三浦日記

音楽ライターの日記のやうなもの

ある元旦のこと、続(つづき)

1月3日 祖父の遺体は、実家ではなく、五城目町の葬儀場へと運ばれた。葬儀場の中に寝泊りができるような部屋があって、遺体もそこに運ばれた。小綺麗な和室で、冷蔵庫や調理場、さらには浴室まであって、旅館の一室のようになっていた。 祖父の棺に入れるも…

ある元旦のこと

12月31日 早朝、飛行機で秋田へ帰省した。この季節にしては、珍しい雨模様だった。秋田市の少し外れたところにある実家に着くやいなや、母の面持ちはどこか神妙だった。祖父の容態があまりよくないという。余命は一週間。11月に入ってから、入退院を繰り返し…

キャンドルと一筋の煙

寝る前は決まって、本を読む。間接照明のオレンジ色の灯りの下、白地に印刷された浮かび上がってくる一文字一文字に集中する。次第に視界がぼんやりとし始め、いけない、いけないと言って灯りを消す。それが就寝前の私の日課になっていた——。 とある日、家電…

2058

2038年、カジノ関連法案が成立すると、巨大なギャンブル施設はいたるところに建設された――。 それから20年が経ち、東京はどこもかしこも似たような商業ビルや高層マンションで町中が埋め尽くされていた。その中でも特に、上野周辺の再開発の前後の差は顕著だ…

「歴史」は敗北の産物である (後編)—エレ歌詞論考VI

前回は、「歴史」の歌詞の内容的な部分に触れた。抽象性と具体性の天秤が"森鴎外の人生"をテーマに据えたことで具体性の方に傾き、その視点は三人称で貫かれたことで俯瞰的なものになっていた。彼らの共感性が抽象と具体とのバランス感覚の良さと、私小説的…