三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

後輩に宛てた文を、ブログへ―Oasisについての雑な解説

後輩から、Oasisについて教えてほしいという連絡がきた。そこで、高校時代に、Oasis関連の雑誌を読み漁っていた頃の記憶を引っ張り出して自分なりに書いてみた。解説というほどではないが、かなり噛み砕いて書いているので、だいぶわかりやすくはなっている、はず。

 

Oasisは、90年代のイギリスでブリットポップというムーブメントがあって、そこにいたバンドで。他にBlurっていうバンドがいて、音楽メディアは両者煽りまくったんだよね。労働者階級のOasisと、中産階級のBlurっていう構図もなかなか面白かった。CDの発売日とかも、意図的に近くしたりして。でも結局、Oasisがめちゃくちゃ売れるっていう。ちなみにブリットポップのムーブメントが、始まろうといういうとき、アメリカで下火になっていたのがグランジというジャンルで。Nirvanaとか。でも94年にフロントマンのカート・コバーンがショットガン自殺して、そのムーブメントは終焉って感じなんだけど。そのタイミングで、イギリスで、こういうムーブメントがでてきて、世界を飲み込んでいったんだよね。

 

それを象徴するアルバムが、『Definitely Maybe』(1994)、『(What's The Story?) Morning Glory』(1995)。これは、絶対に聴いた方がいい、というかこの2枚だけ聴いて他のを聴かなくてもいいっていうくらいの名盤。で、この時期にシングルで「Whatever」っていう曲もリリースしたんだけど、これはなんとアルバム曲じゃないんだよね(日本のCMでもかなり使われてる)。もう、この頃の栄光だけで、今でもやってますっていっても全然納得しちゃうくらいというかね。デビュー作の『Definitely Maybe』は、これでデビュー作か?というほど完成度が高い。70年代のそれこそT-Rexみたいなグラム・ロックだとか、The Whoとかの作品をオマージュしつつ、独特のコード感というか。オリジナリティーがすごくて。作詞・作曲はノエル・ギャラガーなんだけど、センスが爆発してるよね。工場で働いていた時に、倉庫で一人曲を作っていたという逸話も有名。初期のアジカンなんかは、かなり影響受けてるはず。というか、日本の2000年代のバンドにものすごい影響を与えているというか。

 

個人的に、最高傑作は2枚目の『(What's The Story?) Morning Glory』(1995)だと思っていて。これは、The Beatlesから影響が強くて。サウンドからコード、あとはコーラスに至るまで。「She's Electric」とか、すごくThe Beatlesを感じると思う。メインボーカルのリアム・ギャラガーの歌う方とか声も、ジョン・レノンっぽいしね。聴いているときの浮遊感とか高揚感というか、最初にこのアルバムを聴いた時は、なんでこんなにシンプルなコードなのに、ワクワクするんだろう、みたいな感覚になりましたね。その後に出した作品は、正直あんまり評価が高くなくて(というか1st、2ndの評価が高すぎた)。それでも2005年リリースの『Don't Believe the Truth』はいい作品だと思う。ご存じのように、Oasisはギャラガー兄弟(兄ノエル・弟リアム)が中心になっているんですが、このくらいから明確に分業体制になっていくというか。それぞれの個性がより引き立ってくる作品が増えてくる。この頃に、マンチェスターでライブをやっているんだけど、その盛り上がりが半端じゃないので、絶対に観たほうがいいと思う。

 

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ギャラガー兄弟といえば素行の悪さともに、仲が悪いことでも有名で。何度も解散の危機を乗り越えてやってきたんだけど、2009年に解散しちゃうんですよね(兄の方が脱退した)。正直この時はまたいつもの通り、どっちかが謝って、また活動再開するんだろうなと思っていたけど、解散した状態で今に至ります...。Oasis解散の後は、弟のリアムは残ったメンバーを携えてBeady Eyeというバンドをやった後、そのバンドも解散して今はソロで活動中。で、兄の方はNoel Gallagher's High Flying Birdsというソロ・プロジェクトをやってます。面白いのは、現在のノエルのサポートメンバーのギターとドラムは元オアシスということで、メンバーはリアムとノエルの活動を行ったり来たりしてるっていう。ちなみに両者のソロは結構売れていて、初登場1位記録はOasisから継続中という快挙がたしかこの前ニュースになっていたと思う。

 

例によって、好きな曲を挙げるとすれば、
1. The Hindu Times (from "Heathen Chemistry")
タイトル通りのインドっぽさ。The Beatlesのギタリストジョージハリスンが、インド音楽に傾倒した頃のような雰囲気。洋楽、というか西洋のロックバンドあるあるとしては、仏教とヒンドゥー教、あるいはその音楽に傾倒しがち、というのがあります。Nirvanaも"涅槃"だったり。

 

2. Turn Up The Sun (from "Don't Believe The Truth")
収録アルバムの一曲目。幕開け感がすごい。じわじわと暖まっていく感じがすごく表現されていると思う。さっき書いたマンチェスターのライブのときも一曲目だったような気がする。兄弟のコーラスがめちゃくちゃ綺麗にはまっていて、久々の快作という感じ。

 

3. The Shock Of The Lightning (from "Dig Out Your Soul")
解散前最後の作品に収録されている曲。リアムの不摂生で、晩年の頃は"ゲロ声"と言われていた時期ということもあって、コンディションは全盛期と比べてあまりよくはないものの、サウンドプロダクションや、鮮烈なメロディーは目を見張るところがあると思う。来日して、Mステでパフォーマンスした曲がこれだったと思う。 

 

4. Song Bird (from "Heathen Chemistry")
リアムの声と可憐なピアノとアコースティックサウンドが見事にあっている。牧歌的な雰囲気が漂う。曲の終盤のオルガン(?)はその情景をさらに色鮮やかにさせる。すごくシンプルなんだけど、めちゃくちゃすき。

 

5. The Importance Of Being Idle (from "Don't Believe The Truth")
水戸黄門のテーマソングのような、イントロが印象的。日本の歌謡曲的なリズムに哀愁漂うギターソロ。日本人に人気な理由なのがなんとなくわかる曲かもしれない。ノエル・ギャラガーのソロライブでもいまだに演奏している曲。ボーカルとしてのレベルの高さを、ひけらかさない佇まいが最高な一曲。

1stと2ndは全部いい曲なので、それ以外をチョイスしてみました。

 

The Beatles編はこちら。

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