三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

エレカシの新曲「Easy Go」、"50代の青春"そして"威風堂々"の佇まい

  エレカシの新曲「Easy Go」、つい先日はYouTubeにて『宮本から君へ』のオープニング映像が、そして昨日はミュージックビデオのショートバージョンが公式アカウントで公開された。

 ミュージックビデオ、度肝を抜かされた。音楽に比例するようにギターの演奏そっちのけで激しいアクションをする宮本。そして間奏部分、今度はギターの石森と一緒にギターを演奏する。宮本が単体で映るMVが大半を占める中、こうしたマッシュアップには少し感動を覚えてしまった (バンドなんだから当然と言えば当然か、麻痺している…)。

 「RESTART」で扮装をしたThe Rolling StonesやAerosmithのような"理想"、"ロックスター像"みたいなものを今回のMVでは、"エレファントカシマシ"が彼らなりに体現しているように見受けられた。そんなMVでの宮本、今年52歳になるとは思えぬほどの若々しさに溢れたオーラを纏っていた。というか、5年前の2013年にリリースされた復活シングル「あなたへ」のMVの時よりも若返っているような印象を受けた。そうなると彼はいよいよ周りにある音を吸い込んで若返り、力を増してゆく"妖怪"のようにも思えてしまう。江戸時代に生きていたら『妖怪絵巻』に登場するの妖怪のモデルになっていたかもしれない。それこそ『犬夜叉』のキャラクターなんかにいたら絶対に強いはずだ―。

 そして、「Easy Go」のフル音源はいよいよ本日、5月25日の0時からストリーミングで先行リリースされた。そんなわけでSpotifyにて、やっとの思いでフルで聴くことができた。バンドデビュー31年目に差し掛かって未だ衰えるどころか、さらに増してゆく熱量。前作『RAINBOW』のタイトル曲、「RAINBOW」の熱量もすさまじかった。けれども、「そんなのはまだまだ。そのくらいの熱量を超えるのなんていとも容易い御用だぜ」と言わんばかりに今作では、その熱量を"さらっと"凌駕してくる。そして、若手バンドには到底出すことができない"威風堂々"な佇まい。しかもそこには、"青々しさ"も共存している。なんというかそれは、50代からの青春を謳歌するかの如く、歌声の一言一言、演奏の一音一音から四方八方にビームのように発散され、無尽蔵に耳に突き刺さってくるような感じだ。確かに、これは音楽雑誌や音楽評論家が口をそろえて言うようにまさに文句なしの"名曲"である―。

 ただ、MVの解禁、そして配信の先行リリース、4月の頃の記事(『エレカシの新曲「Easy Go」、そして最近のプロモーションについて』)にも書いたように、やはりもう少し早くても良かったのではないかと思ってしまう。案の定『宮本から君へ』はストーリーの佳境を迎えた。各種音楽雑誌では"名曲"「Easy Go」に関しては、リリースされる遙か前である3月号、4月号で既に取り上げられていたから、それこそ"ズレ"が半端ではない。"ズレてる方がいい"というのは是非とも曲だけにしてほしい。

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 ただ、そうこうしているうちに6月6日には通算23枚目となる新アルバム『Wake Up』が満を持してリリースされる。あと10日ばかりの辛抱。ユニバーサルミュージック特有の複数形態による販売方法(デラックス版と初回限定盤)に若干納得はいかないものの、やはりアルバムの"楽しみ"の方がそれよりも勝ってしまう。誰かが言っていた、「おしなべて、事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。あせらずあわてず、静かに時の来るを待つ」と。そんな訳で、"ああだこうだ"と言わず静かにその時を待つことにします。【ほぼ日刊三浦レコード54】

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