三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

日比谷野音のすばらしさ

日比谷野音は数あるライブ会場の中でも、かなり上位の方に入るくらい気に入っている会場である。無数に立ち並ぶ、無機質な高層ビルの真ん中に、オアシスのように緑で囲まれた日比谷公園。木々の葉が重なり合って生い茂ったトンネルのような道を抜けると、コンクリートの巨大な建造物が現れてくる。日比谷野外大音楽堂だ。90年という歴史を感じるたたずまい。これまで、ライブだけではなく、政治活動や集会をはじめ様々なイベントがここで開かれてきた。外の壁にはツタが生い茂り、回りに生えている木々は、今にも日比谷野音を飲み込まんばかりに接近している。コンクリートにはところどころヒビが入り、それを埋めるように自然のコケや草が生えている。悪くいってしまうと、老朽化である。しかしながらその様はまるで、"古代遺跡"のようにもみえてくるのだった。ものは言いようである。

 

古代遺跡のような、歴史の重層性。実際、この辺一帯というのは、江戸時代の頃は入り江だったという。2017年のエレファントカシマシのライブで、「武蔵野」という楽曲を演奏する際宮本が、
「この辺は海だったといいますよね。どんなだったんだろうなぁ」
と言っていたが、さすが古地図好きは違うなと思ったのであった。ここでは、毎年様々なアーティストがライブを開催する。今年は、再結成したNUMBER GIRLがライブを行うことで話題になっている、日比谷野音の地に何といっても欠かせないのはやはり、エレファントカシマシだろう。デビューして以来今日に至るまで、毎年のようにライブを開催し、もはや"聖地"と呼ばれるまでになっている。

 

エレファントカシマシ、日比谷野音、聖地。この単語の並びを見たときに、妙に納得というか、しっくりときてしまうのである。それは、それぞれが歴史のあるもの、東京の空気感、カリスマ性があるという点で呼応し合っているからなのしれない―—。いやはや、これはエレファントカシマシの記事ではない、日比谷野音の記事だ。そう、日比谷野音。日比谷野音は、お酒を飲みながらライブを観られるという点がいい。会場内からぐるりとあたりを見渡せば、ビルが立ち並んでいるが、閉塞感はない。むしろ開放的である。ただ、以前観に行ったときは雨だった。しかしながら、これもまた趣があってよかった。雨粒がライトにキラキラと反射して、自然の照明効果を作り出していた。

 

コンサートは無論、会場内で観るのが一番ではあるが、外で"聴く"ことも日比谷野音の醍醐味の一つだ。近くのコンビニでお菓子とビールを買って、適当なベンチに腰掛ける。ライブの日になると、日比谷駅の地上の階段を上がるとすぐ、演奏が聴こえてくる。場所によっては鮮明に聴こえてくるくらい大きな音である。ビール片手に、最高の演奏を臨場感のある音響で聴く。外は外でまた、すばらしい。以下に貼ったのは、日比谷野音に関してこれまでに書いた記事。エレファントカシマシはもちろんではあるが、野音についてこれだけ書いているということはやっぱり好きなんだなあ、と改めて実感する次第なのであった。

 

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