の木が生えていて、石畳には木漏れ日がゆらゆらと揺れている。男は境内…

オオカマキリと少年VII—秋

少年が育てたカマキリは、トンボを好んで食べた。イナゴ、ショウリョウバッタ 、トノサマバッタ、アゲハチョウ、アブラゼミ......。カマキリはどれもよく食べたが、その中でも最も食いつきが良かったのがトンボであった。 トンボを与えると、カマキリはまず…

オオカマキリと少年VI—官能

9月中ば、すっかり涼しくなった頃。オオカマキリの腹部は立派に膨れ、順調に成熟をしていた。少年はその様子を見て、そろそろ交尾をさせても良い頃ではないかと思っていた。ただ、どうやってオスを見つけてくれば——。というのも、草の茂みの陰で、カモフラー…