三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

サマソニへのエントランス——SUMMER SONIC 2022に行ってきた その1

ついに、3年ぶりにこの日がやってきた。待ちに待った、SUMER SONIC 2022 1日目の当日である。イベントを前に、久しぶりに「純な高揚感」が沸き上がってきた。「純な高揚感」とは、小学生の頃の運動会だとか、修学旅行だとかそういったものに近い感覚である。そのせいで朝、早く起きてしまった。部屋に掃除機をかけて、朝食に残り物のカレーを食べる。この日は一日、長丁場であるから、しっかりと食べておくことにした。昨日までに買っておいた持っていくものを、リュックサックに詰めていく。痛恨だったのは、モバイルバッテリーが劣化してフル充電されなくなっていたこと。朝起きたときに充電がされていなくて焦った(それでも、現地で不便にならないくらいの充電をすることはできた)。午後は曇りで、雨が降る可能性もあったが、その時はなるようになれということで、特に雨具の準備はしていかなかった。これが吉と出るか凶と出るか……。

 

さすがに最寄りの駅でそれらしい格好をしている人は見当たらなかったが、武蔵野線・京葉線で海浜幕張駅まで直通運転のある南越谷駅のホームには、フェスの格好をした人が何人か散見された。海浜幕張行きの電車は混んでいた。明らかにSUMMER SONICに行かないであろう格好の人の前に立っていたところ、すぐに降りてくれたので座ることができた。何度も言うようではあるがこの日は一日長いので、座れるときに座っておいたほうが得策である。南船橋で乗り換えると、人はさらに増えてきた。半袖短パンにバケットハットというフェスの定番のコーディネートから、バンドTシャツで身を固めている人、そしてレギンスに、速乾性のウェアを着てリュックサックを背負う"登山スタイル"の人まで実に様々な恰好であったが目的は皆同じ、SUMMER SONIC目当てなのであった。

 

海浜幕張駅は人でごった返していた。なかなか、出口に続く階段に降りることができない。ようやく改札を出ると今度は幕張メッセ側の出口が大混雑になっていた。自分はその反対側の出口から出ることにしたが、これが正解だった。海浜幕張の周辺道路は碁盤の目状になっていて、その上にはペデストリアンデッキが張り巡らされているため、方向さえ合っていれば様々なルートで目的地に到着することができる。この日は曇り空で、雲の合間から少しだけ日が差しているという感じであった。サングラスを持ってきていたが、つけていたのは午後の初めくらいまでだった。まずは、幕張メッセへと向かうことにした。理由は、屋外よりも幾分涼しいだろうと判断したためである。

 

リストバンド交換の列で、恐ろしいほど混雑していた。もう少し早く来ればよかったかもしれない。マスクをしているせいで汗が止まらない。とりあえず、マスクを外して一呼吸置いた。あたりを見回すと、相変わらず誰もが律義にマスクをしている。これは、3年前と大きく違う光景である。人波に押されながら、申し訳程度の手の消毒(本当にアルコールなのかというくらいの無臭っぷり)と、果たして正確な数値が表示されているのかわからない検温、そしてやっている風を装った手荷物検査を行い、ついに入場できた。昨今、あまりにも物騒な事件が日本で起こったために、いくらか警戒態勢が強化されているものかと思っていたが、そんなことは全くなかった。あくまでもやっているアピールさえできればそれでよいということなのか。良くも悪くもさすがは日本という感じである……。

 

今回のSUMMER SONICから、専用のアプリが登場し、その機能の中には自分が見たいアーティストを登録しておくと、その出番の直前に通知が来て知らせてくれるというものがあった。タイムテーブルも自分の見たいアーティストに沿って表示されるので非常に良かった。3年前に来たときは、会場でタイムテーブルと飲食店やグッズのブースの場所が記載された小さい紙のマップが配られ、それに沿って回っていたため、だいぶ便利になったといえる。とはいえ、紙のマップも引き続き欲しかったというのも本音であった。終演後、汗と埃でくしゃくしゃになったマップを見て感傷に浸るというルーティンができないではないか。無論、これは旧来的価値観を持った男のたわごとである。そうこうしているうちにいよいよ、開演の時間である。