三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

老舗とんかつ屋の魅力

筆者が住むところの最寄り駅には、昭和の面影を残した――悪く言うと寂れ切った商店街がある。ところどころ店が閉まっていて、ところどころ塗装が剥がれて錆びたスピーカーからは、ひと昔前の音楽が鳴り響ている。そんな商店街の中に、ひっそりと佇むとんかつ屋がある。 暖簾をくぐると、初老を過ぎたくらいの夫婦が切り盛りをしている。店内の壁を見渡せば、長年のすすや油が蓄積し、飴色になっている。座敷席が3つとテーブル席が2つ、厨房側にカウンター席が数席。席に座るとすぐに、温かいお茶とメニューが置かれる。年季の入ったメニューには、少々値の張る上とんかつ定食から、曜日ごとに変わるメニュー、そしてお得な"サービスメニュー"まで、なんともバラエティーに富んでいる。

 

いつもはたいてい、サービスメニューのロースとんかつ定食を食べる。定食にもかかわらず、80グラムだと648円、100グラムだと810円と、かなりお得な価格設定だ。本を読みながらでもして(すごく落ち着くので読書に丁度いい)。しばらく待っていると、ロースとんかつ定食が到着する。定食は、味噌汁がご飯に左側にある東日本のスタイルではなく、ご飯の上側にあるという関西スタイルの配置。ごはんは炊き立て、しかも山盛り。なくなったらおかわりもできる。味噌汁にはわかめと豆腐が入っている。土日にはこれが豚汁に代わる。サラダには飾り切りされたきゅうりとトマト、下の方にはシャキシャキの千切りのキャベツが入っていて、しょうゆベースのドレッシングで味付けされている。そして、キュウリの漬物とたくあんが小皿に盛られている。もう、これだけでご飯一杯分平らげられるくらいのボリュームだ。

 

そして肝心のメインディッシュのとんかつの方はというと、かなりボリュームたっぷりな質感で、さっくりと揚がっている。1000円以下の値段にもかかわらず、使用しているのは千葉県産のブランド豚、"いも豚"。脂身はしつこくなく、肉質は口に入れた瞬間ほろっととろけ、かなり柔らかい。ソースは甘口と辛口の2種類があるが、辛口のほうを選ぶ。スパイスでエッジの効いた味が、とんかつのうまみをより一層引き立ててくれる。夢中になってひたすらとんかつを口に運んでは、ごはんをかき込んでいく。たまに味噌汁、漬け物で一休みしながら。2杯目のご飯を食べおわる頃には、きまって幸福感に満ち溢れた心地よい感覚に襲われる。そして、改めて気づかされる。食べることは大切だなぁ、と——。

 

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