2018年は、各種音楽メディアのベストアルバムを見てみると、女性アーティストやラップの興隆が目まぐるしい結果となっています。Twitterで流れてきた2018年の「アメリカ Apple Music 年間トップ100」の画像(確証はありませんが)でも、ラップが75%、R&Bが12%、ポップが11%、そしてロックが1%(あらら…)と、ラップが圧倒的な流れになっています。特にラッパーのカーディ・Bは、女性として客演(feat.)ではなくリード・アクト曲での首位を獲得し、今年の流れを総括的に象徴しているといえるでしょう(これはローリン・ヒル以来19年ぶりの快挙のようです)。そんな今年1年を象徴したこの流れは、来年以降も、さらなる加速を見せるのか、あるいは再びロックが盛り返してくるのか。それは時の流れに身をまかせるに他なりませんが、非常に興味深いところであります。
また今年は、これまでのイギリス・アメリカという英語圏の音楽がグローバル・スタンダードで、そのほかの国の音楽がワールド・ミュージックとして括る図式が、少しだけ崩れたような感じがあります。それはおそらく一番は、フィジカル(CD/アナログ・レコード)にとって代わって、サブスクリプションの市場規模が増加したのが大きいのかもしれません(日本は依然としてフィジカルの流れが強いですが…)。なんというか、「アルバム(もしくはシングル)がリリースされたら、全世界の人間が作品を一斉に聴くことができる」という"共時性の現象"がより加速した感じがするのです。筆者も2018年からSpotifyを利用し、その"文明の利器っぷり"を十二分に体感することができたのでした。そんな中で2018年は、どの国の音楽も分け隔てなく聴けるような「土壌」が一気に作り上げられたような感覚がするのです。
前置きが長くなりましたが、今回は完全に個人的な趣味で、ベストアルバムを5枚選んでみました。選考基準みたいなものは、「今年繰り返し聴いたもの」、さらに「印象に残っているもの」という漠然とした感じです。そもそも、多くのリスナーがサブスクリプションで聴くようになった現在、アルバム単位ではなく、一曲一曲に価値をおくようになった感も否めませんが、とりあえず今回は良しとします。ただまあ、選んでみると、個人的に受け入れられないものは、どうしても受け入れられないし、好きなものは生まれてこの方変わらないな、というのが一先ずの印象です(普段から時代関係なしに聴いているので、2018年というくくりで選ぶのは難しいのです…)。なので、今回の記事は、そんな自分の選んだものを思うままに、日記的に、ただただ書き連ねていく感じです。つまり、「三浦という人間が、今年は音楽をこんな風に聴いたんだな」程度に思っていただければ幸いです。それでは次回、いよいよ本編が始まります。