三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

ショウガ焼きを極めたい

生姜焼き——何の疑問もなしに使っているこの言葉、語義通りに受け止めてしまえば、生姜を焼いたもの。ある意味これは、レトリックである。とことん無駄が省かれたその名前に薬味である身分の生姜は謙遜をする。
「ははぁ、恐縮極まりない。私は、主役ではないのです」
確かに彼(ドイツ語は男性名詞)が言うことに偽りはなかった。生姜を用いつつ、他のものを焼く。では、何を?豚肉を、である。今回はそんな"豚肉の生姜焼き"、洋食屋っぽく言えば、"ポーク・ジンジャー"についてである。

 

生姜焼きの作り方というのは、ご家庭によってさまざまなものがあるだろう。選ぶ肉を一つとっても全く異なる。バラ肉、ロース肉、こま切れ肉、もも肉、そしてそれらが厚切りか薄切りか、ということにもなってくる。生姜は擦りおろすか、はたまた細切りにするか。タレ漬け込むか、漬け込まないか、付け合わせの野菜に玉ねぎを入れるか入れないか。その組み合わせだけでも、ざっと数千通りはあるとみた(ない)。ここで筆者が紹介するのは、これまで生姜焼きをいろいろ試してみて、一番おいしいと思ったもの。無論、以前にも登場した学生時代のアルバイト先からのインスピレーションも入っている。

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まずは、その材料から紹介していきたい。

材料 (2人分)
・豚バラ肉:200g
・タマネギ:1/2個
・生姜:多め
・しょうゆ:ドバドバ
・酒:ドバドバ
・砂糖:思ってる倍
・コショウ:少々
・塩:味を整える程度に
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〈かさを増したければ〉
・もやし:山ほど
・えのき:山ほど

 

まずは、フライパンにゴマ油をしき、豚バラ肉を炒める。そう、タレに漬け込むことなく、豚肉をいきなりフライパンに放り入れるのだ。そもそも肉というのは、塩分濃度の高いものに漬け込まれてしまうと、確かに味は沁み込んでいくものの浸透圧の関係で水分が抜け、固くなってしまう。それを防ぐためにいきなり炒める。炒める前に、片栗粉を振っておいて、うまみを逃がさない、なんていう工夫もいいかもしれないが、面倒なのでここでは省略する。その間に野菜を切っていく。タマネギは、串切りか、少し厚めに切る。その主張を和らげたければ、薄めに切ったほうがいいかもしれない。生姜は半分を擦り下ろし、半分を千切りにする。摩り下ろした方は、生姜の味を豚肉全体に纏わせ、千切りにした方は食感とともにフレッシュな風味を与えてくれる。

 

そうこうしているうちに、豚肉に火が入ってくる頃合いになってくる。溢れ出てくる油を、キッチンペーパーで吸い取りつつ、味付けに入る。火を少し弱めてから、酒を入れる。フライパンの温度が少しだけ下がったところに、しょうゆと砂糖、擦り下ろした生姜を入れる。先ほど書いた材料の欄には"大さじ〇〇"だとかいう表記はしていない。食材にこれくらい入れれば、これくらいの味になるというのが分からない方にとっては少々酷かもしれないが、単純な話、少なめに入れて、足りなかったら足せばいいだけなのである。そして味見を頻繁にすれば何の問題もない。料理とは、数字に縛られることなく、気楽にやっていればいいのである。

 

そんな戯言はさておいて、生姜焼きの調味料の話に戻る。フライパンの温度を下げることなく、これらの調味料を入れてしまうとたちまち焦げてしまう。ここは大事なポイントといってもいいだろう。豚肉と調味料がからみ、砂糖の効果で肉があめ色に照り始めてきたらこっちのもの。さらに炒め、肉に香ばしさを加えるべく焦げを作っていく。しっかり色がついてきたら、タマネギを投入する。一度豚肉を取り出して、タマネギ単体で炒めたほうが、均一に火が通るので良いのかもしれないが、やはり面倒なので、そのまま一緒に炒めてしまう。

 

タマネギを炒めているときは、肉を焦がしすぎないために、酒を積極的に投入した方が良いように思われる。酒というのは、内気な日本人の気分を高揚させる一方で、フライパンの温度を下げてくれる何とも優秀な液体なのである。タマネギがしんなりしてきたら、いよいよ仕上げ、千切りにした生姜と、コショウを入れる。これで完成...... としても良いが、かさを増したいようならここで、もやしとえのきを入れ蓋をして蒸し焼きにする。味が薄くなったなと思ったら、少しだけしょうゆを加えてもよろしい。

 

筆者は、肉をがっつり食べたいときは、かさを増さないバージョンを作り、作り置きして一週間持たせたい、というときにはこのかさ増しバージョンを作る。生姜焼きは漬け込まなくても美味しい。というか、漬け込まない方が美味しいと思うんですよね——。そんな筆者がお送りしてきた、『生姜焼きの極め方』、今週はこの辺で。よい週末を!(?)

 

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