今年の1月の終わり、衝撃的なニュースが舞い込んできた。というのも、エレファントカシマシが長年在籍してきた、フェイス ミュージックエンタテインメントの契約が満了を迎え、アミューズに移籍が決まったのだ。アミューズといえば、サザンオールスターズや福山雅治、さらには星野源やperfumeといった日本のポップアーティストが勢ぞろいしている事務所であるが、その力は大きく、紅白歌合戦ともなれば、アミューズ所属の面々が、軒並み名を連ねるほどである。
そんな、アミューズにエレファントカシマシ。ほんの数年前までだったら、到底考えられなかった組み合わせだ。移籍の理由は詳しくはわからないが、近年の彼らの人気の上昇とそれに伴う業務の変化に対応するための、円満な移籍であったと思いたい。そして、さっそくアミューズがらみのタイアップが決まった。福山雅治主演のTBSドラマ『集団左遷!!』の主題歌に「俺たちの明日」が決定したのだ。
しかしながら、なぜ今頃この楽曲?と思ってしまった。百歩譲って福山雅治のカバーだとか、あるいは再録(これだったらは非常に聴いてみたい)で、現在の彼らのサウンド、宮本の歌声ならまだしも、2006年リリースの当時の音源のまま、ときたもんだ。この曲は確かに素晴らしい楽曲だ。宮本の人生40年を総括する楽曲になっていて、同世代の人間に大きな共感を生む、エレファントカシマシの代表曲といってもいい。そんなわけで、テレビに出演し演奏され、流される楽曲といえば、「俺たちの明日」、「俺たちの明日」、そして「俺たちの明日」……。リリースから13年の月日が経ち、もう散々こすられてきたではないか……。
この13年の間で、エレファントカシマシは目に見えるくらい、大きく変化した。新しいファンを獲得し、特に30周年以降の活動や、椎名林檎や東京スカパラダイスオーケストラとのコラボレーションを始めとする新しい試みは、バンドをより大きなものへと成長させている。ただ、残念なことに、世間のエレファントカシマシに対するイメージはこの「俺たちの明日」で止まってしまっている。『STARTING OVER』の頃といえば、彼らがユニバーサルミュージックへと移籍をし、これでもか、というくらいにプロモーションされた時期でもある。それは、当時小学生だった自分でもエレファントカシマシという存在を認識させるほどであった。「俺たちの明日」は今や、「今宵の月のように」と同じくらいか、それ以上の知名度がある楽曲になっているのではないだろうか。
それは裏を返せば、いくら新しいことをやろうとしても、この楽曲が邪魔をしてくるような気がしてしまうのだ。そのイメージを中々払しょくできないということなのである。そんなわけで今回のタイアップは、それを助長してしまう結果となっているように思えてならない。日本のこうした事務所がらみの癒着的なタイアップというのは、今に始まったことではないが、それが少しばかり飽和気味というか、過剰な感じになってしまっているのが、現在のテレビ業界のような気もしてしまう。いっそのこと、福山雅治 feat. 宮本浩次なんてやってみたらいいのではないか、なんて思ってみたりみなかったり……。それが全く想像できないのがまた面白いんだけれども……。