『アーティスト・プロデュース・スーパー・エディション』 、2月の担当は宮本浩次プロデュース。エレファントカシマシのフロントマンであり、昨年ソロデビューを果たした宮本。1週目は、3月4日リリース予定の新作『宮本、独歩。』について語っていました。その進行を手助けするのは、音楽ジャーナリスト鹿野淳。以下は、「冬の花」について語っていた部分の書き起こしです。
——ここまでは、2018年シリーズとして、コラボレートのお話を聞いてきました。
www.miuranikki.comそして、去年の2月から配信されているソロとしてのデビュー曲「冬の花」についてのいろんなお話をお聞きしていこうと思うんですが。これがある意味、宮本さんの一人っきりでの活動のキックオフになったわけじゃないですか。
そうですね、ドラマの主題歌だったんですけど。それ自体も出会いみたいなものがあって、その話を持ってきてくださったテレビ局のプロデューサーの方は非常に明快なビジョンを持っている方で、「宮本浩次に絶対にやってほしいこと」を明示してくださって。ちゃんとね、紙に書いて、この曲がドラマのどういうところで流れるかとか、アンダーラインみたいなものを引いた紙面でやり取りをして。そこに導かれていくような、打ち合わせだった。それに対して、僕は全力で応えたっていうことなんだけど。主人公の木村佳乃さんの、これまでコミカルタッチだったものが、この曲が流れた瞬間シリアスなシーンにしたい、とかはっきりしたビジョンがあった。すごく幸せな出会いだったと思うんだけど。なによりも曲にとってね。
——この曲は小林武さんがプロデュースをされていて、2002年の『ライフ』以来。ということでいくと、小林さんとは交友は深いし、激しいですよね。
まあ、そんなにしょっちゅうあっているわけではないですけど。小林さん、6月生まれなんですよ。で、私も6月生まれで、この間も誕生日が近いねっていう話をしたっていう(笑) 自分は愛されるのが好きというか。まあ、53の男が自分で言っちゃうと気持ち悪いんだけど。そういうことなんですよ。だから兄貴というか、ちょっとね、いいですよね。やっぱりね、自分にも兄がいますし、そういう感覚なんだよねきっと。まあ、話しやすいというか、音楽を通じてのコミュケーションという部分と、そういった相性の問題もあると思うんだけど、非常におおらかに私の持っているものを、"明るいもの"として捉えてくれる感覚が非常に安心感があるんですよね。
——昔は一緒にニューヨークに行ったりだとか、そこのスタジオを使ったりとかね。
あぁ、そうでしたねぇ、懐かしい。もう2001年くらいですかね、全部で2か月行っていたんですよ。そのときには、『ライフ』のときのスタッフなんかと一緒にスペイン料理を食べに行ったりとか、お蕎麦食べに和食屋行ったりとかしたんだよね。そのときのスタッフは今でも残っているから、その意味ではすごく、アットホームな感覚はあるんだよね。
——小林さんのスタッフの方がよく小林さんは、宮本さんのことが大好きなんですよねと言っていたんですけど。
やめたほうがいいですよその話、秘密にしておいた方がいいです(笑)
——今回のレコーディング、そして製作は雰囲気的にはどうだったんですか?
非常にスケール感がありましたね。小林さんとプロデューサーとの紙面のやり取りの中で、"壮大なバラード"という風になっていって。その中でエレファントカシマシではないものを意識しました。エレファントカシマシは、やっぱりファンの人とともに築いてきたカラーがあるじゃないですか。コンサートのやり方もそうだし。まあ、鎧とは違うんだけど、守られた場所から初めて出る中で、もっとも音楽的にも信頼できる人とやりたい、ということですよね。
——そういうのろし上げの一曲ともなったこの曲をオンエアしたいのですが、宮本さん、曲紹介お願いします。
はい、えー、「冬の花」。
〈書き起こし終わり〉