三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

ちゃんこ屋の大将直伝の豚キムチ

豚肉とキムチの組み合わせは最高だ。バラ肉なら、なお良し。韓国料理にサムギョプサルというものがあるが、これは、厚切りの豚バラ肉とキムチを専用の鉄板で焼いたのを適当な大きさに切り、サンチュや辛味噌、長ネギなどと一緒に巻いて食べる。バラ肉の油分にキムチの酸味と旨味が、見事に調和を果たす。なんと素晴らしい発明。もしも、素晴らしい料理を発案した人に贈る、ノーベル料理賞なんていうのがあったら、とっくのとうに選ばれているはずである。

 

そんな戯言はさておいて、サムギョプサルの他に、豚肉とキムチを最大限に活かした料理といえば、なんといっても豚キムチがその双璧をなすといっていいだろう。今回はこの豚キムチについて熱く書いていきたい。豚キムチと言っても、その作り方から、使用する食材、味付けにいたるまで千差万別。個人的には、チャーハンに次ぐくらいの奥深さがあると思っている。その中でも、筆者が最も気に入っているレシピを紹介していきたい。

 

それは、筆者がちゃんこ屋でアルバイトをしていたときの賄いでよく出ていた、豚キムチである。味が濃くて、ジャンキーな感じだった。何を隠そう、この店で料理の腕を振るっているのは元力士。ご飯を効率的にかき込ませることだけに特化した、そんな豚キムチだった。例えるならば、"ヘビー級"豚キムチである。の作り方をある日、直々に教えてもらったことがあった。以下は、その材料である。

材料 (2人分)
・キムチ:100g
・豚バラ肉:200g
・キャベツ:1/4個
・タマネギ:1/2個
・ニンジン:1/2本
・キムチの素:軽ーく
マヨネーズ:山ほど
・コショウ:少々
・塩:味を整える程度に

 

まずはフライパンにゴマ油をひいて、豚バラ肉を色が変わるまで炒めていく。ここはぜひとも、焦がさないように注意したい、あくまでもサッと炒めることに注視する。軽く、塩コショウも降っておく。炒めた豚バラ肉を一度、フライパンからどこかしらへ移し、続いて野菜を炒めていく。肉と野菜を別々に炒めるのは、両方均一に火が通るようにという心配り。面倒だったら別に、一緒に炒めてくれたって構わない。筆者だってそうしている。けれども、より美味しいのは別々に炒めた方であることは確か、その辺は自由である。野菜は、火の通りにくいものから炒めていく。まずは薄切りにしたニンジンを入れ、しばらくしたらキャベツとタマネギを投入する。この時点で野菜にはまだ、味付けは行わない。なるべく水分を出さないようにしたいからだ。野菜たちが7〜8割炒まってきたら、先ほど寄せておいた豚バラ肉とキムチを加える。いよいよ、味付けの段階に差し掛かる。

 

このレシピの肝は何と言っても、マヨネーズだ。マヨネーズが嫌いな方は残念ながらこの時点でドロップアウト、という運びになってしまうが、ぜひともご了承願いたい。マヨネーズは、キムチの辛味を損ない過ぎることなく見事に包み込み、濃くてジャンキーな味を演出してくれる。量は、かけすぎかな… ぐらいでちょうど良い。筆者はマヨネーズ大好き人間なので、ドバドバとかける。豚バラ肉とキムチ feat. マヨネーズ、どのコラボレーションよりもワクワクしてしまうではないか——と、アンチ・マヨラーの方からしてみれば蕁麻疹が出てくるようなフレーズが出たところで、味を整える程度に、キムチの素と塩を加える。コクが足りなかったら醤油でも、あるいはオイスターソースを入れたって構わない。皿に盛り、最後にカツオ節を踊らせれば完成——。

 

このレシピを作るたびに、アルバイトをしていた頃の記憶が蘇ってくる… というのは大袈裟ではあるが、それくらい思い出深い料理である。なぁんだ、そのレシピってのは結局、マヨネーズに頼りっきりじゃんという方もいらっしゃるかもしれない。そう、頼りっきりなのである。あの、まかないで食べた大雑把で濃ーい味。あれはやはり、マヨネーズでなければ出せない。マヨネーズは偉大、いやはや、これがちゃんこ屋の大将直伝の豚キムチである。

 

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