納豆パスタ、それは日本で独自に進化を遂げた麺料理の一つである。これまで筆者は、その美味しさの頂に到達すべく、幾度となく試行錯誤を繰り返してきた。あるときはカルボナーラ風に、またあるときはミートソースに加えてみたり。どれも、それなりに形にはなったが、今一つ突き抜けたものがなかった。今一度、原点に立ち返ってみてはどうか。納豆の醍醐味といえばなんといってもその"粘り"である。いやはや、今までのは、その"粘り"が感じられなかったのだ。今回のレシピは粘りをいかに残しながら、パスタとうまく絡ませられるかに特化している。まずは、材料からご紹介したい。
材料(1人分)
・パスタ(150g)
・納豆:1パック
・卵:1個
・かつお節:適量
・きざみ海苔:適量
・梅肉:適量
・醤油:適量
続いて、作り方。パスタを茹でるときは、塩を入れるのをお忘れなく。あとは、ゴマ油。麺同士がくっ付かないようにするために入れる。オリーブオイルでも良いが、納豆の風味なら断然ゴマ油の方がおすすめ。納豆は小粒がおすすめ。中粒や大粒だと、大きすぎて麺に合わない気がする。かといってひき割りだと納豆の存在感が薄れてしまって、インパクトに欠けた味になってしまう。とはいえここは好み。まずは、そんな納豆と卵をよく混ぜ合わせる。卵は、つなぎの役目としてマストな存在。それだけではなく卵は、納豆との相性も抜群。卵のコクとトロミ、そこに納豆の粘りが加わることで、粘りの竜巻のようになって、たちまち旨味の塊が出来上がるのだ。ちなみに、納豆に付属しているタレやカラシもしっかりと使わせていただく。
薬味の存在も忘れてはならない。かつお節は、上に挙げたいずれの食材との相性が良いだけではなく、全体の旨味成分を補うのにも必須だ。梅肉は、味を引き締め、シャープにしてくれる。あくまで、風味程度で。逆に、主張のしすぎは仇となってしまう。納豆と卵を混ぜた粘りの塊に、それらの薬味を加え、さらに混ぜ合わせる。ここで味が足りなかったら醤油を加えて味を整える。パスタが入る分を考えて、味は幾分濃い目の方がいいと思う。そうこうしているうちにパスタが茹で上がったら、しっかりと湯切りして皿に盛る。そして間髪を入れずにパスタの上から、先ほど混ぜ合わせた粘りと旨味の塊をかけていく。茹で汁を使ったり、フライパンでソースを合わせるパスタも存在するが、ここでそれをやってしまうと粘りに支障をきたしてしまう。最後に、きざみ海苔を上からパラパラとかける。きざみ海苔は香り、納豆との相性も抜群だ。ここに、大地の恵みと海の恵みが織りなす最高のハーモニーが完成する。
この作り方だと、粘りがほとんど損なわれないまま、最後まで食べ進めることができると思う。それだけではなく、納豆の旨味を増幅させるために、集結した食材の数々。彼らは納豆を主役の座に、どうぞどうぞと迫り上げてくれる、まさに最高の太鼓持ち集団なのである。また、これはパスタのみならず、うどんだとか白飯にも合うと思う。写真には載っていないが、千切りにしたミョウガを乗せたり、刻んだ大葉を散らしたりしてもいいと思う。結局、料理はアレンジだ。そしてこう言いたい、La natto pasta è bella! (納豆パスタは美しい!)。