三浦日記

音楽ライターの日記のようなもの

2018-01-01から1年間の記事一覧

METROCK 2018 東京1日目 ライブレポート (BOYS END SWING GIRL編)

NEW BEAT SQUAREのステージ名にふさわしいフレッシュなパフォーマンスを披露したのは、記念すべき夏フェス初出演のBOYS END SWING GIRLだ。2017年5月に行われた渋谷eggmanでのワンマンライブの成功、そして、若手バンドの登竜門的なイベント『ROAD TO EX 201…

METROCK 2018 東京1日目 ライブレポート (トリプルファイヤー編)

"NEW BEAT SQUARE"でトップバッターを務めたトリプルファイヤ―。ボーカル吉田靖直の、ラッパー呂布カルマとのMCバトルや『タモリ倶楽部』へのテレビ出演で、彼らの"知名度"は徐々に上がってきていた。しかしながら、その"知名度"というのはあくまでも"コア"…

エレカシの新曲「Easy Go」、"50代の青春"そして"威風堂々"の佇まい

エレカシの新曲「Easy Go」、つい先日はYouTubeにて『宮本から君へ』のオープニング映像が、そして昨日はミュージックビデオのショートバージョンが公式アカウントで公開された。 ミュージックビデオ、度肝を抜かされた。音楽に比例するようにギターの演奏そ…

【ほぼ日刊ベースボール13】背番号の"ブランド力"について (背番号の持つ意味 Part2)

背番号の持つ意味について「背番号の持つ意味 Part1」では選手名を具体的に挙げながら、その意味についてつらつらと書いていきました。で、今回も例によってそれをやろうと意気込んでみたものの、いつしかそんな作業は途方もないことだということに気が付い…

港町の風景、そして路地裏の生活感―スピッツの『インディゴ地平線』レビュー

スピッツの7thアルバム『インディゴ地平線』(1996)には、現代において失われつつあるひっそりと生活が根付いているような風景がそのまま"音"として表現された感じがある。 「花泥棒」は、細い路地裏を抜けると突如現れてくる、煤けた壁の色と花の鮮やさがコ…

カネコアヤノの圧倒的な存在感―Spotify Early Noise Night vol.5 ライブレポート

音楽ストリーミングサービス"Spotify"が推薦するライブイベント『Spotify Early Noise Night vol.5』が5月16日、代官山SPACE ODDで開催された。このイベントには、Spotifyのプレイリスト「Early Noise 2018」の、今後ブレイクが期待される新進気鋭のアーティ…

【ほぼ日刊三浦シアター4】救いの手、一切無し―『炎628 (Иди и смотри)』(1985) レビュー

すさまじい映画だ。1つの救いもない。希望を感じる暇すらない。例えるとしたら、地獄に落ちたかと思えば更なる地獄が待っていて、そこから這い上がることすら許されないというような感じだ。そして、それは決して夢ではなく、全て現実であるということが淡々…

"真面目な不真面目"への飽くなき追求―奥田民生の4thアルバム『GOLDBLEND』レビュー

奥田民生の通算4枚目となるアルバム『GOLDBLEND』(2000)。今までの作品同様、今作でも聴いていて気持ちの良い曲が勢ぞろいしている。奥田特有の"コード進行"や"ビートの気持ちよさ"、これは誰にも真似できないほどの領域にまできている。ただ、今作に関して…

大御所パンクバンドによる"大人のやんちゃ"―GREEN DAY『Revolution Radio』レビュー

Green Dayのキャリア12枚目となるアルバム『Revolution Radio』(2016)。2018年現在、バンドは結成30年を迎えようとしている。本作ではそんな彼らが培ってきたキャリアの重みと、更なる可能性を感じさせるようなアルバムとなった。 "若さ"と"才能"を剥き出し…

【ほぼ日刊ベースボール12】大谷世代にとってのイチローの存在について

現地時間4日、イチローと大谷は遂に対面を果たした。数々の歴史を築き上げてきたレジェンドイチローを前にして、大柄な大谷は何だか小さく見えた―。"大谷世代"と言えば1994年生まれのスポーツ選手を指す言葉であるが、彼らが産声を上げた頃イチローはオリッ…

初期衝動からの"第2の爆発"―MUSEの2ndアルバム『Origin of Symmetry』レビュー

若さと勢いそのままの、まさに初期衝動と言わんばかりの1stアルバム『Showbiz』(1999)。2ndアルバム『Origin of Symmetry』(2001)では、それに匹敵する位の"第2の爆発"が起こっている。爆発力はさらに凄みを増し、荒く削りだされた原石には、磨きがかかり、…

ビリー・ジョーのソロプロジェクト、"The Longshot"のデビュー作『Love Is For Losers』レビュー

Green Dayのビリー・ジョーによる新プロジェクト、The Longshotのアルバム『Love Is For Losers』が4月20日リリースされた。このアルバムはパッと聴いた限り、「なんだGreen Dayと変わらないじゃないか」、なんて風に思ってしまう人がいるかもしれない。 で…

野球観戦の楽しみ方について―広島×ヤクルト戦でのいざこざに思う

野球観戦の楽しみ方とはどうあるべきなのか。 それを考えさせられたのは昨年の9月1日、神宮球場で行われた広島カープ対東京ヤクルト戦である。試合は3対2で広島の勝利。ヤクルトファンとしては悔しい限りだった。だが、今回の問題は選手側ではなく、観客側に…

【ほぼ日刊ベースボール10】松坂大輔の日本球界12年ぶりの勝利に寄せて

松坂大輔が、12年ぶりに勝利を飾った―。 遡ること12年前の2006年、当時の松坂は西武ライオンズのみならず、球界の絶対的エースとして君臨していた。その年の3月に行われた、第1回WBCでは日の丸を背負い、MVPを獲得。その勢いのまま迎えたシーズン、松坂はキ…

エレカシの「さよならパーティー」、そしてクリープハイプによるカバーについて

エレファントカシマシの「さよならパーティー」は、ユニバーサル・ミュージック移籍後の第1弾アルバム『STARTING OVER』(2008)に収録されている。前作の『町を見下ろす丘』(2006)と比べると、この曲の収録されているアルバムはポップでキャッチ―な曲が多く並…

海外アーティストの来日公演あるある

海外アーティストの来日公演あるある。それは「公演地を叫び、観客を煽りがち」であるということだ。地名を叫んでくれることによって、観客とアーティストとの距離は一気に縮まり、会場全体に一体感が生まれる。しかしながら、日本において海外アーティスト…

『RESTART / 今を歌え』(初回限定版)の特典『日比谷野外大音楽堂2017 セレクション』について

『RESTART / 今を歌え』の初回限定盤には『日比谷野外大音楽堂2017 セレクション』がボーナスCDとして付いてくる。そして、これが何ともすばらしいのだ。日比谷野音ライブの空気感までもがそのままCDに凝縮されている感じがして、野音の外で聴いているような…

【ほぼ日刊ベースボール9】イチローの今後の去就について思うこと

今日付けのYahoo!ニュースでこんな記事が出た。 headlines.yahoo.co.jp まだ決定したわけではないが、シアトル・タイムズ紙のコラムでは「みんなが彼を愛している。だがマリナーズがイチローを手放す時が来た」という見出しの記事が掲載されたようだ。また、…

PUFFYの「これが私の生きる道」におけるThe Beatlesのオマージュについて

「これが私の生きる道」。この曲はPUFFYという女性アイドルユニットが歌う、ただの"アイドルソング"ではない。そして、この曲のリリースからは20年以上が経ったが、ただの"懐メロ"というわけでもない。というのもこの曲には、作曲者である奥田民生のThe Beat…

21st Century Breakdown / Green Day (和訳・解説)

[Part I]Born into Nixon, I was raised in hellA welfare child where the teamsters dwelledThe last one born and the first one to runMy town was blind from refinery sunニクソン政権下に生まれ、俺は"地獄"のような場所で育ったトラックの運転手たち…

【ほぼ日刊三浦シアター3】『デッドプール (Deadpool)』と、"第4の壁の破壊"について

当初、この記事では映画『デッドプール』の本編の内容についてどうのこうの書いていく予定だったが、そんな予定を変更して、"第4の壁の破壊"にピックアップして書いていこうと思う。そのためこの記事は『デッドプール』を観たことがあるか、その内容を知って…

世界最高水準のエンターテイメント——ブルーノ・マーズ 24K MAGIC WORLD TOUR 2018 ライブレポート

来日公演2日目の4月12日、会場のさいたまスーパーアリーナは超満員。開演時間が過ぎ、会場が暗転する。しばらくすると、オープニングの曲が始まる。スクリーンには歌に合わせて、歌詞が映し出された。Bruno Marsは登場してすらいないのに、それだけで会場の…

ブルーノ・マーズ来日公演2日目に行ってきた

ブルーノ・マーズ、圧倒しかされなかった。世界的なアーティストが同じ空間にいる。その時点ですでに圧倒されてしまっていたのだが、彼の歌を聴いた瞬間、今まで聴いてきたものとは"別次元"のものがこの身を襲ってきた―。 彼の音楽はとにかくジャンルの幅が…

【ほぼ日刊ベースボール8】巨人×ヤクルトの"TOKYOシリーズ"観戦録 (2018.4.8)

東京ヤクルトスワローズと読売巨人軍が神宮球場や東京ドームで試合を行うことは、"TOKYOシリーズ"と呼ばれているが、このカードは近年では気合が入れられた催し物がされる。今年は「TOKYOシリーズ × 野球 × 歌舞伎」。回の途中に設けられるコーナーでは、つ…

【ほぼ日刊三浦シアター2】『明日に向かって撃て!(Butch Cassidy and the Sundance Kid)』(1969)

1969年に公開されたこの映画は、反体制の人物を主眼に置いた"アメリカン・ニューシネマ"の金字塔として名高い。この映画を知ったのは、先日、突然この世を去った祖母の部屋に置かれていた"新聞欄"がきっかけだった―。 話は高校生の頃、1人で祖母の家に訪れた…

【ほぼ日刊三浦シアター1】『きっと、うまくいく (3 Idiots)』(2009)

『きっと、うまくいく (3 Idiots)』は2009年に公開されたインド映画。上映時間は約3時間とかなりの長編映画になっているが、そんな長さを忘れさせてくれるくらいにテンポと歯切れのよいストーリー構成となっている。もちろんボリウッド(Bollywood)のお家芸的…

Aftermath / MUSE (和訳・解説)

※()内は直訳的な意味。 〈War is all around, 戦争はあらゆる場所で起こっている I'm growing tired of fighting 私は戦う事に疲れ果ててしまった I've been drained and I can't hide it 私はそれを誤魔化せないくらいに衰弱してしまった (私は衰弱し、それ…

Revolt / MUSE (和訳・解説)

※()内は直訳的な意味。 〈How did we get in so much trouble? 一体どれくらいの困難を我々は抱えたのだろうか (どのようにして我々はこんなにも問題を抱えたのだろうか) Getting out just seems impossible その困難からはどうやら逃れられないようだ (出て…

JFK + Defector / MUSE (和訳・解説)

[JFK] 〈For we are opposed around the world by a monolithic and ruthless conspiracy That relies primarily on covert means for expanding its sphere of influence On infiltration instead of invasion On subversion instead of elections On intim…

「ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜」ライブレポート (エレファントカシマシ編)

いよいよトリのエレカシの出番を迎える。30周年の、しかも"スペシャル"であっても、いつものように登場の際のSEはなし。拍手と歓声の中、メンバーは至ってシンプルに登場する。テンション低めに何かぼそっと言い放った後、一瞬の静寂に包まれたかと思えば、…