三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

脳を移植することについて—SF作品との関係性

 人間同士の脳の移植はできるのだろうか。現在、臓器移植は可能であるが、それは脳死という状況においてのみ成立している。ただ脳に関しては、それはできない。いや、もしかしたら実は今の技術だったらできてしまうのではないか―。

 全身がガン細胞にむしばまれて、けれども脳だけは健康体の患者。そして、体は何の不自由もないが、脳に重い障害を抱え、脳死状態になっている患者。もしも、脳が正常に動いている患者の脳だけを、機能を停止させることなく取り出し、脳死した患者の脳とそのまま交換できたとしたら。片方は、別人物の体で、延命することができるのではないだろうか。当然そこでは、拒絶反応が見られるかもしれないが、それをクリアーした場合、果たして移植前の両者の記憶はどうなってしまうのだろうか。意識、あるいは魂はどこに依拠しているのだろうか―。

 それが脳にあるとすれば、人間は他の人物の体を借りられる限り、永遠に生き続けることができる。『X-MEN: アポカリプス』に登場する、自分が年を取ると他のミュータントに魂を移して、生き長らえていくエン・サバ・ヌール(アポカリプス)みたいな感じだ。古代エジプトの王は、ミイラにして魂を永遠に残そうとしていたけれど、その強化版である。実際に魂を生きている体の方に移し替えてしまうのだ。ただ、そんな脳にも限界が来るのではないかとも思ってしまう。認知症なんて言う脳のメモリーに関する障害があるけれど、これが発症するのは60代から70代以降に増えてくる。しかも、現代の医療でもその特効薬というのが見つかっていないという。だとしたら、仮にも300歳とか、もっと言えば1000歳とか、まで人間が生き続けるなんてことがあったら、なおさら脳の機能が限界を迎えてしまうんじゃないだろうか。

 

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 一方、それが体にあるとすれば、脳からの指令が体で拒否されて、考えていることとやってることがちぐはぐになるかもしれない。脳が移植されて、体が支配しちゃうという話だから少し違うかもしれないけれど、なんというか、『ヴェノム』の主人公エディ・ブロックと、宇宙からやってきた生命体のシンビオートみたいな感じだ。ちなみに、彼らは共生関係にある("共生"っていうと途端に生き物みたいになる)。人体に寄生する生命体について研究している機関があって、そこにエディが潜入した際不覚にも、宇宙生命体シンビオートが寄生してしまうという。普通だったら、寄生された方は死んでしまうのだけれど、エディはシンビオートに気に入られて、一緒に生活していく関係に。で、シンビオートはエディの意思に入り込んで、意思と反する動きをしたり、暴走したりするけれど、そんな感じのことが、実際の人間の体で起こるとしたらと思うと結構ゾッとするなと思う。

 

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 では、脳を人体ではなく、人工的な脳の器みたいなものに移植すれば、他の意思を阻害されることなく、生きていくことができるのではないだろうか。以前"いらすとや"とかで、そのイラストがあってびっくりしたことがあったが、脳だけを薬液に浸して、配線みたいなやつで生き続けていくというものである。面白いのは、その考え方が、意外と昔のSF作品にもすでに登場しているということだ。1978年公開の『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では、自身のクローンを何度も作り、1万年もの間延命を続けてきた複製人間マモーが登場し、ルパン一味を苦しめるが、結局その本体は、長年の染色体操作によって、体を形成できなくなったために脳だけが、動き続けているというものだった。

 

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 それが、他者(本人、あるいは人間以外の者)によって支配された場合の話が、『マトリックス』だ。この世界では、人類が科学を発達させ、高度な知能を持つコンピュータを生み出したが、結局それが暴走して、コンピュータ側が人間を支配している。けれども、人間のほとんどはそのことを知らず、コンピュータが作り出した、"マトリックス"という仮想現実のなかで、ビールを飲んだりだとか、友達と話をしたりするだとか普通の生活をしている。で、実際の人間はというと、カプセルみたいな容器に入れられて、配線でつながれてて、コンピュータに管理されてしまっているっていう話なのだ。

 

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 脳にはロマンがある。けれども、それを乱用してしまったら本当に危険なものであるのも、脳である。かつてロボトミー手術で、ゾンビみたいな人間を作り出して、無限に労働できるようにしたとか、あるドラッグを使うと、銃で撃っても死なないゾンビみたいな人間が出来上がるとかいう話があるが、それもこれも脳が関係している。なんというか、人間があまり介入してはいけない部分のような気がするのだ。人体は科学によって解明されてきたが、その、本当の"最後の砦"というか。だからこそ、こうした記事を書けるのだろうし、色々な作品が登場するのかもしれないなんて思ってしまった。

※これは実際の化学と異なる部分があります、完全なる妄想です。フィクションです。