三浦日記

音楽ライターの三浦智文が、日記のようにつらつらと書いていくブログ

ほぼ日刊三浦レコード

"エレカシの宮本浩次"と、"ソロの宮本浩次"―〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ライブレポート前夜

"エレファントカシマシ宮本浩次"と、"ソロアーティスト宮本浩次"は全くの別人だ―。ソロ活動というものが、エレファントカシマシの延長線だとすれば、この命題のようなものは決して"真"になることはない。けれども、〈ソロ初ライヴ!宮本、弾き語り〉ではこの…

Mr.Childrenのライブで感じた疑問―〈Against ALL GRAVITY〉東京ドーム公演 ライブレポート

幸いなことに、Mr.Childrenのドームツアー〈Against ALL GRAVITY〉の東京ドーム公演に行くことができた。野球好きの筆者としては、東京ドームといえば、4月のイチローの引退試合、さらには先日引退した上原浩治の本拠地球場である。そんなわけで、会場(グラ…

ピースが抜け落ちている感じ―ノエル・ギャラガー来日公演 ライブレポート

ピースが抜け落ちている感じがした―。 それは昨年9月、弟のリアム・ギャラガーの来日公演を観に行ったときも同様の感情になった。2009年にOasisが解散して、10年が経った。この間、ノエル・ギャラガーは、Noel Gallagher's High Flying Birdsとして、ソロ活…

GLAYのライブ、内輪ネタの究極系

GLAYといえばさかのぼること10年ほど前、筆者が中学生の頃しばしば聴いていた。当時はビジュアル系のバンドが好きで、特にX JAPANをよく聴いていた。で、その弟分的な存在であるGLAYだとかLUNA SEAだとかも派生して聴くという感じだった。GLAYがビジュアル系…

ただのポップバンドでは終わらせない、新しい扉を開けるんだ―BOYS END SWING GIRL『NEW AGE』解説

ただのポップバンドでは終わらせない、新しい扉を開けるんだ―。 2018年、彼らは4作目となるミニアルバム『NEW AGE』をリリースした。今までのストレートなギターロックサウンドから一新させたポップなサウンドの今作は、「全年齢対象バンド」という彼らのコ…

化けの皮を被ったヒップ・ホップ―宮本浩次「解き放て、我らが新時代」レビュー

先日リリースされた、宮本浩次の2作目となるソロ・シングル「解き放て、我らが新時代」。一聴したときに感じたのは、エレファントカシマシの2000年代初頭の頃の作品。この時期の彼らといえば、宮本のソロ・ワーク的な作品が続いていたが、そんな『good morni…

最近のWeezerのセットリストはなぜ昔の曲ばかりなのか?

xxxtomo1128xxx.hatenablog.com 先日は、コーチェラに出演したWeezer。そこでWeezerは、最近の曲ではなく初期の曲中心に演奏していたのが、とても印象的に写った。初期の曲を中心にしたセットリストは、コーチェラに限ったことではなく、ここ数年の彼らのフ…

〈Coachella Fes. 2019〉の感想―〈SUMMER SONIC 2019〉出演のThe 1975とWeezerについて

今年も〈Coachella Fes. 2019 (コーチェラ)〉がYouTubeで配信されました。筆者が注目していたのは、なんといっても初日のThe 1975と、二日目のWeezer。これだけは絶対に観ておきたかった。というのも彼らは今年、日本で開催される〈SUMMER SONIC 2019 (サマ…

春の憂鬱、そして日常―SASORI『Silver topaz / mellow』 レビュー

左からMK(Gt.)、小杉真咲(Gt./Vo.)、中川ヒロキ(Dr.)。 長い冬の頃には、春が待ち遠しい。けれども、いざ桜の季節になると、淡く美しい景色とは裏腹、出会いや別れに際し、どこか後ろめたく憂鬱な気分になりがちだ。SASORIの記念すべき1枚目となるシングル『…

エレカシの「俺たちの明日」がなぜ!?

今年の1月の終わり、ファンにとっては衝撃的なニュースが舞い込んできた。というのも、エレファントカシマシが長年在籍してきた、フェイス ミュージックエンタテインメントの契約が満了を迎え、アミューズに移籍が決まったのだ。アミューズといえば、サザン…

エレカシの「桜の花、舞い上がる道を」の"幹"を太くしているものは何か

「桜の花、舞い上がる道を」。この曲は、桜の季節になると無性に聞きたくなってくる。桜の風景をみていると、楽曲が脳内で再生され、見事な融合を果たすのである。そんなわけで、今年もこの曲について、つらつらと書いてみることにした―。 東京の方では、桜…

エレカシの宮本の歌声、そしてライブへのススメ

エレファントカシマシのボーカリスト、宮本の歌声。それはどこで最も映えるかというという問いがあれば、間違いなくライブであると答えるだろう。ライブが音源と異なるのは、空間的な反響の音を感じられるということだ。宮本の、ライブでの歌声を例えるなら…

"大御所バンド"に求める魅力について—木々、森林のイメージと重ねて

昨年の夏、白神山地に行く機会があった。ここは、秋田県と青森県の県境にある、世界有数のブナの原生林の土地であり、1993年には日本初の世界遺産にも登録された。現在は、一部区域立ち入りが制限されてはいるものの、悠久の時を感じることができるスポット…

世界への"迎合"ではなく、ガラパゴス的な日本のロックからの"脱却"—ONE OK ROCK『Eye of the Storm』レビュー

今までのONE OK ROCKと"違う"と感じた—。 というのも今までのはどうも、海外のバンドの"二番煎じ"をしている感じがしてならなかったのだ。これまで彼らの楽曲に関して敬遠をしていたリスナー層というのは自分を含め、恐らくはそこが一番大きかったような気が…

エレカシの新春武道館 二〇一九年一月一八日 ライブレポート—"喜怒哀楽"が生々しく剥き出しになったステージ

新春、そして武道館という神聖な地でのライブ。初詣、あるいは初日の出を拝みに行くような心持だった。この日のライブが始まるまでは―。 一八時半、開演時刻を迎えて間もなく会場は暗転し、大喝采の中メンバーが登場する。いつものようにSEはない。静寂を切…

Something Human / MUSE (和訳・解説)

My circuits have blownI know it's self-imposedAnd all I have shared, and all I have lovedIs all I'll ever ownBut something has changedI feel so aliveMy life just blew up, I'd give it all upI'll depressurizeOh, oh, oh, ten thousand miles le…

"フラット"に音楽を聴くことについて―大御所メジャー・バンド3組の新作に思う

2018年のベスト・アルバム以外にも、こんな感じでこの年の音楽を聴くことができるのではないかと思って書いたのが、この記事です。2018年にリリースされたアルバムを3枚選んで、そこから共通項みたいなものを見出そうというものです。とはいえやはり、同じア…

三浦的2018年ベスト・アルバム5選―邦楽編

xxxtomo1128xxx.hatenablog.com カネコアヤノ - 祝祭 2018年の5月だったか、Spotifyのライブ・イベントがあってそれに出演していたカネコアヤノを知って以来、彼女の音楽のとりこになった。あのときは確か4組出ていたけれど、群を抜いた存在感を見せていた、…

三浦的2018年ベスト・アルバム5選―邦楽編 (まえがき)

邦楽というのは、必ずしもアメリカ、あるいはイギリスの流行と直接リンクすることというのはあまりないような感じがします。"ガラパゴス化"なんていう言葉が、日本の携帯電話を揶揄するときに使われたりしましたが、それは音楽においてもきっと同じことが言…

三浦的2018年ベスト・アルバム5選―洋楽編

xxxtomo1128xxx.hatenablog.com Paul McCartney - Egypt Station 今作はポール・マッカートニーの曲を聴くときのワクワク感、高揚感みたいなものが近年の彼の作品の中でも突出して強い感じがする。前作の『NEW』でも、それが感じられたが、はるかに上回って…

三浦的2018年ベスト・アルバム5選―洋楽編 (まえがき)

2018年は、各種音楽メディアのベストアルバムを見てみると、女性アーティストやラップの興隆が目まぐるしい結果となっています。Twitterで流れてきた2018年の「アメリカ Apple Music 年間トップ100」の画像(確証はありませんが)でも、ラップが75%、R&Bが12…

聴かせどころ、全部。けれども―東京スカパラダイスオーケストラ feat. 宮本浩次「明日以外すべて燃やせ」レビュー

「人生とは、美しいアルバムではなく、撮れなかった写真だと思う」 この言葉は、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦が、とある番組で紡ぎだした言葉で、元々はビヨンセの、「人生とは、何回息をするかではなく、何回息を飲む瞬間があるかだと思う」とい…

BOYS END SWING GIRL、インタビュー後記

2018年10月、千葉にある某スタジオにて、BOYS END SWING GIRLにインタビューを行いました。そもそも、先日めでたくメジャー・デビューを果たしたバンドに、なぜ"ぺいぺい"の学生が丸腰で取材することができたのか。というのも、白澤さん(Ba.)とはもともと大…

若き新鋭が集った、Mom『PLAYGROUND』リリースパーティ―ライブレポート (ディレクターズカット版)

さとうもか 〈Shibuya O-nest〉で行われたMomのリリース・パーティのトップを飾ったのは、さとうもか。彼女は「今日はYO!Mom君のYO!大事な日だYO!」と、サングラス姿で意気揚々と登場し、披露されたのは「殺人鬼」。効果音を多用したサウンドは、1曲目に…

ボイエン史上初の領域へと踏み込んだ快作―BOYS END SWING GIRLの「サンタクロースイズユー」レビュー

クリスマス直前に、BOYS END SWING GIRLから何とも粋なプレゼントが届けられた。全編を通じて、クリスマスを連想させる詞が並び(いじわる爺さんの雪かきのところはどうしても、『ホーム・アローン』に登場する"シャベル殺人鬼"こと、マーリーおじいさんを連…

"読み聞かせ"をされているような安心感―七尾旅人の『Stray Dogs』レビュー (ディレクターズカット版)

デビュー20周年という節目にリリースされた、七尾旅人の『Stlay Dogs』。全体を通じて、川のせせらぎのように心地の良いメロウなサウンドは、自然と作品の世界に没頭させてくれる。そんな今作をすべて聴き終わった後に湧き上がってきた多幸感、それは―。子ど…

"随筆"や"日記"のような、軽やかさ―カネコアヤノの『祝祭』レビュー

空飛ぶ絨毯の“絨毯”が、“畳”になって飛んでいる感じ―。 いつだったか、スピッツの草野マサムネが、カネコアヤノが創り出す音楽をこんな風に表現していた。何とも的を射ているなと思った。古い木造の文化住宅の畳部屋に、1人の女の子が座ってくつろいでいる。…

真っ向勝負の先に見えた、新しい二重唱(デュエット)の在り方―椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」レビュー

二〇一八年、平成から新年号に移り変わる潮目に、椎名林檎たっての希望で叶えられた、宮本浩次の"客演"。だが、これは決して"客演"なんかではない。三十年もの間、これまで共に戦ってきた仲間を残し、一人佇む齢五〇過ぎの男が、不惑の余裕をにじませた策士…

折坂悠太の「さびしさ」を形作る"さびしさ"について

どこかで聴いたことのあるような懐かしい曲だ。それはファンタジックな画風のアニメの世界だったかもしれない。あるいはいつか行った街の外れにある喫茶店だったかもしれない。ただ、そんな「さびしさ」は、聴き終わった後きまって、得もいえないさびしさを…

荒井由実の「天気雨」、雨の鎌倉

9月の下旬に鎌倉に行ってきた。鉛色の空からは冷たい雨が降っていて、由比ヶ浜の地平線の方はどんよりと白く曇っていた。そんな天気にもかかわらず、堤防越しに海岸を見るとサーフィンをする人、沖の方にはヨットがぼんやりと見えた。渋滞している車のテール…